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2008年3月

2008年3月30日 (日)

The Futureheads

<2004. 08. 27 @ Reading Festival '04, Radio One Stage>

<2005. 02. 19 @ Carling Academy Islington, London>

<2005. 08. 28 @ Reading Festival '05, Radio One Stage>

<2006. 08. 26 @ Reading Festival '06, Main Stage>

ここのところ、毎朝出勤前のテレビは Sky News を見ている。以前は BBC を見ていたのだが、特に不満があったわけではない。気分転換といった程度のものである。

ところで、Sky News のほうを見始めてわかったのだが、日本のNHKと民法の関係に似て、Sky  の方が「芸能ネタ」が充実しているようだ。充実している、といっても毎日芸能ネタが盛りだくさん、ということではない。世の中にはニュースとして伝えなければならないことが山とある。チベット問題やらイラクの問題を報道するそのスキマを狙って芸能ニュースを流すわけだから、「芸能モノ」は一日一本、と枠が決まっているのである。したがって、「充実している」と書いたのは、その厳選された一本が、なかなか日本では見られないオモシロイ(けど日本で報道する価値のなさそうな)ネタだったりするので、ついつい見入ってしまうということを言いたかったのである。

このブログでも、過去の Sky News ネタからひっぱって、マーキューリー賞や、ブリット・アワード、NMEアワード、さらには Radiohead がロンドン市内のレコード店内で演奏したニュースなどを紹介してきた。今週見たネタで面白かったのは、かつてオレが大好きだった Futureheads の近況をレポートするものだった。www.thefutureheads.com  www.myspace.com/thefutureheads 

ケイト・ブッシュの昔の曲をカバーした[Hounds of Love] がナショナル・チャートで最高8位、そして NME誌の選ぶ「年間ベスト・シングル」に選ばれたのが2005年。その後セカンド・アルバムからのシングル曲が売れなかったからか、レコード会社をクビになった。よくありがちな、セカンドアルバムの失敗、というやつである。ところがここから彼らは頑張った。ギターの Ross が自らインディ・レーベルを立ち上げ、2007年の末に再出発をはかったのである。

このへん一連の事情は知っていたのだが、Sky News によれば彼らがメジャーレーベルに属していたときは、アルバム一枚の売り上げに対してバンドの懐に入るのが、20ペンス(約50円)、それに比べて現在は 6ポンド(約1,500円)だそうである。バンドのPRスタッフなどもインタビューに答えていたのだが、要は今の時代、プロモーションといっても誰に何をどう手伝ってもらうかが重要で、そんなにお金はかけなくてもすむ、ということのようなのである。

そうか~。それにしても50円はキツヨな、いくらなんでも。10万枚のヒット作でも500万円だからな。なんとなく、応援してあげたくなるというものだ。そんな彼らの「新しいビジネスモデル」を目指したチャレンジが、バンド自身のインタビューも交えてうまく編集されていた。ニュース専門局だけあって、MTVで観るのとは違った視点で、語られていてオモロかった。

ところで、「セカンドアルバムの失敗」と書いたが、セールス上はファーストのそれと大差ないらしい。クビになった、というよりも、レコード会社から逃げ出したのかもしれない。だが、「失敗」という印象が強いのいは、セカンドアルバムの内容が、オレ自身まったく面白くなかったからだ。彼らのメジャー・デビュー前からこつこつとインディ・シングルを買っていたのは、とにかく彼らの曲がとても良かったから、という単純かつ純粋な理由による。よく、ポストパンク・リバイバルと呼ばれているらしいが、まさにそういうことで、自分が同時代に聴いていた、70年代後半の無名ながらも魅力的な音を出すバンドたちのエッセンスが良い形でちりばめられているところが彼らの最大の魅力であった。

ところが、[Hounds of Love] を含めて、その成功以降ダメになってきた、と言うと、できすぎたコメントだろうか?

オレはこの [Hounds of Love] 自体が曲として好きではないし、ライブでギターの Ross とベースの Jaff が二人して観客にこの曲のコーラスの掛け合いを求めるパフォーマンスも好きではない。これはたぶん日本での公演でもやっているはずなので、現場で見たヒトも多いだろう。この2人は、フロントマンではないにもかかわらず、NMEのクールリストに選ばれたことがあるのだが、クールリストに期待されていることはちょっと違うと思うぞ、オレは。過去4回彼らのライブを観たうちで、2回目以降はこのパフォーマンスがお約束のように入ってくることとなった。

ライブ会場での観客は、箸が転んでも大いにもりあがるわけなので、メンバーからコーラスの掛け合いを求められれば、そりゃ大騒ぎだ。だが、そんなことで持ち上げられているうちに、肝心の曲作りのセンスが狂ってしまったのではないかと思うと、すこし悲しい気がする。リスナーの期待の琴線に触れなかった、というわけだ。レディング・フェスティバル皆勤賞だったのが、2007年ついに登場しなくなったのは、レコード会社のプロモーションの問題かもしれないが、やはり「いい音」の期待から外れてしまったのだと思う。

ネガティブに書いてしまったが、彼らに今度の新しいチャレンジを頑張ってほしいと思うのは正直な気持ちだ。だが、新曲のプロモビデオを見る限り、ボーカルのBarry が「力(ちから)入りまくり」なのが、すこし心配のタネである。足をあんなに広げて歌っちゃあダメだよ。ちょっと、せっぱつまりすぎである。

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彼らの MySpace より。

真のクールリストは、オレはドラムの Dave (写真左端)だと信じてうたがわない。ドラミングの究極のスタイルがそこにはある。

なつかしの名曲をいくつか:

Decent Days And Nights

Meantime

First Day

2008年3月29日 (土)

The Damned

< 2002. 07. 12 @ Shepherds Bush Empire, London >

さて、「世界3大スープ」という枕詞が「トム・ヤム・クン」にしかつかないのと同様、「3大ロンドンPUNK」という触れ込みも、The Damned を形容するときにしか使わないそうだ。

存命のメンバー3人が全員「つるっぱげ」な The Clash は、フロントマン亡き後再結成を望むすべもないが、Sex Pistols 以下、この The Damned、The Stranglers、BuzzcocksなどといったUKパンクのアイコン連中は、オリジナルメンバーを欠きながらも、いまや年中行事としてその気になれば毎年でも姿を拝むことができる状況だ。最近増えてきたフェスティバルに、こういった「レジェンド・バンド」をひとつでも入れておけば、オヤジ層の参加を促す要因にもなる。また、見方によっては、UKパンクバンドのザ・ベンチャーズ化、とも言える。

さすがにザ・ベンチャーズとまでは言えないにしても、今名前をあげた中で一番姿を捕まえやすいのは、The Damned だろう。毎年どこかしこで演奏してくれるのには頭が下がる面もないではないが、いまやこのバンドを観ることには、あまり意味も意義もなくなってしまっているのである。

だが、オレにはUKに来て以来、同時代、すなわち1977年ころには観ることの決してできなかったこうしたUKオリジナル・パンクの連中を、ひととおりロンドンで観ておきたい、という野望があった。いまさら足を運んでも、たいていの場合はつまらん結果におわることはわかっている。しかし、それはオレ自身の「青春をふりかえる旅」でもあるのだ。とくに、当時日本には決して来ることのなかったようなB級UKパンクバンドを25年~30年の時間をおいて観にいくのは、新しいバンドや新しい音をさがして歩く『ライブ道』とは一歩も二歩も違った趣がある。ライブ会場でも、こういったパンクバンドの成れの果ての演奏を聴きながら、自分の歩んだ人生を思い返して、なかなかしんみりと酒(ビールです)が進むものなのだ。

そういったB級UKパンクバンドの親玉みたいな位置づけの The Damned だが、ロンドンに来て3年ほどたった2002年に観にいった。広めの会場は、満員というわけにはいかなかったようだ。

ところで、The Damned といえば、[New Rose] だ。なんといっても1976年末にリリースされたロンドンPUNK初のシングルレコードである。中期以降の彼らの曲は全く知らないということもあって、とにかくこの一曲、[New Rose] を観るためだけにこの会場までやって来たといってもいい。これをロンドンで観た、という事実がのこればあとは思い残すことはない。そんなことを考えながら、開演を待っていた。

その日、オープニング・アクトを勤めたのは、元 The Damned のギタリスト(出戻りあり)ブライアン・ジェームス率いるバンドであった。[New Rose] をはじめ、初期の傑作はほとんど彼の手によるものではあったが、そのとき観た3ピースのバンドが演奏する内容は、かなりカスのようなものだったと記憶している。彼自身も見事に「よれよれ」で、こりゃあ相当「成れの果て」感が漂っているなあ、としんみりした。

と、そんな矢先、このバンドがいきなり [New Rose]  を 演奏し始めた。観客は突如大歓声をあげる。これですよ、これ。これを聴きたかったのである。成れの果てでもいい、この予期せぬセットで個人的にはすでにだいぶ満足だ。もちろん、続くメイン・アクトの The Damned もいぶし銀の [New Rose]  を聴かせてくれたわけで、この日は予想に反して大あたりな結果となったのである。

この日の「ダムド祭り」(命名オレ)から家に帰る道すがら、今後もう観ることもないであろう The Damned [New Rose] を、今日の余韻と一緒に心の中に封印したのだった。

2008年3月28日 (金)

Oscar-U

< 2008. 03. 26 @ Union Bar, Paris >

みなさんは、Oscar-U というフランス人ミュージシャンをご存知だろうか?おそらく知らないと思う。実はオレも良く知らない。www.myspace.com/oscarufr 

MySpace で偶然発見したヒトなのだが、彼のページに貼り付けてある [London Baby London] という曲が、今オレ自身のテーマ曲になっている。テーマ曲とイバっても何の意味もないのだが、要は何かの拍子に聴いたこの曲が頭から離れなくなり、この1年間あまり毎日毎日脳の中で鳴り続けているのである。もちろん、シャワーを浴びたり、掃除をしたりするときに口ずさむのもこの曲だ。

皆さんにMySpace に行ってもらって、わざわざこの曲を聴いてもらうのもちょっとばかり気が引けるが、オレの頭から離れないのは、Oscar-U のささやき系ボーカルではなく、「ロンドン、ベイビ、ロンド~ン」とすっとんきょう、かつ抑揚なくに歌うコーラスのお姉さんの歌声である。第一、絵に描いたようなフランス人らしいささやきボーカルは、真似をしたくてもできないフランス語のムッシュー100%である。そう、オレは毎日「ロンドン、ベイビ、ロンド~ン」と歌いながら、家でも会社でも暮らしているのであった。いいでしょ、歳相応のオヤジらしくて。

そんなわけで、このブログ・ページの右上に貼り付けてあるのが、Oscar-U 氏のキャラクター・マークである。あんまりかわいらしくないけど。

せっかくパリで過ごす時間が多いのだから、彼を観にいくことのできる機会にも本当は恵まれている。昨晩も、久しぶりのライブが小さな会場であったようだ。観にいこうか、どうしようか。結局迷った挙句、やめました。前売りのチケットがあったわけでもないので、本当は上に日付入りで書くほどでもなかったんですけどね (注:日付と場所の赤字標記は通常「前売り券購入後、観にいかなかったとき」をさしあらわしています)

いつか一回はその姿を見てみたい、という気がしないわけではない。だが、「あまりにもつまらなかったら、どうしよう・・・」という、とても『ライブ道』とは思えないような腰のひけかたをしている。写真を見たり、他の曲を聴く限り、ただのフランス人のおっさんに過ぎないカンジが漂うからである。そんなことを考えながらも、ひとりになるとまた「ロンドン、ベイビ、ロンド~ン」と口ずさんでいるのであった。

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2008年3月27日 (木)

The Teenagers その2

< 2008. 03. 20 @ La Maroquinerie, Paris >

「かわいい。」

この言葉がこれほど似合うライブパフォーマンスに出会ったのは初めてではないだろうか。久しぶりに The Teenagers のステージを観てそう思った。

昨年のライブ・デビュー間もないときには気がつかなかったのだが、このバンド、ボーカリストの Quentin くんの挙動から目が離せない。絵に描いたような「くねくね」君、「ぷりぷり」君、そして「もじもじ」君なステージ・アクションの数々。演奏を見ながら思わず「かわいい・・・」とつぶやいてしまったぞ。どれくらいかわいいかというと、「こまわりくん」くらいかわいい、と断言しておきたい。良くわからないと思うが。

彼がゲイであるかどうかは知らんが、この際そんなことはどうでもいい。彼の動きは、いわゆるよくいる「キャピキャピ」したゲイのそれであり、それでもって男女問わず満員の観客から圧倒的な支持を得ているのである。ステージ上でゲストボーカリストに耳打ちするとき、口に手を裏返して当てながらしゃべっていたが、いまどきホンモノのゲイの方々でもしないと思われるような動作だ。そのうえ、観客のヤローどもからも、「うおお~っ!」と大歓声を浴びているのである。

よく考えると、イギリス人にしろフランス人にしろゲイの方は珍しくもないし、ミュージシャンにも大勢いる。だが、われわれの脳裏に浮かぶのは、ハード・ゲイ専科の故フレディ・マーキュリー氏か、カミング・アウトをしなければ普通にはわからないようなエルトン・ジョン卿やジョージ・マイケル氏のような方々だ。

一方で、自分の身の回りには「くねくね」君ゲイは珍しい存在というわけでもない。会社の中でもだ。2年前まで勤めていた英国の会社は、社員35人、うちゲイの人々5人、うち「くねくね」君、つまりあからさまにわかりやすい人1名の割合であった。得意先のひとつは、社員2名、うち「くねくね」君1名であったりもした。つまり、こういう人たちは、社会には大勢いるが、バンドのフロントマンとして大見得を切るという役回りには向かないのではないか、という仮説も成り立つような気がする。くねくね。

だがしかし、このかわいらしい「ぷりぷり」君がボーカリストとしてフロントを勤め、しかもゲイの方々の世界を中心にアピールするのでもなく、一般の男女問わずから大きな歓声を集めるケースが過去にあっただろうか?とも思う。

The Teenagers の曲は、基本的にはすべ同じに聞えてしまうのであるが、彼らの真髄はその「同じに聴こえる」音そのものであろう。時代の先端の音作りを目指している連中のひとつ、ということだ。そういう意味ではセンス勝負で頑張っているバンドだが、この「くねくね」君フロントマンが支持を得ている点も評価に加えてよいのではないか、という気がした。

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@ La Maroquinerie

やはり、The Teenageres をパリで観るのも良いものだ。ちょっとした凱旋(がいせん)感がある。しかし、フランス人がフランス人の前ですべて英語で歌い、客との掛け合いはすべてフランス語というのも、なんか妙な気がした。そういえば、日本人の前でも英語で歌ってくれる、豪快な日本のバンドも、最近はあんまりみなくなりましたね。

2008年3月18日 (火)

Hot Chip

< 2006. 08. 27 @ Reading Festival '06, Carling Stage >

< 2008. 03. 17 @ Le Trabendo, Paris >

いやあ、久しぶりにいいライブを観させてもらった。新作をひっさげての Hot Chip を昨晩パリのミュージック・シティであるシテ・ド・ラ・ムジークで堪能することができた。www.myspace.com/hotchip www.hotchip.co.uk 

おととし Reading Festival '06 で姿を見たときとは異なり、出世曲の[Over and Over][Boy From School] はもはや原型をとどめないほどアレンジしなおされていたが、それらを含めて一曲も飽きさせることのない、堂々たるステージだった。以前よりギターをフィーチャーして、よりバンドらしいスタイルに舵を切ったことで、ステージ上の見せ場も増えたように感じられた。昨年 Alexsis Taylor のライブ評で書いた、「Hot Chip は一人でもなりたつかもな。」という感想は、ここに謹んで訂正させていただきます。

このバンドのすばらしいところは、その音楽的才覚にとどまらず、彼らの風貌と雰囲気にもあるであろうことは論を待たない。この「もっさり」としたビジュアル上のインパクトを前提として人気者の地位を獲得してしまったことで、彼らは将来にわたっても「勝ち組」のポジションを約束されたようなものだ。

思い返せばNMEが昔初めて「ニュー・レイブ」特集記事を組んだとき、Klaxons などと一緒に紹介されていたわけだが、その分類の当否はともかく、同じロンドンでも New Cross あたりで活動していた Klaxons に比べて Putney (パット二ー)で結成された彼ら Hot Chip はなかなか育ちのよさを感じさせるバンドだ。なにかとあくせくする必要のない、落ち着いたいいカンジがステージにも現れているのである。激しいアクションがあったりするのに不思議だが、彼らの安定感のあるステージと安心できる面構えを、こちらも落ち着いて楽しむことができるから、そう感じるのかもしれない。

メンバー5人のうち4人までが名門オックスフォード大学やケンブリッジ大学をきちんと「卒業」しているという事実もその落ち着きを裏打ちしている。オックスフォード大学「中退」組の Foals の切羽詰った音やステージアクションとは対極にある感じがした。

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@ Le Trabendo

流暢なフランス語で観客に語りかけるイギリス人のバンドは初めて見たぞ。インテリである。

2008年3月17日 (月)

The Magic Numbers

< 2006. 08. 19 @ V Festival, Main Stage, Chelmsford >

さて、近年における夏場の音楽フェスティバルブームはいったいいかがしたものであろうか。季節になれば毎週どころかへたをすると同じ週にいくつものフェスティバルがかぶっていたりする。ここでわざわざ言う話でもないだろうが、以前は一部の音楽ファンやヒッピー崩れだけが参加する趣のあった音楽フェスティバルも、いまや市民権を得たどころか、老若男女問わず夏のたしなみ、サマー・アウトのオプションとしてすっかり定着した感がある。

自分にとって、『ロンドン首都圏から行く、3大音楽フェスティバルといえば、かつては6月のグラストンベリー、そして8月のVファスティバルと同じく8月のレディング・フェスティバルであった。「であった」と書いたのは、去年からそのうちのひとつVフェスティバルに行くのを止めてしまったからである。

グラストンベリーとレディングについては、その歴史的価値を含めて現在に至るまでその存在の良し悪しを疑う必要もないだろうと思う。新興と思われるVフェスティバルにしても、その誕生からしばらくの間は、すなわち今日のように「屋外音楽フェスティバル」花盛りになる以前は、重要なイベントとしてそれなりの意義を感じていた。要は、ロンドンからあまり苦もなく見に行ける場所で楽しめそうなフェスティバルは、この3つくらいかな、と思っていたわけだ。

音楽フェスティバルはバンドがどれだけたくさん出演するか、すなわちバリエーションやオプションがどれくらいたくさんあるかが自分にとっての価値であった。だからステージの数などを含めて「フェスティバルのサイズ」は大きいことが大事だと感じていた。そしてもうひとつ、フェスティバルのサイズに比例してイベント会場の敷地が広大になるほど、「寝っころがりながら音楽を聴く開放感」という、屋外で音楽を聴く醍醐味が保障されるしくみになっていたのである。

近年のフェスティバル・ブームを反映してか、既存のイベントもどんどん拡張傾向にある。ステージの数が増え、出演バンドが増え、そして入場人員の数も増えてくるのである。会場の敷地に余裕がある場合や敷地自体が拡張されていく場合はいい。いや、遠くの方に新しいステージができると、移動がちょっと辛いかもな。最近足腰弱ってるし。まあでもバンドの数が増えるのはいいことだ。

ところが、もともとの敷地に余裕がないにもかかわらず毎年急激な拡張策を取ってしまったのがVフェスティバルのChelmsford 会場だ。メインを含めたステージの観客スペースが狭いのみならず、移動の導線となる公共のエリアがかなり少ない、ときている。2005年ころにはもう、「大の字」で寝っころがるスペースを発見するのが厳しいイベントになっていた、と思う。人波を掻き分ける移動も腹立たしい。有料プログラムを買うための長い列も不快だった。

そんなわけで、Vフェスティバルに対する思い入れは年々少なくなっていったのだが、ついに 2006 年に入ってついにオレは荒業に出た。もともとこのフェスティバルに行くためには近郊の保養所みたいなところに宿泊していたのだが、この年は、そこを基点として土曜日は「ゴルフ」そして日曜日に「フェスティバル」という娯楽のフルセットを堪能しようということにしたのである。つまりは、2日通し券を買っていたのだが、初日のフェスティバルは「捨てた」ワケだ。Vフェスティバルの会場で「バンド」以外の楽しみ、すなわち大地で手足を伸ばしてリラックスするのはもう無理だ。そこで、土曜日は40の手習いではじめたゴルフを楽しみ、日曜だけ自分のどうしても見たいバンドに絞ってVフェスティバルの方へ足を運ぶことにしたのである。

ところで。イギリスという国の中には無限にゴルフ場が存在するのだが、このときオレが選択したのは地の利もあってVフェスティバルの会場である Hylands Park に隣接するコースであった。ビジターでもオレのようにへったぴでもウェルカムな、田舎のゴルフ場だ。プレーを始めてから気がついたのだが、当たり前のことながら横で演奏するバンドの音が風に乗ってコースまでやってくる。もちろん風向きによって音が大きくなったり聴こえなくなったりするのだが、ゴルフのプレーを開始したとたんちょうど聴こえてきたのが The Magic Numbers の演奏だった。

彼らのことは観にいったこともないし、これからもあえてライブに足を運ぶことはないと思っていたのだが、そもそもオレにとっての「屋外音楽フェスティバル」の価値はバンドの良し悪しだけでははかれない。10回のうち一回くらいはまぐれでまっすぐ向こうまで飛ぶドライバーのティーショットの背景で、なんとなくさわやかな The Magic Numbers の生演奏というのも、なかなか味わいのあるものではないか。そんなわけで、そもそもの目的がすこしだけ果たせたのと、初日の入場券の料金が全く無駄になってしまったわけではなかったと自分に言い聞かせることができたので、ちょっぴり満足な週末になるな、という予感がした。

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だが残念ながら、楽しかったのはそこまでだ。

オレのプレーした Hylands Golf であるが、7番ホールにさしかかったとき(上図参照)なぜかコース上に人間が3人ほどたむろしておりおどろいた。何をしているひとたちかわからないが、フェアウェイ右のラフ上に座り込んでいるのである。これは基本的にゴルフのプレイ上ありえないことで、なんといってもオレの打ったボールが彼らに当たりででもしたら一大事だ。しばし様子を見たが動き去る気配もない。

やむを得ず彼らから離れた方向に「はずし」て打とうと意気込んだショットは、いつものごとく大失敗ショットとなって力なくころがりながら、彼らの近くでピタリととまった。これはこまったことになった。ゴルフ初心者にとって他人からまじまじと見られながら球を打つことほどいやなことはない。ただでさえ多い失敗ショットの確率が飛躍的に高くなるからだ。、

できれば消えてください、ここはプレー中なんですから、と物申すつもりでずかずかとその3人近づいていったところ、かれらの正体はなんとVフェスティバルのオフィシャル・ガードなのであった。ラフ横のOBエリアのブッシュを通りぬけられるスペースが空いており、そこを通ってフェスティバルの会場内に入ることができる。つまりはお互いの行き来を「通せんぼ」する係りの人たちであった。安い公共のゴルフ場でもあるし、これでは彼らにどいてもらうわけにはいかない。

彼らの目の前5メートルほどの地点から振り下ろしたオレのクラブは土のみを掘り起こし、ボールは10ヤードほど前に進んだだけだった。暇つぶしのいい見ものが見られて大喜びのガードたち。野次こそ飛ばさないが、目はあからさまに哀れんでいる。「お前達がいるから失敗したんだよ!」というのど元まででかかった叫びは自制した。

できればポケットに入ったままになっているその日のVフェスティバルの入場券を彼らに示してそのままここの抜け道からイベント会場に逃げ込みなたっかが、そうもいかない。彼らの視線から自分が見えなくなるまで更に4打ほど費やしたわけだが、この日スコアをつけるのはこの時点で終了した。あとは余生である。

去年はついに参加しなかったVフェスティバル。今後もたぶん行くことはないだろう。上に書いたように、理由はいろいろあるにせよこのときのゴルフ場での出来事もトラウマになっているのは間違いない。

ライブ道番外編、ゴルフ道でした。

2008年3月12日 (水)

Simian Mobile Disco

< 2008. 02. 16 @ Showcase, Paris >

さて、普段から好きなバンドを好きなときに観ているような印象を与えてしまっているかもしれないのだが、実際のところ見損ねてしまったバンドの数は多い。「見損ねた」とはつまり、こちらは「いつか観よう」と心積もりしていたにも関わらず、機会を逸しているうちにバンド自体が解散してしまって、2度と姿を拝むことができなくなってしまうといった悲しいケースのことである。

やはり分別ある社会人としては、そうそう残業を逃げ出してライブハウスに通ってばかりもいられない。お客さんの接待もあれば、同僚の愚痴を聞く必要もある。このバンド、今夜観なくてもまた次回でいいかな、などと悠長にかまえていると、「次回」が決して訪れなくなってしまうというのが世の常だ。そういう悔しい想い出が自分を更なる『ライブ道』にかきたてる糧ともなっているのだが。

バンドの解散理由もいろいろあるだろうが、オレの「見損ね」バンドのリストにあがる大半の連中は、やはりバンドとして大成しなかったことが主たる理由だろう。商業的にもある程度の成功を収めたバンドであれば、いくらオレ自身が忙しいからと言っても、さすがに解散前にどこかで一回くらいはライブを観ることができているだろう、と思うからだ。

先日、そんなマイ「見損ねバンド」の代表とも言える連中の片割れに、知らずのうちに遭遇していた。しかも、見事に出世した姿に、だ。Simian というバンドのことである。

「見損ね」リストの上位に名を占める Simian は、オレ自身がもたもたしているうちに確か 2004年ごろ解散してしまった。痛恨の極み!と当時思ったものだったが、もはやどうにもならない。手元には使われることのなかったライブの前売り券だけが残されていた。その後 Justice が彼らの曲をサンプリングして大ヒットしたため、オレのキモチの中では「幻のバンド」というポジションで定着してしまった。なんとなく、メンバー全員消えていなくなってしまったようなイメージを持ってしまったのだった。

だがご存知のように Simian は生きていた。メンバーが抜け、Simian Mobile Disco というユニットに変身していたが。www.myspace.com/simianmobiledisco  www.simianmobiledisco.co.uk 

たいへん間抜けな話だけれど、Simian Mobile Disco の連中は、もと Simian のメンバー2人だということを今日まで知らんかった。 よく考えたら名前そのまんま使っているのだが、自分の勝手な思い込みで全く関係ない人たちであると、信じこんでました。 

昨年初頭、HME 誌の付録についていた、彼らのサウンドを含むCDはまさに時代を反映した佳作であった。そのときを代表するバンドの演奏の数々が、Simian Mobile Disco のリミックスによりノンストップでつながっている。このCDをかければ、まさしく「どこでも」モバイル・ディスコのできあがりだ。この時点でオレが思ったのは、「あ~あ、『Simian』って名前、リミックスDJユニットにとられちゃったよ~。もう誰も『Simian』という名前を聞いても、『Simian』を思い出さないんじゃあないかあ?」というものである。すみません、アホです。

で、その付録CDは面白かったのだが、彼ら自身のデビューCD自体はあまりピンとくる物ではなかった。コンセプトや音の作りは面白いのだろうが、いわゆるただのダンスミュージックの域を出ていないものに感じられたからであった。このへんなんとも説明が難しいのだけれど、彼らは「ロックバンドの音をうまく加工するひとたち」というのが、素人くさいがオレの下した評価である。まあ、プロデューサーあるいはリミキサーとして大成しているので、言うまでもないことですが。このデビューCDは、購入後2回聴いたのち、現在行方不明となっている。

そんな折、パリのクラブで彼らの出るイベントに足を運んだのだが、目当てのバンドは他にいた。彼らに対しては、「いったい 『Simian Mobile Disco』のライブとはどのようなものなのか?ライブって何だ?DJじゃあないのか?」という、これまた素人くさい「なぜだろう?なぜかしら?」を解決するために、夜中まで会場に残って登場を待ったのである。なにせ、高らかに「ライブ!」と銘うっているのである。

とはいえ、花の都パリのクラブ・ナイトだ。さえない日本人中年男性(血圧やや高し)であるオレが足を踏み入れることができるようなダンス・フロアではないことは、一瞥(べつ)してあきらかだ。ビールをチビチビ飲みながら、遠くからステージの方向に目をやった。そして予想通り2人のメンバーがステージ上でただただもぞもぞと動いているのを確認すると、まあ何となくだが納得して家路についたのである。

で、今日ひょんなことから「Simian = Simian Mobile Disco」を知って驚いたのである。どれくらい驚いたかというと、BBCの看板音楽番組 「The Later」の司会者ジュールス・ホランド氏が元 The Squeez メンバーであったことを知ったときのように驚いた。すみません、古すぎてたとえが悪ければ、Fatboy Slim の Norman Cock が The Housemartins のメンバーであったことを知ったときのような驚き、とも言える。これも古いが。いずれにしろ、それを知っていたら、もうすこし Simian の「成れの果て」というか「晴れ姿」というか、その雄姿を胸に刻んでおくんだった、とすこしだけ後悔したのであった。

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彼らの MySpace より「ライブ風景」。

オレの「ライブ道」の定義では、あまりケミカル・ブラザーズ系の『もぞもぞ』を「ライブ」と呼びたくないのが正直なところだ。だいいち、ダンスフロアで一心不乱に踊る紳士淑女が恐れ多くて、近くに行くこともできない。まあ、立派なプロデューサー・チームであることはわかるんだが・・。

ちなみに Simian のもう一方の片割れは、The Black Ghosts であると知って、これもすこし驚き。www.myspace.com/blackghosts 

2008年3月 9日 (日)

These New Puritans (その3)

< 2008. 03. 07 @ Fleche D'or, Paris >

♪『きみは、どんな数字が好きなの?それにはどんな意味があるの?』 (♪<Numbers> :作詞・作曲 These New Puritans )

と、These New Puritans のボーカリストであるジャックに歌いかけられたら、たとえそれがとても大人がオトナに発する質問とは思えなくても、オレは間髪をいれずに、『それは「3」です!』と応えるに違いない。

2→4→3。

これは、いままでに自分が観た These New Puritans のステージ構成メンバー数である。すでに過去エントリーで披露したとおり、去年(2007)の春に2回ほど彼らのライブを観る機会に恵まれたのだが、それがジャックとトーマス2人のミニマム編成であれ、フルメンバーの4人編成であれ、ライブバンドとしての合格点を与えられるものではなかったと記憶している。特にジャックのおどおどした挙動は、客席の我々を不安にした。「だっ、だいじょうぶか、オマエ・・・・。」楽しむためにライブを観にきているわれわれ観客を、緊張させてどうする。まるで自分の息子の演奏発表会を見終わった父親のように精神的に疲労困ぱいしてライブ会場を後にしたときのことが思い出される。

昨晩久しぶりに観た彼らのステージは、そんなオレの印象をすこしポジティブなものに変えてくれた。

オレが彼らの姿を見なかったこの10ヶ月のあいだに、数多くのステージをこなして成長したのは間違いない。音響が良かったとか、あと例によって前座のフランスバンドが、カスの中のカスと呼んで差し支えないひどいものだったので、These New Puritans が相対的に良く聴こえた、ということもあるかもしれない。

だが、オレの結論はこうだ。昨晩観たかれらのステージは、女性キーボード・メンバーが不在であったのだが、バンドとしてかなりよくまとまっていたと思う。ギターのジャック(彼はギターがいちばんしっくりくる)、ベースのトーマス、そしてドラムの3人が演奏・掛け合い・アクションなど、ステージ上でお互いにいい影響を与えながら見せ場のあるスタイルを作り上げていたように感じられた。放っておくと「おどおど」しかねないジャックを、ベースもドラムも放りっぱなしにしていないのが良かったのである。

そういえば、以前観た4人編成のときのキーボード担当のお姉さん、怖かったなあ・・。演奏中に、そんなに怒らなくても、という目でボーカルのジャックをときどき睨みつけていた(ようにしか見えなかった)からなあ。まあ、バンドの中の事情もいろいろとあるのでしょうが、ライブとしては、「3人組」として初合格点をさし上げたい。この日お姉さんがなぜ居なかったのかは不明。

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ともに @ Fleche D'or

5月の The Great Escape に2年連続出演、とのことだ。その前にもう一度パリで演奏するらしいので、縁があれば観にいきたい。しかしそれまで大丈夫か?アメリカ行きを控えた激ヤセのジャックがやや不安である。

These New Puritans その1

These New Puritans その2

2008年3月 7日 (金)

Japanther

< 2008. 02. 29 @ Le Nouveau Casino, Paris >

名前のダサいバンドってあるよな。唐突ですが。

先週パリで観た連中なのだが、ニュー・ヨークからやって来た通称シンセ・パンクの2人組 Japanther 。そこそこのキャリアはあるらしいが、初めて耳にする名前だ。しかし、弁解の余地なく、しょーもないバンド名だ。 www.myspace.com/officialjapanther  www.japanther.com

なんというか、Japanther はねえだろ、 Japanther はよ~。などと思いながらも、ステージに登場した彼らはなにやらいわくありげの2人組だ。ニューヨークからの2人組といえば Shy Child の顔が思い出される。あるいはドラムとベースという構成からみれば、Death From Above 1979 に近いのか? いずれにしろ、さえない名前から来る不安感と、雰囲気を持つ2人組に対する期待感とが微妙にないまぜになったキモチで彼らが音を発するのを固唾を呑んで見守ったわけである。

はたして、静寂を破るその一曲目。

久しぶりに自分のアゴが落ちる音が聞えたような気がするほど、どうにもならんただのカス・パンクであった。こっ、これはひどすぎる・・・・。シンセ・パンクといっても、彼らが演奏しているのは、ベースとドラム。あとはつまらん音のコラージュが後ろでただたれ流されているだけだ。

しかも、見た目もいただけない。2曲目には2人とも上半身もろはだ脱いだわけだが、ドラムのたるみ腹いかんともしがたく、ベースのヘタさそして地味さかげんは涙を誘うレベルの終了感をかもし出している。あまりのことに、オレはゆれるたるみ腹だけをとりつかれたようにただただ凝視していた。こいつら一体全体なにしにパリまでやってきたのか、というのがオレの大疑問だが、平静な面持ちで鑑賞しているフランス人オーディエンスにも自分としては「はてな」マークをつけたい。

いわゆる「前座」バンドだったので、この手のつまらんバンドは過去いくらも経験してきた「自負」がある。決してひるんだわけではないのだが、『ダサいバンド名に、良バンドなし』という格言(By オレ)を改めて胸に刻む結果となったパリの夜である。失礼。

Jpt

彼らの MySpace より。

太っているわけではないのに、たるみ、そしてリズムを刻む「腹」。そして「乳」も。

2008年3月 5日 (水)

The Early Years

< 2007. 05. 18 @ Pressure Point , Great Escape '07 Brighton >

今年の The Great Escape まであと2ヵ月半ほど。イベントのウェブページも日を追って充実してきた。去年は存在しなかったような、ブライトンのホテルがブッキングできるページも備えるなど、すこしづつ参加者に優しい仕組みも増えてきた。

そして気になる出演バンドだが、すでに80バンドほどの名前がリストアップされている。当然知らない名前も多いので、これらを片っ端からチェックしていくことが必要だ。流れ作業のように MySpace などで確認するのだが、良いバンドを見落としてしまっては一大事だ。やはり片手間にはやらずに、週末などにじっくり時間を取ってとりくみたいと考えている。

見るべき価値があるバンドかどうかの判断をするのに、どのベニューで演奏するかの情報も大切だ。この辺の細かいスケジュールになると、イベント直前にならないとわからないが、それぞれのベニューでのプログラムをオーガナイズしているメディア・プログラムの冠(かんむり)がついているので(つまり、Presentes By ○○○とか)、出てくるバンドの傾向がわかるのだ。それと同時にプレゼンターの「眼」を信用して新しいバンドを観てみよう、という気にもなる。

去年自分が拠点としたベニューは初日が Concord 2 (MTV2 - Gonzo)、2日目 Pressure Point (XFM - X-posure)、そして3日目が Kabuki (Artrocker Magazine)、というラインナップである。どれも普段から自分が接しているメディアでもありプログラムなので、そこに登場してくる連中にピントハズレなものは混じっていないという安心感がある。あとは、それぞれの日でどこの会場に足を運ぶのかを、すなわちどのバンドを観てどのバンドを捨てるのかを選ぶという決断力だけだ。

さて、上に上げた3つのメディアのうちでも、プレゼンターのセンスに期待が持てるという意味では X-posure (XFM) プレゼンツのイベントだろう。過去UKのベスト・ラジオDJにも輝いたことのある John Kennedy 氏自らがバンドの登場ごとに登壇し、これからプレイする連中を紹介するのである。自分としては Radio 1 (BBC) の Zane Lowe よりも、XFM の John Kennedy のほうが明らかに優れたセンスをもって音楽を紹介してくれているという確信を持っている。それはもとラッパーという経歴を持つ Zane Lowe よりも、明らかにヒトのよさそうな「オタク」おじさんにしか見えない John Kennedy の外見の違いによる印象が大きく作用しているであろうコトを、オレは否定しない。

Gonzo on Tour で Zane Lowe を、X-posure Live で John Kennedy をともにカムデンの Barfly のステージで何度もその姿を見た事があるのだが、その外見から発する違いはあからさまであった。正にラッパーのようなアクションでシャウトしながらバンドを紹介する Zane Lowe 。一方 John Kennedy のほうは、ラジオでのささやきボイスは似合っても、ステージ上で大声を張り上げる姿はまったくさまになっていない。声が上ずっているぞ。だが、オレとしては、そんな「上ずり」 John のほうが、いとおしいのである。

昨年の The Great Escape、会場の Pressure Point で目当てにしていたバンドは We Are The Physics であったのだが、他の登場バンドも John Kennedy セレクションかと思うと期待が持てたし、実際それに応えてくれたと思っている。 The Early Years という、ギター系サイケバンド。www.myspace.com/thesoundoftheearlyyears  www.theearlyyears.org.uk その後あまり音沙汰が無いのだが、なかなか良い発見であった。こういう、「派手」ではないがそこそこ良いクオリティのバンドを紹介してくれた彼に感謝したい。

以前カムデンの Barfly で Xporsure Live のイベントを観にいったとき、バンドの紹介を終えて客席側に陣取る John Kennedy の真後ろで立見したことがる。たいへん混んでいたため、演奏中のバンドに声援を送りながら踊っていると、これまた偶然だが彼をガシガシと連続でこずいてしまったのである。かわいそうに、彼は恐れをなしてすごすごと後ろの方に退散してしまった。今日はここブライトンで The Early Years のステージを見ながら傍らに立つ John に、そのときの非礼をココロで詫びたのであった。

Tey

彼らの MySpace より。

伝統芸能とも言える、黒装束サイケ。ブライトンでもお約束どおりのスタイルであった。

Jk www.xfm.co.uk/onair/djs/john-kennedy

John Kennedy 。去年オレは The Great Escaoe イベントの本部らしきものが置かれるホテルに宿泊したのだが、そこで一家団欒ブレックファーストを食べる彼の姿(親子3人連れ)を発見した。本人は写真よりももっと「もっさり」してます。

2008年3月 4日 (火)

Friendly Fires

< 2008. 02. 29 @ Le Nouveau Casino, Paris >

さて、パリとはヒトにとってどのような街なのか。最近過ごすことが多いところであるにもかかわらず、改めて考えたことがなかった。

ロンドンはもともと自分が住みたいところであったし、仕事もあったのでやってきたわけだが、パリには特別な思い入れがない。たいへん不遜な言い方をすると、自分が来たくてやってきたところ、というわけではないのである。大事な仕事の機会がパリにもあって、それがそこそこ面白いので苦労はありながらも頑張って住んでいる、という次第だ。したがって、フランス文化の恩恵にあずかりながらも、毎日ブツブツいいながら暮しているワケだ。

Friendly Fireswww.myspace.com/friendlyfires  はやいとこ観ておきたいと思い続けて1年余り、何度か前売り券を無駄にしたものの、念願かなってようやく彼らの姿をとらえることができた。最新のヒット曲が [Paris] で、彼らのライブをパリで観にいくことになったのだからとてもおあつらえ向きである。♪『いつか、僕ら一緒にパリで暮らそうよ~』などと歌うのである。

KITSUNE のコンピレーション・アルバムですらなぜかロンドンで買ってしまうオレなので、何がある?なぜ来たい、パリに?というのが現在のところの「なぜだろう?なぜかしら?」である。もしかしたら、 Friendly Fires のステージを観れば、その答えのヒントでもつかめるか?とまあ、そんなことはあるはずもないのだが、『パリに行きたい』と歌う外国人に対してパリジャン並びにパリジェンヌが、どのような姿勢で受け止めるのかを「しか」と確かめようと思ったのであった。

期待のステージは、十分に楽しめるものであった。演奏時間がとても短く、残念である。80 年代にインスパイアされた最近の一連のバンドの中でも、期待してよい連中であることはライブを観ても納得できた。曲ごとにいろいろな80 年代のエッセンスがうまくちらばめられている。そうこうするうちに、彼らのステージも後半に入り、お約束どおりの [Paris] では観客一同、大喜びだ。やはり、「パリに行きたい!」「パリが好き!」というヒトには、パリのムッシュー&マドモアゼルはやさしいのであった。

と思った矢先、オレが立っていたのはかなりステージに近い「前の方」であったにも関わらず、まさに [Paris] が演奏されているその最中に真うしろから、「あのう、このカメラでわたし達の写真撮ってもらえないですかね。」と自分の連れが呼びかけられた。「ああい、いいですよ。わかりました。」というか、何しにココに来てるんですか、アンタら?ステージを写すわけでもなく、自分達の写真を撮ってくれと頼む女性の2人連れ。しかし何も本日のメインイベントであるこの曲のときに頼まなくても・・・。あなたたち、パリジェンヌではないですね?

予想通り、かれらは生粋のアメリカ英語を話す米国人であった。どうやらアメリカ人にとっては外国人(英国人)が♪「パリにすみたいよ~。」などとと歌っても、なんら関心がない様子なのである。

ヒトにとってパリはどのような街なのか、その答えは今日はわからなかった。しかし、パリに来る観光客の大半を占めるのではないか、と思われるくらいにうようよ街中を歩いているアメリカ人にとっては、住みたくなるような街ではないらしい。だから、ちょっとパリが小ばかにされたようで、すこしそのアメリカ人にむかついたわけである。そう思うと、オレもちょっぴりだけパリのことが好きになってきたのかなあ、などと思ったりしたのだった。

Ff

@ Le Nouveau Casino

オレの好きな「音楽オタク」感をかもし出す、良いステージであった。

● Friendly Fires その2

● Friendly Fires その3

2008年3月 2日 (日)

Tapes 'n Tapes

< 2006. 05. 20 @ Audio, Brighton (Great Escape '06) >

< 2008. 02. 27 @ Fleche d'Or, Paris >

Zane Lowe (ゼイン・ロウ)が MTV2 だけではなく、BBC Radio One の「顔」になってからはや久しいわけであるが、やはり John Peel (ジョン・ピール)と比べると、見劣りというかなんとなくニセモノ感がただよってしまうのは、ある意味しかたのないことではある。いくら、『Gnarls Barkley の Crazy をいち早く紹介した男』といわれても、Gnarls Barkley 自体があやしいので、いかんとも評価しがたいところである。

Zl

著名ラジオDJとして当然ながら世界最大のニューバンド・ショーケースイベントであるアメリカはテキサスのSXSW にも出かけていくわけだが、おととし 2006 年のイベントから英国に帰ったばかりの彼のコメントが NME 誌上に載っていた。『過去このイベント(SXSW)で、オレは The White Stripes (2008.02.15) を発掘したが、この重要なイベントで、今年 (2006) もすごいやつらを発見したぞ。Tapes 'n Tapes というバンドを観たのだが、今年はコイツラの年になる!』などというのである。www.myspace.com/tapesntapes  www.tapesntapes.com

直後の MTV2 での SXSW レポートでは、Zane Lowe 自身が積極的にこのバンドをプッシュしている姿がテレビに映し出されていた。ライブ模様を観る限り、なんとなく良さそうなかんじがしないでもないが、正直よく判らない。そうこうしているうちに今度は英国 Brighton で開催される Great Escape フェスティバルに Tapes 'n Tapes がアメリカから駆けつけて登場するというものだから、オレとしてはいきおいこのバンドをこの目で観ることが、この年初めて開催されるこの Great Escape というイベントにおける最大のヤマ場と位置づけたわけである。

ところで、ブライトンの街に着いてから気がついたのであるが、このイベントは「バンドの見本市」というのが趣旨であり、したがって、音楽業界関係の方々が重要なターゲットとなっている。なので、「記者パスなど」を購入したヒトは優先的に、列に並ばずに、どこの会場にもいつでも自由に出入りが容易にできるのだが、その一方でわれわれ「一般人」は会場のキャパシティに達していなくても入場制限されて会場内に足を踏み入れることができないケースが多発してしまうのだ。そのため、絶対観たいバンドを見逃さないために自分自身があみ出した絶対安全な方法、すなわち「ひとつのライブハウスにへばりつき、他には移動しない」という、かなり悲しい荒業を採用することに決めたのであった。

2006年の Great Escape 最終日、オレはこの Tapes 'n Tapes が登場するという Audio というライブハウスに開場と同時にへばりついた。一度入ってしまえばこっちのもの。例によってビールを飲みながら彼らの登場を待った。その日最初のバンドは誰だか忘れてしまったが、なんだかつまらないもの。2番目のバンドは過去にすでに観た事がある「可もなし不可もなし」な連中だ。そしてついに、期待のバンド Tapes 'n Tapes の登場である。

オレの予想では、この年イベントのハイライトになるはずのものであった。今年大ブレークするはずのバンドのUK初登場。その瞬間をいままさにオレは捕らえようとしているのである。

これだけ無意味にひっぱたので、「オチ」はすでにご想像がついていると思うが、これがわが人生における「3大ガッカリ」にいまだにしっかりランクインしているほど、とても期待をうれぎられるものであった。アメリカン・インディバンドとしてまあまあの及第点をつけるにやぶさかではないが、自分自身にとって今年を代表する「出来事」とは到底呼べない、ただの新人バンドのライブである。なんといてもボーカルが弱いし、何のカリスマ性も感じさせない。

期待して観にいったバンドが「ハズレ」ということは「まれ」ではないのだが、今回は Zane Lowe のビッグ・マウスに踊らされた。それがくやしかった。その日、会場である Audio のトリを飾った The Maccabees がまずまずのパフォーマンスを見せてくれたことが唯一の救いでした。悲しくなるので、その日他の会場でどんなバンドが出ていたかの後追い確認はおこなっていない。

Zane Lowe。いまでも毎日 MTV2 で顔を見ているからといって、オレがこのことを水に流していると思ったらおおまちがいだぞ。

Tpntp

彼らの MySpace ページより。

パリで Comanechi を観にいったら、彼ら Tapes'n Tapes が前座をつとめていた。それでいいのかお前ら、という気もするが、まあそんなもんだろう。久しぶりに姿を見たかれらは、見た目も演奏も2年前よりこなれた感じがした。新曲の印象と服装の雰囲気がかわったせいだろう。しかし、相変わらず「おっ、このバンド伸びるな」と思わせるものは無かった。悪いバンドではないのだが、オレにとっては Zane Lowe に踊らされた悪印象がいまだに残っている。

Fleche_dor_20080227_002

@ Fleche d'Or

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