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2008年9月18日 (木)

Elle s'appelle

< 2008. 05. 15 @ The Water Margin, Brighton, The Great Escape '08 >

ロンドンとパリの両方に住んだ、あるいは住んでいる経験から言うと、双方に住む日本人を比較して一番「ちがうなあ~」と思うのは、パリのほうが「自分が住みたい街だから住んでいる」という人々が圧倒的に多い、ということだ。

ロンドンにはやはり金融企業やらなにやらいろいろあって、日本人にしても企業駐在員の数が圧倒的に多い。もちろん「ロンドンで背広の仕立てを修行したい。ロンドンでなければダメだ!」という、かなり狭い世界でつきつめているヒトもいる事はいるだろう。だが、同じロンドンに住むにしても、なんとなく英語だし、とか、とりあえず転勤で来ました、特にこの街に思い入れがあるわけではありません、というヒトが実際にはかなり多いと思う。この学問を成したいのだが、師事すべき専門の教授がたまたまここにいました、とかいう程度の動機である。そういう意味では、オレから見てあからさまに「濃い」エネルギーをあたりに発散するヤツが、そうたくさんいる街ではない。

一方のパリ。ここはロンドンに比べて日本企業の事務所がそんなにあるわけではなく、なぜ自分が今ここにいるのか、よく考えたらわからない、というオレのような存在はあくまで少数派だ。パリがすてきな(ところもある)街だということは否定のしようのない事実かもしれないが、アイ・ラブ・パリな特濃の日本人がうようよひしめいているため、時として呼吸困難やめまいを覚えてしまうのは、おそらくオレがフランス語を話すことができないヒガミからくるものに違いない。

こういったマダム「特濃」や、ムッシュー「特濃」は、予期せぬタイミングでオレの目の前にあらわれる。もちろん彼ら自身「日本人」として、パリのダメなところをけなしたりはするのだが、自分らが「パリはここがすばらしい」と信じて疑わない分野にこちらが疑問をはさもうものなら、まるで自己を否定されたかのような興奮状態でこちらに反論を試みる。で、こちとらは結局フランス語も話せない「マイノリティ」なので、市民権なく強制退場、とあいなるのであった。

オレはオレで悔し紛れに、そういったマダム「特濃」や、ムッシュー「特濃」に影でニックネームをつけるのだが、それはたとえば「すまたん田中(仮名)」とか、「じゅてえむ鈴木(仮名)」とか、そういったものである。で、なぜそんな名前かというと、フランス語で名前をつけると圧倒的に間抜けに見えるからである。フランス語とは、所詮そのようなものなのである。

ミュージシャンも同じだ。フランス人を除き、国籍問わずでフランス語のバンド名をつける連中は、すべてムッシューかまやつとピエール瀧に通ずる、というのがヒガミを通りこしたオレのやけっぱちの結論である。

今年 Camden Crawl から Great Escape、そして Glastonbury Festival と大活躍な英国の新人3人組 Elle s'appelle www.myspace.com/ellesappelleband

MTV2 でもよく流れいたので目にしていたが、曲はわるくない。しかし、フランス語でバンド名とはいい度胸ではないか?なんとなく語感的にも「とわえもあ」に通じなくもない。そもそもこの「えるさぺーる」の親戚である「じゅまぺーる」は、できればフランス語を話さないで穏便に一生を終えたいと考えているこのオレが、得意先の事務所の受付で毎回必ず話さなければならない屈辱のフレーズでもある。「じゅ、じゅまぺーる、Funfa 77 (対訳:Funga77 と申しますですが・・)」と毎回決まっておどおど話さなければならないのは、一応はささやかながら社会的地位を築いたサラリーマンにとって、拷問ですらある。このバンド名を見るたびに、キモチが重たくなってしまうのだ。そこで、こんなフランス語のバンド名をつけてしまうのって、オマエらセンス的にホントは大丈夫か?というのが、半分八つ当たりで半分ホントに当たっているかもしれない、オレの疑問である。

初めて観る彼らのステージは、ビックリするようなすばらしいものではなかったが、まあまあ期待どおり楽しめるものだった。あらためてひとつ気がついたのは、フロントの紅一点のお姉さんが、パリでよく見かけるすっきりほっそりしたパリジェンヌのような外見ではなく、背は高くないががっしりしてガタイのよい、典型的な英国女性だったことだ。

ダサい名前かとかそんなことはどうでもよくなって、なんというかイギリスのバンドって見た目も安心できていいよな、とわけのわからない結論に自分で納得して彼らに拍手を送ったのだった。なんとなく「濃い」ヤツラではなさそうだと思ったので、すこし安心した。

Great_escape_2008_008

@ The Water Margin

ベレー帽とかかぶって出てきたらどうしよう、とか真剣に心配した。フツーの格好をしていただけでオレから高得点を獲得した。

* コメントバックができないので、追記します:

コメントありがとうございます。たしかにしゃべりはかなり訛ってました。それを含めて安心感が醸成されたのだと思います。よく考えたら、「える、さっぺええ」と自分で発音してみると、世界共通の訛りのようにもきこえます。おれのくにことばも、そんなだ。

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コメント

フランス語のバンド名は、彼らの強烈なリバプール訛りに影響をうけないとか。

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