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2008年3月12日 (水)

Simian Mobile Disco

< 2008. 02. 16 @ Showcase, Paris >

さて、普段から好きなバンドを好きなときに観ているような印象を与えてしまっているかもしれないのだが、実際のところ見損ねてしまったバンドの数は多い。「見損ねた」とはつまり、こちらは「いつか観よう」と心積もりしていたにも関わらず、機会を逸しているうちにバンド自体が解散してしまって、2度と姿を拝むことができなくなってしまうといった悲しいケースのことである。

やはり分別ある社会人としては、そうそう残業を逃げ出してライブハウスに通ってばかりもいられない。お客さんの接待もあれば、同僚の愚痴を聞く必要もある。このバンド、今夜観なくてもまた次回でいいかな、などと悠長にかまえていると、「次回」が決して訪れなくなってしまうというのが世の常だ。そういう悔しい想い出が自分を更なる『ライブ道』にかきたてる糧ともなっているのだが。

バンドの解散理由もいろいろあるだろうが、オレの「見損ね」バンドのリストにあがる大半の連中は、やはりバンドとして大成しなかったことが主たる理由だろう。商業的にもある程度の成功を収めたバンドであれば、いくらオレ自身が忙しいからと言っても、さすがに解散前にどこかで一回くらいはライブを観ることができているだろう、と思うからだ。

先日、そんなマイ「見損ねバンド」の代表とも言える連中の片割れに、知らずのうちに遭遇していた。しかも、見事に出世した姿に、だ。Simian というバンドのことである。

「見損ね」リストの上位に名を占める Simian は、オレ自身がもたもたしているうちに確か 2004年ごろ解散してしまった。痛恨の極み!と当時思ったものだったが、もはやどうにもならない。手元には使われることのなかったライブの前売り券だけが残されていた。その後 Justice が彼らの曲をサンプリングして大ヒットしたため、オレのキモチの中では「幻のバンド」というポジションで定着してしまった。なんとなく、メンバー全員消えていなくなってしまったようなイメージを持ってしまったのだった。

だがご存知のように Simian は生きていた。メンバーが抜け、Simian Mobile Disco というユニットに変身していたが。www.myspace.com/simianmobiledisco  www.simianmobiledisco.co.uk 

たいへん間抜けな話だけれど、Simian Mobile Disco の連中は、もと Simian のメンバー2人だということを今日まで知らんかった。 よく考えたら名前そのまんま使っているのだが、自分の勝手な思い込みで全く関係ない人たちであると、信じこんでました。 

昨年初頭、HME 誌の付録についていた、彼らのサウンドを含むCDはまさに時代を反映した佳作であった。そのときを代表するバンドの演奏の数々が、Simian Mobile Disco のリミックスによりノンストップでつながっている。このCDをかければ、まさしく「どこでも」モバイル・ディスコのできあがりだ。この時点でオレが思ったのは、「あ~あ、『Simian』って名前、リミックスDJユニットにとられちゃったよ~。もう誰も『Simian』という名前を聞いても、『Simian』を思い出さないんじゃあないかあ?」というものである。すみません、アホです。

で、その付録CDは面白かったのだが、彼ら自身のデビューCD自体はあまりピンとくる物ではなかった。コンセプトや音の作りは面白いのだろうが、いわゆるただのダンスミュージックの域を出ていないものに感じられたからであった。このへんなんとも説明が難しいのだけれど、彼らは「ロックバンドの音をうまく加工するひとたち」というのが、素人くさいがオレの下した評価である。まあ、プロデューサーあるいはリミキサーとして大成しているので、言うまでもないことですが。このデビューCDは、購入後2回聴いたのち、現在行方不明となっている。

そんな折、パリのクラブで彼らの出るイベントに足を運んだのだが、目当てのバンドは他にいた。彼らに対しては、「いったい 『Simian Mobile Disco』のライブとはどのようなものなのか?ライブって何だ?DJじゃあないのか?」という、これまた素人くさい「なぜだろう?なぜかしら?」を解決するために、夜中まで会場に残って登場を待ったのである。なにせ、高らかに「ライブ!」と銘うっているのである。

とはいえ、花の都パリのクラブ・ナイトだ。さえない日本人中年男性(血圧やや高し)であるオレが足を踏み入れることができるようなダンス・フロアではないことは、一瞥(べつ)してあきらかだ。ビールをチビチビ飲みながら、遠くからステージの方向に目をやった。そして予想通り2人のメンバーがステージ上でただただもぞもぞと動いているのを確認すると、まあ何となくだが納得して家路についたのである。

で、今日ひょんなことから「Simian = Simian Mobile Disco」を知って驚いたのである。どれくらい驚いたかというと、BBCの看板音楽番組 「The Later」の司会者ジュールス・ホランド氏が元 The Squeez メンバーであったことを知ったときのように驚いた。すみません、古すぎてたとえが悪ければ、Fatboy Slim の Norman Cock が The Housemartins のメンバーであったことを知ったときのような驚き、とも言える。これも古いが。いずれにしろ、それを知っていたら、もうすこし Simian の「成れの果て」というか「晴れ姿」というか、その雄姿を胸に刻んでおくんだった、とすこしだけ後悔したのであった。

Smd

彼らの MySpace より「ライブ風景」。

オレの「ライブ道」の定義では、あまりケミカル・ブラザーズ系の『もぞもぞ』を「ライブ」と呼びたくないのが正直なところだ。だいいち、ダンスフロアで一心不乱に踊る紳士淑女が恐れ多くて、近くに行くこともできない。まあ、立派なプロデューサー・チームであることはわかるんだが・・。

ちなみに Simian のもう一方の片割れは、The Black Ghosts であると知って、これもすこし驚き。www.myspace.com/blackghosts 

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