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2008年7月

2008年7月30日 (水)

Kaiser Chiefs

< 2005. 10. 25 @ Carling Academy Brixton, London >

興味はあったのだが、タイミングを逃しているうちについに一度も観ることのなくなってしまったバンドがあって、オレにとってその代表格は Kaiser Chiefs だ。

まったく話題にもならなかったCDシングル・デビューの直後、2004年のレディング・フェスティバルでは新人バンドテントに相当する Carling ステージで、早い時間にひっそりと出演していたようだが、この時点ではその存在を全く知らなかったので、見逃した、というよりはフォロー自体をしていなかった。それからしばらくして MTV2 の「レディング '04 」特集では、この無名の連中は会場の中でインタビューを受けていた。そこではなぜかドラムスの Nick がアコースティック・ギターを持ちながら、当時流行りでその年のレディングにも出演していた Rasmus の曲をあきらかにバカにしながら皆で合唱していた。この「レディング特集」では、彼ら Kaiser Chiefs の自身の曲は一切流されない、ただのインタビューなのに、である。

変なバンドだなあとは思っていたが、さらにしばらくのときを置いて MTV2 でオンエアされ始めたセカンド・シングル、[ I Predict a Riot ] はなかなか面白い出来だ、と思った。発売と同時にCDショップに走って買いに行った友人からさっそく借りたことを覚えている。この曲はその後再発されてチャートを上り、最終的にはナショナルチャートの20位近くまでいったはずだ。

さて、普段であればこのように、話題が盛りあがりつつあるあたりでどこかのライブ会場に観にいく、というパターンがオレの場合多い。ところが、このシングル発売の前後からしばらくはまったくツアーが組まれていなかった、と記憶している。そして恐らくそのちょっと前くらいのタイミングで、たぶん小規模ライブを見逃してしまっていたため、彼らの姿を捕まえられるタイミングは翌年2005年のどこかのサマーフェスティバルまで待たなければいけなくなっていた。そしてそのころまでには彼らは更なるヒット曲を出し続け、フェスティバルのメインステージでそれなりのポジションを占めるまでになっていたように思う。

正直、[ I Predict a Riot ] 以降の曲が、自分ではそんなには楽しめなかった。それに、あまりにも急激に人気者になってしまったことや、気になってから時間がたちすぎてしまったことで、偏屈者のオレとしては、このバンドをもう自分にとっての「ライブを観たいバンド」リストから脱落させてしまったのであった。結局、夏のフェスティバルでもそのステージまで駆けつけることは無かった。

2005年の年末には XFMラジオの年末総決算イベントで、なんと大出世の Carling Academy Brixton でトリを勤めるという。オレはこのときどうしても観たいと思っていた The Cribs がこのイベントのオープニングアクトを務めることになっていたためチケットを購入したのだが、実はこの The Cribs を楽しんだだけで満足して家路についてしまった。 Kaiser Chiefs は、テレビのチャンネルをひねればライブ映像が観られるようなバンドになっていたこともあり、一度もナマで観た事が無いのに黙殺してしまったのである。今から考えれば別に観ておいてもよかったのに、とも思うのだが、やはり 2004年のレディングを観ていなかった、という悔しさがまだ多少残っていたのかもしれない。

セカンド・アルバムは買っていないのだが、テレビやラジオで流れるシングル曲を聴くたびに、あいかわらず「当たり」と「ハズレ」を繰り返しているように思う。でも言い方を変えると、まだ十分自分にとっても観て楽しめるバンドなのではないか、とも思ったりする。なにか良い機会があるといいんだけれど。

ところで、昨日のエントリーでも案内した、今年のレディング・フェスティバルに新たに加えられる「 BBC Introducing ステージ」。今日ようやくそのラインナップの第一陣が発表された。名前や曲をすこし知っているバンドもあるにはあるが、今までそのステージを観たことのある連中は皆無だ。まさに「これから」の期待の新人を集めた、と言えるだろう。

実はこの 「BBC Intoroducing ステージ」は、レディングと同時開催のリーズ・フェスティバルでだけは去年からスタートして好評を博しているそうだ。そして、レディングを含めて両会場実施となった今年も昨年同様、Sandman Magazine という音楽フリー・ペーパーと Futuresound というプロモーターがバンドのブッキングを担当している。そしてこの両者とも、リーズ(Leeds)をベースとして近郊のマンチャスターやシェフィールドに深く根を張っているらしいのである。リーズ自体はバンドの宝庫として有名だし、こういったメディアなどが下ざさえをしているのだと思うが、たしかに今日発表されたラインナップにはリーズ並びに近隣の連中が多いようだ。

この Sandman Magazine は、わけてもリーズ出身の Kaiser Chiefs や、隣町シェフィールド出身の Arctic Monkeys をかなり初期から発掘して、地元のラジオDJなどとも連携して積極的にプッシュしてきたことで知られているという。そんな彼らが今年「発掘」してきたバンドのなかに、果してオレの琴線に触れるようなやつらが含まれているのかどうかは判らない。しかし、「あんとき見逃したか!」という思いは、今回のレディング・フェスではしたくないものだと思っている。

2008年7月29日 (火)

Arctic Monkeys

< 2005. 08. 26 @ Carling Stage, Reading Festival '05 >

夏といえばロック・フェスティバルであり、またビールの季節でもある。

フェスティバルの醍醐味というのは、まさにビールを飲みながらバンドのステージを楽しむこと尽きるのであって、したがってバンドの演奏がつまらなくなってきたり、あるいはビールがおいしくなくなってきた時点で、オレはそろそろその日の撤収を考え始めることになる。マイ・リュックに必ず日本直輸入の「するめ」を忍ばせているのは、ビールのおいしい瞬間を持続させるための生活の知恵でもある。

そんなわけで、大手のビール会社がフェスティバルのスポンサードを行なうのは合点のいく話だ。一番の例は、なんといっても英国最大のビールブランド Carling (カーリング)の名前を冠した レディング Reading (+ Leeds) フェスティバルであろう。普段パブではあえてオーダーするブランドではないのだが、このフェスティバル会場内ではノー・チョイスだ。ただし街で飲むカーリングよりもなぜだかおいしく感じる瞬間があるのは、フェスティバル会場ならではだと思っている。

10年間の契約が終了して、今年2008年からこのカーリングがスポンサーを降りたらしい。皆がレディング・フェスティバルと呼んでいるこの由緒あるイベントは、昨年までの10年間、正式には「カーリング・ウィークエンド」という名称だった。実際カーリングからの広告出稿が多そうな音楽雑誌などは、比較的あえてこの「カーリング・ウィークエンド」という名称を記事の中でも多用していたような気がする。おそらく会場内のビールサプライヤーとしてのポジションは継続するのではないかと想像するが、レディング・フェスのカーリング時代はここに幕を閉じたのである。

識者によれば、イベントの正式名称が「レディング・フェスティバル」に戻る、ということは大歓迎らしい。商業主義的なニオイがきえるからウェルカムなのだと思うし、実際近年のレディングフェスティバルの成功の自信の表れだとも思う。今年チケット完売に失敗したグラストンベリーとは対照的に、レディングの方はチケット発売後、『歴史的』短時間のうちに完売したそうである。

だがちょっと、とオレは思った。カーリングの名前が消えるということは、「Carling ステージ」の名前も消えることである。

近年のレディング・フェスにいかれた方はよくご存知と思うが、毎年多少の編成違いがあるものの、ここのステージの基本は、屋外の「メインステージ」のほか、最近上り調子のバンドが出てくる大規模テントの「BBC ONEステージ」と、新人バンドが中心の小規模テントであるこの「 Carling ステージ」で成り立っている。もちろんこのほかにも「ダンス・テント」や「コメディ・テント」、あるいは、Kerrang 誌っぽいいわゆる『ロック系』バンドだけを集めた「ロック・アップ」ステージその他もあるが、それらはサブの扱いだ。

個人的にはこの「 Carling ステージ」での印象深い想い出がいろいろあるのだが、それはスポンサーでもありイベントタイトルを持っていたカーリングがこのステージのラインナップに込めた思い入れの深さの表れ、という言い方ができるかもしれない。このテントを満杯にしたバンドがその後トップバンドに登りつめていく。「あの伝説のカーリング・ステージでのライブ」という表現はいままでに何度も目にしてきた気がするのである。

'06 年の Klaxsons も大混雑だったが、'05 年の Arctic Monkeys のときも小さいテントにヒトはあふれかえっていた。当時彼らは[ Fake Tales of San Francisco ] という曲をリリースしたばかりの新人バンドで、出世作 [ I bet You Look Good on the Dancefloor ] がリリースされたはその数ヵ月後のことである。この時点でオレは、「見逃してはならないバンド」とNMEに紹介されたいたことだけを頼りにこのステージまでやって来たのだが、世間はこの新人バンドに熱狂していることを知っておどろいたのであった。

ところで、この日は折から気温も上がり、Arctic Monkeys の登場する昼下がりは、まさに「ビール」日和と呼べる暖かさ。観客は皆手にビールを持って歓声を送り、その状態のままどんどんぎゅうぎゅうづめとなっていった。予想はしていたが、オレの近くの薬物過剰摂取者が、音楽に合わせて踊るうちに手に高く掲げたビールをまわりにぶんまき始めた。オレをはじめ被害者が続出するなか、大量のしぶきを浴びた被害者Aが、加害者の頭からビールをかけた。しかし当然ながら加害者は、気持ちよくなりすぎて何が起こっているのかわからず笑っている。そのうちに、周りの被害者連盟が面白がって「元」加害者によってたかってビールをかけ始めたのである。

宙を舞い、自分にも浴びせかけられるビールのしぶきを見ながらさすがにオレは耐えられなくなり、演奏半ばにしてテントの外に撤収せざるを得なかった。もともと混みすぎていて、ステージの上は何がなにやらほとんど見えなかったのだが、今となってはわずかな時間でもこの「歴史的」な現場に立ち会っていた、ということが、ビールのしぶきと合わせて想い出になっている。結局これが今までのところ最初で最後の Arctic Monkeys 体験になっているのだが、オレにとって彼らは永遠に「 Carling ステージ」の Arctic Monkeys なのである。(カーリング・ビールも浴びたし)

その Carling ステージは、今年から「Festival Republic Stage 」と名称が変更になるらしい。なんとなく意味がありそうで、つかみどころのない中途半端な名前である。たしかにラインナップを見ると、個人的にはステージを観てみたいと思わせるような、主として新人バンドの名前が連なっているのは今までと変わりがない。だが、レディング・フェスでは今年から、グラストンベリー・フェスでも人気を博し始めた「BBC Introducing ステージ」という新たなステージが加わるようだ。こちらの方はアン・サインド、すなわちまだレーベルと契約を交わしていないような新人連中が中心になるそうであるが、だとすれば、以前のように「アン・サインドの大物インディバンド」といわれた !Forward Russia! のような連中が Carling ステージで「サインド」バンドに決してひけを取らないパフォーマンスを繰り広げるなどという、意外性のあるブッキングはなくなってしまうのかもしれない。

いずれにしても、後年、「オレさあ、あのときの伝説の『フェスティバル・リパブリック・ステージ』にいたんだよ・・・」というのは、語呂もわるく、なにか意味も違ってしまうような気がするのである。

ともにビールのうまいステージであってほしい。

Carling_stage

Carling Stage : Flickr より拝借しました。

2008年7月27日 (日)

Klaus Says Buy The Record

< 2008. 05. 16 @ The Brighton Coalition, The Great Escape '08 >

先日取り上げた Golden Silvers もそうだが、バンドのコンペティションで優勝した連中のステージはなんとなくだが見ておいたほうが良い、と考えている。今年のグラストンベリーのニューバンド・コンペで勝ち抜いた彼らのライブはまさに「当たり」、今回の「発見」だった。

その前の月、ブライトンのグレート・エスケープでもそういったバンドをひとつ観にいった。このイベントをスポンサードする Red Stripe という、最近俄然とインディ・シーンを強力にサポートするようになってきたビールメーカーが主催する Red Stripe Music Awards。コレの今年の優勝者が、グレートエスケープ・イベントの2日目に登場する、というのである。

プログラムには名前が『優勝者』としか記載されておらず、ライブ終了後に会場のスタッフ何人かに名前を尋ねたが、誰もわからないという。家に帰って検索で調べたら、Klaus Says Buy The Record というバンドであった。www.myspace.com/klaussaysbuytherecord

フロントマンの Johnathan がかなりインパクトのあるキャラクターで、正直今回のグレートエスケープの中でもかなり印象深く残っているバンドである。かなりひきつけられる、というか引き込まれるようなステージであった。今後伸びてくるではないか、という予感をさせるものが確かにあった。

ところで、家で検索した彼らの MySpace (上に貼り付けたもの)で曲を聴いたら、意外にもそんなに面白いものではなかった。曲はおそらく同じなのに、である。実はこの Klaus Says Buy The Record なるユニットはそもそも Johnathan ひとりによるフォークミュージック・パフォーマンスを中心に成り立っており、いわゆる「バンド編成」は時々だけ行なわれるらしいのである。

彼らのライブを見る限りでは、Johnathan のカリスマ性が際立っており、「バックバンド」の助けを借りなければ 彼が見劣りしてしまう、ということは決してない。にもかかわらず、彼のサウンドはバンド編成で最大限魅力は発揮されるのだ、と思った。ステージではソロ演奏のパートもあり、バンドとの対比で更にそれが魅力的に見えたりもした。

もしプログラムにあらかじめ彼らの名前が印刷されており、それを元に MySpace で事前にチェックした場合、決して彼らを見に行く事がなかったであろう事を考えると、「ライブ道」が一期一会であることがよくわかる。

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@ The Brighton Coalition

ところでライブの途中、肝心の「バンド」の電源が全部落ちて音が出なくなってしまった。回復するまでの10分間、ギターをウクレレに持ち替えステージを降りて観客の中に入り込んで熱唱する Johnathan。観客の歓声と応援の中、力強くも芸達者なパフォーマンスであった。結局偶然ながら彼のもともとのスタイルであるアンプラグドな演奏も堪能できたのだが、MySpace で聴ける、フォークシンガー然としたそれとは違う世界であった。

2008年7月26日 (土)

The Libertines

< 2003. 06. 28 @ Glastonbury Festival '03, The Other Stage >

梅雨明けの日本でうだっている皆さんには申し訳ないが、ヨーロッパの夏の方が多少は過ごしやすいと思う。

多少、と遠慮がちに言ったのは、7月の下旬現在26~27℃くらいの気温がここパリでは続いており、このあと昨年のような冷夏になるのか一昨年のような猛暑になるのか、見極めが難しいからだ。有名な話だが、2003年の「ヨーロッパ猛暑」では、ここフランスで数千人単位のじいさんとばあさんが、ただただ暑さのために死亡したという、まるでインドのようなことが発生した。おととしの夏にはそれが実際にありえるだろう事を自分自身でも体感した。なにしろ、会社のオフィスにももちろん自宅にも、エアコンが付いていないのだ。

オレが借りているアパートは、窓からエッフェル塔の上3分の一だけ見えるという中途半端な景観が意外と気にいっている。しかし、5階建ての最上階に位置するこの場所は、屋根のトタンが真夏の日光をすべて吸収するため、中は蒸し風呂だ。夜はセーヌ川で大量発生する「蚊」を防ぐため、スーパーで買ったフランス製電気蚊取りをセットし、窓を全開にして半裸で床についたものである。寝苦しい中、「ああ、2003年のじいさんたちは、こんなカンジで死んでいったのだな・・・」としみじみと寝もだえながら朝を迎えたのであった。

おととしの夏、会社の中はもっと厳しかった。一応日本の会社のサラリーマンなので、ワイシャツにネクタイそしてスーツという姿で出勤するのだが、午後の強い日差しが照りつけると、席に座っていても背中は「鉄砲汗」だ。仕事に集中できない。暑すぎて気を失いそうなので、勤務中外に散歩に出かけたことが何度もある。外の方が絶対的に「すずしい」のだ。そして夜になり、多少日差しが弱まってくると(外はご存知のようにPM10:30ころまで明るい)、フランス人同僚が皆帰っていなくなったころあいを見計らい、楽チンなTシャツに着替えたりしたものである。会社で開放的にシャツを脱ぎ去る瞬間が、ささやかな楽しみでした。

今年はなんとかこの26~27℃くらいでとどまってくれ、と願いをかけているのである。去年のようにず~っと20℃前後というのも、さびしいけどな。

さて、このように普通のサラリーマンは仕事中堂々と着ているシャツを脱ぎ捨てるわけにはいかないが、一方では「シャツ脱ぎ」を人さまに見せることを仕事にしているヒトタチもいる。言わずもがなだが、バンド関係の方々である。

もちろん熱演すれば本人はだんだん暑くなってくるし、客席も興奮して会場の中がだんだん熱気に包まれてくるはずなので、ステージが進むにつれてミュージシャンが着ているものを一枚づつ脱いでいくのは良くあることである。だが、世の中のミュージシャンには2種類いて、一方は上半身裸になる人たちで、もう一方は、いくら暑くなっても上半身裸にはならない人たちである。そして、前者の方々は、実は暑い暑くないにかかわらず、そもそもハダカになるのが好きな人たちだ、と思っている。

The Libertines のカールとピートは、両名とも断然「脱ぎ」派だ。The Babyshambles をレディングフェスティバルで観たときだが、テントの中のステージが熱気に包まれてくると、汗まみれのピートはついに自分の白いシャツを脱ぎ捨てた。これは、正統派の「脱ぎ」といえよう。

だが、ピートを欠いて出演するのしないのと話題になったグラストンベリー '03 の屋外ステージで、カールは登場した瞬間から上半身ハダカであった。はっ、早い。というか、脱いですらいない。最初から着ていないのだ。ちなみにここは、スペインのサマー・ロック・フェスティバルではなく、まだ荒涼とした風が吹きすさぶ、6月のグラストンベリーだ。ヤツは暑かったのかも知れないが、オレのココロはさらに寒くなってしまった。

カールとピート。どちらも「脱ぎ」派なのだが、オレはなんとなくだがピートのほうに好感を持った。世の中にはシャツを脱ぎたくても脱げないサラリーマンがたくさんいるのだ。人前に出てくるときくらい、何か着なさい。

Carl

Flickr より、最近の Carl Barat 氏 (Dirty Pretty Things)。The Libertines 時代からの同僚ドラマーと二人合わせて「脱ぎ」派だ。

最近出た Dirty Pretty Things の新譜は、同じ時期に出た Yeti (The Libertines もとベーシストのジョンのバンド)の新譜よりも各誌のレビューの点数が低かった。もはや職業「ハダカ」のハダカ大将である。

* こちらからコメントバックできないので、追記します:

上には上がいるものです。ところで、ジョニー自身も以前はカールとピートと同じバンドにいたわけですよね?今は仲が悪いのかも知れないが、「脱ぎ」つながり、「ハダカ」ソウルメイト、とも言えるわけです。よく、宗教原理主義者は「過激」なほうがエライ、とされると言いますが、「ハダカ」教の内輪の争いが激化した結果が今日のジョニーの脱ぎっぷりかもしれません。

2008年7月25日 (金)

Neon Neon

< 2008. 06. 28 @ Glastonbury Festival '08, The Other Stage >

さて、今日からいよいよフジ・ロックですね。

実は一度も行ったことがないのだが、もちろん是非一度は行ってみたいと思っている。思ってはいるのだが、なんとなく心配が胸をよぎらないでもない。オレのような、かなりのおやっさんが行っても変な目で見られないだろうか、とか。あるいは、すっかりイギリスのフェスティバルで飼いならされたおかげで、食いかけのピザや焼きそばを、ステージ前で歩きながらそのまま地面に捨てるなどといった(たいへん、申しわけありません)、全くモラルの破壊された行動が気にならなくなってしまったカラダでは、「クリーンなフェスティバル」として英国でも有名なフジで生きてはいけないのではないか、とか。更には夜のお楽しみである、周りに捨てられているビール紙コップゴミを燃料とする「焚き火」の大きさ自慢を隣のグループと競いながら、メインステージのヘッドライナーを楽しむことが許されないのではないだろうか、とか、がちょっと心配だからである。

もっともこの1~2年で突然、気持ち悪いほどに「エコ」に目覚めだしたイギリスでは、音楽フェスティバルにもその余波が及びつつある。今年からグラストンベリー・フェスでは、入場者全員に黒いビニールのゴミ袋をくばっていたが、おそらく観客の100%はそれを「雨ガッパ」だと思ったに違いない。来月のレディング・フェスでは、ウェブのページからして「エコ」の文字が躍っており、一体どんなことになるのやら、楽しみでもあり心配でもある。フジロックが何らかの意味でお手本にはなっていくのだと思うが、おそらくイギリスらしい「進化」をとげると思うので、なんとなくそれを時代の証人として見ておきたい、というのもこの「ライブ道」の好奇心だ。ヒトビトのモラルの低さは急には変わらないと思うが、すこしづつは変わっていくんだろうなあ、と考えている。

話は日本のフジ・ロックに戻るが、今日7月25日の出演バンドで、現地に行く方には絶対に観ておくことをオススメしたいのが Dan Le Sac vs Scroobius Pip だ。実はオレはまだ観た事がない。観た事がないバンドをここで推薦するのは「ライブ道」的には反則なのだが、来月のレディング・フェスで姿を捉えるつもりであり、それからレビューを書こうと思っているので許して欲しい。去年(2007年)の5月、カムデンの Barfly で彼らのライブに出かけたのだが、訳あって前座の Black Affair を観ただけで家路についてしまっていた。たいへん悔しい思い出である。「反則」を犯してまで、ここでオススメするのは、最新シングルの [ Letter From God To Man ] が、今年2008年のベストトラックといっても良いほど面白い曲だからである。すでにファンが勝手に作ったPVがYouTobe で何十万もヒットしているが、ようやく出来上がったオフィシャルのPVもまあまあ良いできだ。

とはいえ、観てもいないバンドのライブを人に勧めるだけでは少し気が引けるので、最近面白かった連中も合わせてご案内したい。今年のグラストンベリーで初めて目にした Neon Neon だが、言うまでもなくSuper Furry Animals のフロントマンGruff Rhys の新ユニットだ。 www.myspace.com/neonx2   今年のフジロック、3日目に登場予定である。

何か特筆すべきことがあるのかというと、あんまりそういうわけでもないのだが、こういう音のバンドで聴くと、Gruff の歌声がライブでもヘタに聞こえない、というのが新鮮だった。もっとも彼の肉声を聞くのは7年ぶりだったので、その間に実は練習によって歌唱能力が上達していたのかも知れないのだが。この手の80年代風エレクトロ・ポップは、最近では昔のオリジナルを同時代に聴いていない若者がインスパイアを受けて作曲・演奏することが多いこのご時勢で、このバンドのすばらしところは、まんまオヤジがやっているところである。これこそ、「反則」なのか、それとも「アリ」なのか、本当は問題提起されないといけない、というのがオレの私見だ。SFAの曲調と違うので、皆一瞬すんなりと受け入れてしまうが、本当はこの点を見逃してはいけないのである。

Neon_neon_2

@ The Other Stage, Glastonbury '08  Flickr より拝借。

音楽フェスティバルにいくと、必ずどこかのステージに飛び入り”友情出演”する、Har Mar Superstar を、本日はここ Neon Neon にて発見。

* こちらからコメントバックできないので、追記します:

アドバイス、ならび情報ありがとうございます。原宿にも開店したという TOP SHOP で流行りものの若者服を買いこみ、例によって髪型を「若作り」で整え、是非苗場にも上陸したいと考えています。ところで、やっぱり「焚き火」はダメなのですね。実際数年前、Reading Festival と同時開催の Leeds Festival では、トイレに火が放たれ、警察も出て大騒ぎになりました。たしかにやりすぎはイカンが、多少の焚き火は周りとのコミュニケーション上も防寒上も、「あっても意外と悪くないモノ」だという気もします。トイレ放火騒ぎのあとも、焚き火自体は黙認されているようです。ただ、ヒトがステージを見ていると、突然横で「ファイヤー・ポイ」を始めるヤツがいるのは勘弁して欲しい。しかもみんな意外とヘタだったりします。

2008年7月24日 (木)

Ox.Eagle.Lion.Man その2

< 2008. 06. 20 @ Fleche d'Or, Paris >

コトバの通じないところにひとりぽつんと佇むのは心細いし、つまらないものである。

さすがに英語は100%の理解はできないものの、ラフな話し方でなければだいたい判るため、仮に相手が何を言っているか判らないときでも、「オマエの言っていることは、よくわからんっ!」と、自分の語学能力を棚に上げながらも通じないのはオマエが悪い、と逆ギレ対応をすることが多い。このほうが、キモチ的にも優位に立てるからである。

ところがオレはフランスに滞在しながらもこの国の言語に対する学習意欲を全く持たないため、この作戦はここでは通用しない。100%すべて何を言っているかわからないのに、基本的には判るふりをしながら、「ナンデスカ?チョト、ワカリマセン?」などとあたかも相手に非があるがごとく聞き返すと言うかなりの荒業にチャレンジしたことがある。しかし、結局相手のフランス人が真剣に言いなおしてくれても、こっちは相変わらず全くわからないという体たらくなので、次の瞬間にオレは怒ったふりをしてその場から逃げ出す、というむなしい結末を迎えたのだが、もちろん忘れ去りたい記憶となっている。

とすれば、当然ながら言葉のわからないひ弱な存在として、どこに行ってもその場所で小さくなっているしかないのだが、幸いなことにライブハウスの従業員や観客などといった若者のほとんどは、このパリでも皆かなり流暢に英語を操るものである。オレは今はその事実を知っているので、そういったライブ・ベニューに入場してもそんなに極端に縮こまっているわけではない。いざとなれば、堂々と英語で返事をすればよいだけだし、それをネガティブに感じる若者もあんまりいないだろうと思うからである。

だが、もちろんそんな「事実」をまだ知らない者もいるだろう。なんと言ってもフランス人は英語を解さないし、判っていても決して口にしない、というステレオタイプのパブリック・イメージをいまだに持っている人が多いのは、万国共通に違いないからだ。

そんなやつらを先日目の当たりにした。職業セレブ、ピーチズ・ゲルドフ嬢の彼氏だか元カレだかがフロントマンを勤めるOx.Eagle.Lion.Man をのパリ初登場ライブを観たときのことである。

その日最初のバンドのライブが始まる前、社交場として若者達が集いそして笑い声がはじけるここ Fleche d'Or で、ひとつのソファーに縮こまって無言で座っている特異な4人組の集団がいた。見まごう事なき Ox.Eagle.Lion.Man の連中との再会であったが、かれらはこの頼るすべもない言葉の通じない(に違いない)街で、緊張の面持ちでただただ黙って座っていた。この日は彼らのほかに目玉のバンドが出演予定で、観客はここで固まっている4人組を観にきたわけではないかもしれない。彼らの存在に気がつく人間も、あまりいないようだ。オレ自身も彼らに気軽に声をかけるような社会性あふれる人間ではない。

かわいそうな彼らは、従って、「石」のように佇むしかなかったのであろう。オレはある意味自分の姿を観ているようでもあり、彼らがステージの準備で姿を消すまでのあいだ、しみじみと眺めていたのであった。

ライブの終了後、ステージ中のMCがすんなり通じたり、あるいは演奏終了直後から彼らに話しかけてくる連中がいたからだろう、この場所はフツーに英語でコミュニケーションできる空間であることが判ったのにちがいない。彼らは饒舌に、そして楽しそうにアフターステージをすごしていたのであった。よかったね。

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@ Fleche d'Or

さて、肝心の演奏であるが、オレが以前書いたことを彼らが読んで、歌の練習にはげんだからなのか、実際のところ歌唱力がかなり上がっていた。しかし一方で、歌がすこしうまくなったところで、このボーカルにはカリスマ性が全く無いと言う事実にあらためて気がつき、なんとなくこれ以上伸びないバンドだな、と思った。厳しいですが。ステージ衣装も以前着ていたオースチン・パワーズのようなものの方が華があって良かった、と思う。そしてステージ上でのしゃべりはいかんともしがたいものであった。

「今日はみんな、来てくれてどうもありがとう。パリで演るのは初めてだから、ほんとうにうれしいよ。僕らは、えーっと、なんというか・・・・・、つまりそのう・・・・、えー・・・・それでは次の曲です・・。(以下この繰り返し)」

* コメントバックができないので、追記します:

たしかに、ペットボトルもキツかったなあ・・・・。オレは緊張を通りこして泣けた。

2008年7月23日 (水)

The Chapman Family その2

< 2008. 06. 27 @ Glastonbury Festival '08, The BBC Introducing Stage >

グラストンベリー・フェスティバルに通い続けていると、毎年のようにその規模が大きく、すなわち「ステージ」の数が絶えず増殖し続けていることがわかる。新しく加わったステージは、ホストにメディアがついていることも多く、よってそのメディアのウェブなどを通じてそのステージのユニークな情報が事前にいろいろと流されるようになってくる。独立採算制、と言うわけではもちろんないが、ステージごとに自分たちを個別にアピールするやり方はフェスティバルのあり方としても面白いと思う。

2007年に新たにこのグラストンベリー・フェスに加わった The Park エリアは、いまやこのフェスティバルの事実上の責任者、エミリー・イーバス(創始者マイケル・イーバスの娘)が、「自宅」付近を開放した「彼女ワールド」である。やたらファンシーかつヒッピーな旗に囲まれているのはすこし気持ち悪いが、もはやこのグラストンベリー・フェスティバルのアイコンとも呼べるアート・ダイレクションなのでがまんしよう。そしてこの The Park エリアに加わった3つのステージは、それぞれおもしろい特徴を備えているのであった。

この3つの新顔ステージの中で、規模は小さいながらも特徴あるブッキングを期待できるのが BBC Introducing Stage だ。その名の指し示すとおり、BBCラジオの人気DJたちがピックアップしてきた期待の新人達を紹介しよう、という触れ込みのステージである。そしてこの BBC Introducing Stage のウェブによれば、昨年ここでライブを行なった The Ting Tings は、今年言わずもがなの人気者になっており、それを発掘して紹介したのはこのステージだ、という威張りようなのである。

オレ自身にとっては The Ting Tings はどうでもいいバンドに過ぎないが、今売れているのはたしかだ。(もっとも某誌では、「イキナリ一発屋で決まり!」と核心をつかれていたが。)だがオレが注目したいのは、昨年このステージに出た連中で、今年伸びてきた、あるいは生き残っている連中が他には全く見当たらない点である。しかしオレはこのことを、必ずしもネガティブにだけ考えているわけではない。「注目の新人バンド」がそろっているステージが他にもたくさんあるこのグラストンベリーで、ここ BBC Introducing Stage が、すなわち BBC のDJたちが目指したのは、他では観れないような「濃い」連中を集めることであり、普通ではなかなかこのグラストンベリーに呼ばれそうもない連中を発掘してはここで紹介する、そのため、世間にはなかなかその良さが伝わらない、と言うことも可能性としてはあったりするわけだ。

さて、長い前置きであったが、今回このステージで今年いちばん観たかったバンドを捕らえることができた。The Chapman Family 。ライブを観るのは2回目だ。実はこの「ライブ道」というブログ、すでに200話目を数えているが、第一回目の登場バンドが彼らである。つまり、コイツラのことを書きとどめたくて、オレはこのブログをはじめたようなものなのであった。

ステージ前方で観たライブ自体ははもちろん楽しかったのだが、彼らを初めて観たときの観客数が実質数人しかいなかったことを思い出し、いまここで小さいながらもグラストンベリーのステージで多くの観客からの声援を受けている彼らの姿を目の当たりにしたとき、オレは「ここまできたか・・・」と感動し、熱いものがこみあげてきた。そして同時に、 The Chapman Family にとってこのような晴れ舞台はおそらくもう2度とないのではなかろうかと、現実そしてこのステージのジンクスを思い返しながら、更に熱いものがこみあげてくるのであった。

彼らのようなバンドにこういったチャンスをあてがった、BBC のセンスと心意気に感謝したいと思った。

Glastonbury_2008_010

@ BBC Introducing Stage

オレが目に焼き付けた、晴れ舞台である。すべての曲が良いというわけでは必ずしもないが、The RakesThe FutureheadsWe Are The Physics、Art Brut などと同様に、パンクサウンドの真髄を心得た数少ないバンドのひとつだと思う。

The Chapman Family その1

The Chapman Family その3

2008年7月22日 (火)

Pete and the Pirates その6

< 2008. 05. 17 @ Horatios Bar, Brighton, The Great Escape '08 >

さて、キミは今までの自分の人生の中で最も幸せだと感じたライブの瞬間のことを覚えているだろうか?オレは覚えているぞ。なぜならそれはつい最近の出来事だったからだ。

今自分自身が最も入れ込んで応援しているバンド、 Pete And The Pirates が、今年の The Great Escape イベントで、最終日3日目の最後を飾るとあっては興奮するな、といっても無理である。彼らはすでにその前日、Concord2 というオオバコでMTV2 ホストのステージの大役を勤め上げていた。それから考えれば、この最終日のステージは、ブライトンの観光桟橋の真ん中に位置するただのパブにしか過ぎないさびしい場所ではあった。だがこの日、このステージは、「捨てバンドなし」の誉れも高い、脱力系バンドが盛りだくさんの『Stolen Recordings』所属アーチストの勢ぞろいナイトである。オレはこの日、ほぼオープニングからこのパブに張り付くことにしたのである。

いくつもの Stoloen Recordings の同僚バンドを楽しんだ後、待ちに待った Pete たちの登場だ。場所が場所だけに、音響はハッキリ言ってむちゃくちゃであったが、オレは生涯息を引き取るまで、この日にライブのことを決して忘れることはないだろう。ほぼ最前列でみたこの日のライブがどれだけ楽しかったか。世の中でオレの最も忌み嫌う事柄のひとつに、ライブ会場での「モッシュ」があげられるが、その夜のオレは、自ら先導してそのモッシュの輪の中に飛び込んで行き、そしてはじかれくるくると回っていたのである。そもそも Pete And The Pirates でモッシュが発生すること自体が尋常ではないが、オレは確信を持って言える。このときのモッシュは皆楽しそうで、いい人の集まりだった、と。

オレのライブ道も、あとは余生である。だが、Reading 出身の彼らは、今年も2年連続で Reading Festival ('08) に出演するとのアナウンスがとびこんできた。自称応援団長としては、この夏もう一肌(自分のために)脱ぐ必要がありそうだ、と思っている。

Great_escape_2008_123

@ Horatios Bar

ちなみにこの会場、前日(Great Escape 2日目)は「もしもしレコード Night 」であった。

Pete and the Pirates その1 (2007年4月~8月のライブ3回)

Pete and the Pirates その2 (2007. 10. 09 @ Barfly)

Pete and the Pirates その3 (2007. 11. 15 @ La Maroquinerie)

Pete and the Pirates その4 (2007. 11. 16 @ Fleche d'Or)

Pete and the Pirates その5 (2008. 01. 04 @ Showcase) 

2008年7月20日 (日)

Dogs Die In Hot Cars

< 2003. 11. 04 @ ULU, London (supported 22-20's) >

< 2004. 02. 03 @ 100 Club, London >

< 2004. 05. 04 @ Carling Academy Islington, London >

< 2004. 08. 27 @ Reading Festival '04, Radio One Stage >

先だって一週間ほど出張で東京に滞在した。

プライベートな時間は、ドン・キホーテで買いだめをし、吉野家で牛丼を食いだめするのがお約束になっているのだが、今回は近代設備の整ったカラオケでの歌いだめも敢行してみることにした。ロンドンやパリのカラオケ事情はわびしさこの上ないものだからである。

日本を離れて9年間。すなわち最近9ヵ年の日本歌謡は一曲も知らないという事情もあり、十八番である「東京物語(森進一)」「五月のバラ(塚田三喜男)」「赤い靴(童謡)」など持ち歌を歌いつくしてしまったあとは、なじみの洋楽に舵を切って皆で楽しむことにした。

最新の通信カラオケ・マシーンで武装されたその店には、うわさには聞いていたが驚くべき内容の曲の数々が準備されていた。おそらく普通の暮らしをしている日本人で歌いこなせるやつは一人もいないであろうと思われる The Sunshine Umderground の [Put You In Your Place] などといった、そもそもなぜここにあるのかよくわからない曲のオンパレードだ。ちなみにこの曲をライブで3回ほど見ていることになっているオレの友人も、イントロから微動だにできずに、マイクを持ったままスクリーン前で立ちつくしていた。

そんな中で、オレの目を一番ひいたのは、2003年度のマイ・ベストソングに輝いた、Dogs Die In Hot Car[I Love You 'Cause I Have To] であった。 www.myspace.com/dogsdieinhotcars  www.dogsdieinhotcars.com  いまや懐かしい、記憶のかなたに押しやられてしまったバンドだが、おそらく最初のアルバム(2004年リリース)が売れなかったからだろう、ついに今日まで2枚目が日の目を見ていないのである。大好きなバンドなので、残念なことこの上ない。

実は去年、「2枚目のアルバムはあきらめて、解散します」というアナウンスが一時期流されたのだが、先月あたりになって、「やっぱり、2枚目出すようにがんばります!」という知らせが飛び込んできた。なんでもそのうち数曲は、とりあえず半分出来上がっているデモ曲を自分たちのウェブ上から自由にダウンロードしてもらいたい、そしてそれを好きにリミックスして応募してくれ、アルバムに採用のものについては著作権を折半だ、というかなり荒業の企画である。カタチややりかたは問わないが、何にしてもがんばってもらいたいものだ、と考えている。

カラオケ一回分の印税がいったいいかほどのものかはわからないが、気は心だ。無事に2枚目が出ますように、というお賽銭のつもりでこの曲の番号をセットし、そしてオレは熱唱した。熱帯夜の東京の、ホットな夜のできごとである。

Ddihc

Flickr より。

彼らを観にいくたびにTシャツを買ったので、合計3枚ほどがタンスで眠っている。2003年、ULUで彼らをはじめて観たとき、当然のようにメンバーが販売していたTシャツの価格は£5。その次は£7。Tシャツ価格の相場である£10に「値上げ」されたのは、3回目になってはじめてであった。

2008年7月18日 (金)

Feeder

< 2001. 4. 22 @ The Astoria, London >

世界的な和食ブームと言われて久しい。

特に、「味覚細胞未発達」と揶揄されがちな英国人の世界では、レストランは「値段が高いこと」と「クリエイティブであること」のみが評価基準となるため、近年のロンドンではやたら豪勢な通称ネオ・ジャパニーズのレストランが林立し、いずれも活況を呈しているのである。

有名なレストラン・ガイドブックである「Squaremeal」誌では、ページをめくると最初の方に「セレブ@トレンディ・レストラン」みたいなスナップが乗せられているのだが、「ジェイ・ケイ@ZUMA レストラン」などといった、おしゃれ高級ジャパニーズが幅を利かせて、庶民の羨望の的となっている。

お察しの通り、生粋の日本人からみると、「この料理が一人5万円とは!?コレは新橋で食べれば1,800円くらいではないか!」と当然のように思うのだが、金持ちはカネを使うことが目的であり、今の日本レストランは、その目的をかなえるのに最も適した場所なのである。そして本当の日本食マニアは、マドンナ氏(ロンドン在)のように、専属の日本人調理人を雇い、「和食しか食べない!」と豪語するのであろう。

ところで、こういう時流に乗った「レストラン選び」とは異なり、ここロンドンでも配偶者が日本人であったりあるいは本人が日本人だったりするミュージシャンの場合には、「和食レストラン」の選び方が、もっと地に足の着いたものになる。特に家族団らんの場合には、目線が一気に我々庶民と同じところまで降りてくる。

長いことロンドンに住んでいると、ミュージシャンに街ですれ違ったり、地下鉄で乗り合わせたり、ということが、頻繁ではないにしても時々はあるものだ。レストランで食事中を発見!というのもありがちなパターンである。もちろん無粋なので声をかけたりはしないが、かなりじろじろ見たくなるのはやむを得ないので許して欲しい。

Feeder のタカ・ヒロセ氏とその家族をロンドンのハズレにあるオレの行きつけの寿司・小料理屋の掘りごたつ席で発見したときは、見た目が入道のようなお店の大将が、ヒロセ氏とご子息に向かって「いや~、お兄ちゃんはしばらく見ないうちに、ずいぶん大きくなったなあ~」などと心温まるコミュニケーションをとっていた。あばれて店内を走り回るご子息をいさめるその「両親」の姿を見るにつけ、オレは目頭が熱くなり、ビールを一気に飲み干したものである。

ヒロセ氏とは逆の日英カップルである Feeder のバンド仲間グラント・ニコラス氏とその家族を発見したのはオレが以前勤めていた会社の近く、ロンドン中心部のとある回転ずし屋であった。ここはロンドンに数ある回転ずし屋のなかでも味よし、ネタのバリエーションも豊富、という日本人にも隠れファンの多い店であった。「両親」とご息女が仲良く寿司をつまんでいたわけであるが、小さい子供と行く回転すし屋はなかなかたいへんである。世の中のすべての両親と同様、自分たちが食べるよりもお子さんの口の周りをタオルでぬぐったりと、落ち着いてたべられるものではない。

こういった、あまりにも庶民的な場所で庶民的な光景を見たことで、自分自身の Feeder に対する好感度が急上昇したことは言うまでもない。おとうさん、がんばって!である。日本食レストランをセレブとして利用するのではなく、こういう親子団欒にどっぷり浸かったやりかたで訪れるミュージシャンの方々を、是非応援したい、と思った。オレは、彼らより年上であるにもかかわらず、子供を持ったことがない。ないのでそういうお父さんの姿を見ただけで、畏敬の念にかられてしまうのであった。

そういえばずいぶん昔、彼ら Feeder を一度だけ観にいったことがある。ロンドンの The Astoria で行なわれた彼らのヘッドライン・ショーは、ちょうどメジャーな成功を手に入れた [Buck Rogers] のヒット直後のライブで、当然ながらソールド・アウトで大盛況。見た目が部活帰りの中高生みたいな連中でごったがえしていたので、あまりにもオヤジのオレはちょっとだけ気恥ずかしかったが、彼らの堂々たるステージには素直に声援を送りたかった。

何年かして小料理屋と回転すし屋で彼らの団欒を眺めたあと、ふと頭をよぎったことがある。そういえば、ドラムのメンバーの方も、もしロンドンの「酔処(よいしょ)」あたりで家族で焼きギョーザを食べるような生活を送っていれば、その後の Feeder の道どりも違ったものになっていたのではないか、とも思ったりしたのであった。

2008年7月17日 (木)

The Golden Silvers

< 2008. 06. 28 @ Glastonbury Festival '08, The Other Stage >

Jay-Z 騒動や前売り券の売れ行き不振で今年も何かと話題を提供してくれたグラストンベリー・フェスティバル。しかし雑誌のレビューなどを読むにつけ、さすがにフェスティバルの規模と格というものが、他の追随を全く許さないものだという感慨を持たざるを得ない。The Last Shadow Puppets や、Franz Ferdinand が中規模ステージだけに予告無く登場するフェスティバルというのも、世の中他にはあまりみあたらないだろう。(当日、手書きコピーの告知ビラは配られたそうですが)

とはいえ、オレ個人はそういったバンドが最初からラインナップで紹介されていたとしても、彼らのステージを「観にいこう」と思うわけではない。従って、結局は観ることなく終わってしまうのだが、思うにヘッドライナーの人気だけで集客を煽る凡百のロック・フェスティバルとは違って、グラストンベリー・フェスというのは、個々のバンドではなくてグラストンべリー・フェスに行くこと自体にお金を払うのだなあ、とあらためて納得するのである。

そんなグラストンベリーであるが、今年でオレ自身の参加も6回目となり、参加の仕方・楽しみ方もずいぶん変わってきたように感じている。

もともと混み混みのヘッドライナーを観るつもりは毛頭ないのだが、例年は、小さなステージでもトリあるいはトリ直前まで混雑度合いが耐えられる限りがんばったり、あるいは軟弱なオレの大敵である「寒波」に耐えられなくなってから脱出して毎晩ホテルまで帰っていた。しかし、今年は夕方くらいの陽が高くまだそんなに肌寒くも無いうちに、毎日会場を後にしてはホテルのある街まで戻っていったのである。そして何をしていたかと言うと、毎晩田舎町のパブを渡り歩いてはビールを飲みながらゆったりしていたのであった。

当然ながら観ることのできるバンドの数はいままでよりも半減してしまったのだが、何より体力的にきつくないのが良かったし、オレにとっていちばん楽しい時間帯だけ会場で過ごすことは正解だったようだ。他の人にあんまりオススメできるような「フェスティバル」の楽しみ方でないことは判っているけれど、じじいなので許してほしい。

だが一方で、フェスティバルに対する姿勢で一切変わっていない点もある。自分にとっての「核心」とも呼べる部分だ。この8年ほどのフェスティバル通いを通じて、オレが常にフェスティバルのベスト・モーメントと考えているのは、昼から午後にかけての陽が高く暖かな時間帯、まだ観客がそんなに込み合わない屋外ステージ前のフィールドで、寝っころがりながらステージを眺めている瞬間だ。そして、自分の知らないバンドが突然演奏し始めるや、「おおおっ!? これはなかなかおもしろいではないか!?」とやおら起き上がってそのバンドに目を奪われる瞬間だったりするのである。

こういう経験ができた日は、肌寒い風が吹いてくる夕方にはもう撤収を開始しても悔いはない。日中は会場のフィールドで飲む紙コップ入りのビールがうまいのだが、夕方以降涼しくなってくると、パブのビールの方ががぜんうまくなってくるものなのである。

さて、ことしのグラストンベリーでもいい経験ができた、すなわち面白いバンドを発見することができたので、紹介しておきたい。 The Golden Silverswww.myspace.com/thegoldensilvers

全く事前の予備知識がなかったのだが、見た目はゴールデン・シルバーと言うよりもゴールデン・ラッキー(By 榎本俊二)である。全くの新人ながら、全会場で2番目に大きいこの The Other Stage で演奏できたのは、過去に The Subways などを輩出した、ここグラストンベリー・フェスティバルのニュー・タレント・コンペテションの今年の優勝者だからである。音の方は、フェスティバルの紹介によると、「モータウンとジミヘン、そして昔のプリンスの音で磨かれたニュー・グラム・ポップ」という、全く想像もつかないものであるが、メンバー3人の全く統一の取れていない個性的ないでたちを見ながら音を聴くと、この説明もなんとなくだがわかった気にさせられてしまう。

面白かったので、数曲だけ走って最前列まで観にいった。

Goldensilvers2

彼らのMySpace より、グラストンベリーでの演奏終了直後。左がドラムスで右がキーボード+ボーカル。本当はいちばんお見せしたかったのはゴールデンラッキーにしか見えないベーシストであった。

Glastonbury_2008_032

そしてコレはオレの撮った写真。陣取った場所から座ってシャッターを切ったが、座ったままでもステージ上の様子がわかる、そんな混み具合のAM11:50 である。自分としては理想に近い状態といえる。最前列からそんなに離れているわけではないが、でもステージから見ると(上の写真)混んでいるように見える、フェスティバル・マジックである。

● Golden Silvers その2

2008年7月 9日 (水)

Operator Please その2

< 2008. 05. 16 @ Water Margin, Brighton (Great Escape '08) >

偶然も含めてだが、時としてバンドに大接近してライブを観るチャンスにめぐまれることがある。オレの得意技である「ステージそで」ポジションをキープしたときなどがいい例だ。先日の The Great Escape '08 でひさびさに Operator Please を観たのだが、すっかり人気者になった彼らをうまく楽しむには、最初っからステージの横のほうに抜けていくしかない、と考えた。バンドを正面から観れないのはいささか残念だが、会場の Water Margin の構造を考えれば、この「そで」位置がベストポジションのひとつであることはあきらかだ。おかげで誰にもじゃまされずに彼らの演奏を最初から最後までたっぷりと堪能することができた。通り道が狭すぎて、ステージに登壇しようとしたボーカルの Amandah に押しつぶされそうになったが、そこは我慢したい。

そういう場所からカメラのシャッターを切ると、なかなか臨場感のある写真が出来上がる。例えばこんなカンジだ。

Great_escape_2008_060

どうです?自分の真横で演奏している迫力が伝わってくるでしょっ?その距離50センチ。

ところで、こんな近くからシャッターを押し続けていると、迫力がありすぎる逸品が出来上がってしまうこともある。

Great_escape_2008_063

・・・・・・・・・・・。

ちょっとコワイよ、Amandah ・・・・・・。

皆さんはこういった写真作品が出来上がってしまったとき、どういうお祓(はら)いをして成仏してもらってますか?オレのような気の小さな人間には切実な問題だ。

先月 Glastonbury Festival '08 の会場で、そのときはステージは観なかったのだが会場内をのしのしと歩いている彼女の姿を発見した。15万人もヒトがいる中で、すぐ判る独特の個性のである。1メートルからの近距離撮影はやはり無謀なチャレンジであったようだ。

Great_escape_2008_057

この日キーボードは暫定メンバー(男)でした。

Operator Please

2008年7月 2日 (水)

The Metros

< 2008. 06. 27 @ Left Field Stage, Glastonbury Festival '08 >

さすがにこの歳になると、昨今のアンダーエイジ・ブームで人気が出てきたバンドのステージを観ても、かわいらしいというか、保護者のような気持ちになってしまうことが多い。不良を気取ったスタイルで演奏していても、「うむうむ。若いって、ええのう。」と、わが子の学芸会を応援する父親のような優しい目でうなずきながら、無言の声援を送るのが常である。

ところが今年になって MTV2 でよく目にするようになった The Metros というバンドのボーカリスト Saul 。コイツの面構えは本当にワルイ。 www.myspace.com/themetrosband  www.themetros.com 最近イギリスでは若者同士がナイフで刺し殺したり殺されたりとかの事件が頻発して社会問題になっているのだが、たぶんこういうヤツが刺してるんだろうな、と合点がいくようなワル顔である。したがって、とてもコワイ。コイツに不用意に近寄ってはいけないことが、テレビを見るだけでもわかるアブナさだ。

そういう意味では、音楽性はともかく、近頃のぬるい子供バンドとは一線を画す、コワいバンドである。こいつらステージから観客にビンをなけ込んで怪我を負わせた事がある、などといった逸話を聞くと、ステージを観る前からオヤジ狩りにあった気分だ。だが、怖いもの見たさは「ライブ道」につきものである。先週おこなわれた今年の Glastonbury フェスティバルでも彼らが演奏するというので、早めにそのステージまで行って陣取ることにした。

会場の Left Field Stage というテントに到着すると、彼ら The Metros が登場するまでにはまだしばらく時間があったのだが、観客スペースに Saul が他のメンバーと歩いているのがさっそく目にとびこんできた。われわれの眼前を通り過ぎていく。

「こっ、コワいっ!コワすぎるっ!!」

オレは恐ろしさのあまり叫び声をあげたが、たしかに Saul の形相は尋常ならざるものがあった。一瞬腰が抜けかけたが、我に返って考えると、彼がTVで見るよりもさらに恐ろしい顔をしているのにはワケがあるような気がしてきた。

この Left Field Stage と言うテントは、その名の指し示すとおり「左翼活動ご用達」ステージで、ある意味この Glastonbury Festival の名物のひとつでもある。このイベントは発祥がヒッピーイベントなので、今日に至っても「フェア・トレード」とか、「貧困を過去のものに」、あるいは地球を大事に的な、かなり説教臭のする左がかったメッセージやコンセプトで彩られている。オレ自身も「地球を大事に 」することにはやぶさかではないのだが、はっきり言って今日はここに音楽を楽しみに来ているだけの大多数の小市民の一人に過ぎないので、ヒッピーっぽい雰囲気は楽しめるにしても、暑苦しいメッセージは基本的に耳から耳にぬけて消えていく。

ところがそうはさせじ、とばかりに作られたのがこの Left Field Stage で、バンドとバンドとの合間に活動家が出てきてなにやらアジッたり、ビラをくばったり、そして連帯を呼びかけたりする。そして、そういう目的があるからなのか、バンドのラインナップにくらべてはずいぶんとでかいテントなのである。バンドの力だけではなかなか「満員」にするのは難しい、なにか「動員」の必要な、いわくのありそうなステージなのである。そして The Metros は、どこかの労働団体がホストする時間枠の中に、なぜかブッキングされていたのであった。

The Metros 以外の出演バンドを調べてみると、みんな見た事も聞いたこともない人たちだ。そんな連中がここで演奏するとなると、いくら15万人がいるイベントとはいえ、演奏中の見栄えはこんな感じになってしまう。(これ、無名バンドの演奏中です。)

Glastonbury_2008_056

更に後方を見回すと、子供たちが風船でサッカーだ。(同じく演奏中)

Glastonbury_2008_057

このグラストンベリー・フェスティバルは、子供連れの参加者がとても多いのが特徴だが、広大な敷地を見回しても、これほど「子供サッカー」に適した場所はない、というほどだだっぴろい空間が空いているのであった。そしてこんなところでもうすぐ演奏しなければいけない The Metros のメンバーにとっては、ホントに客入るのかいな、というとてつもないプレッシャーがかけられているのである。

The Left Field からすれば、最近売り出し中のこのバンドにあやかって集客し、観客全員に活動ビラを配るのが目的のようである。しかし、なんといっても新人さんの The Metros には荷の重いはなしである。どう考えても、客席埋まらず・ビラ配りきれずで、ホストとバンドの双方が消化不良になるのは目に見えている。そういう状況で、Saul はとてつもなく恐ろしい表情をして歩いていたのに違いないのであった。

そうこうするうちに、いよいよ The Metros の登場時間だ。観客は上の写真より多いとはいえ、この大きなテントを埋めきるには到底いたっていない。オレはかたずをのんで Saul の登場を待った。オープニングのイントロにあわせて威勢よくとびこんできたメンバーは、予想に反して、皆楽しげであった。意外だったのは、PVで見慣れた「不良高校生」といったいでたちではなく、グラストンベリー・フェスらしいヒッピー感あふれる衣装をメンバー皆がまとっていたことであった。着替えたな、オマエら。TPO、というわけでもないだろうが、せっかくのこのイベントを楽しもう、というメンバーの姿勢が感じられて、ちょっと好感が持てた。つまり、基本的にはただの元気なコドモタチであることがわかって、すこしだけホッとしたのである。やっぱり、緊張してコワイ顔してたのかなあ・・・。こっちが緊張したよ。

ステージを十分堪能し、活動家のビラは当然受け取らずに、「うむうむ。若いってええのう。」とつぶやきながら Left Field Stage をあとにしたのであった。

Glastonbury_2008_028

@ Left Field Stage

最終的には5割ほどの入りか。

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