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2008年11月

2008年11月21日 (金)

Foals その3

< 2008. 11. 14 @ Le Cigale, Paris >

さて、人気上昇中の Foals であるが、その行く末をすこしだけ占ってみたい。とまあ、そんなにたいそうな話でもないのだが、このたびちょっとだけヤバめの雲行きを感じたので、記録しておきたい。

ここフランスの主要各都市でおこなわれる、毎年恒例の Festival Les Inrocks というイベントだが、今年もUKインディバンドを中心に豪華なラインナップで4日間開催された。オレ自身も参加は3年目となる。そのうちのある晩のヘッドライナーを堂々と勤めあげたのが、前座5バンドを従えた、彼ら Foals であった。実はそこで観た彼らの姿に、すこしだけ「うむむむむっ」と唸ってしまった、というのが今回のレビューの趣旨である。

実は改めて、自分が過去書いた Foals のライブレポート(● Foals その1、● Foals その2を読み返してみた。すると面白いほどに、今回のライブがなぜ自分にとってしっくりこなかったか、の理由がよく分かる。

昨年(07)の初頭であったか、初めて観たときうの彼らの姿は、なんと言ってもオリジナリティあふれる「内向きオタク型」のライブパフォーマンスで、実際にメンバーみんながステージ上で輪を作って内側に向かい、こちょこちょ演奏している姿がむしろ孤高な威厳と緊張感を感じさせたものである。もちろん、風貌、PVでのアクション、そしてオックスフォード大中退、という経歴などすべてがエキセントリックなオタク・パフォーマンスとも呼んでしかるべき輝きをもっていた。それらもあわせて独自のライブステージを作り上げていたといってもよいだろう。

今年の春、ひさしぶりの鑑賞となった彼らのステージは、すでにブライテスト・ホープとしての成功を手に入れ、堂々としたものであったことは否定しない。ただ、だからこそ、既存のバンドが大物になるにつれて身につけていくようなステージ上での「ふるまい」の萌芽をすこしだけ感じ取れたことが気になった。別にステージ上でのパフォーマンスが尊大、という意味ではない。彼らの持ち味のオリジナリティにこだわってほしかったし、それをうまく発展させてほしいというのが、ファンの一人としての勝手な思いである。

なんとなく、であったいやな予感が少し確信に変わったのが今回のヘッドライン・ショーだった。

ヤニス氏はステージを縦横無人に走り回り、ステージ袖のPAスピーカー機材によじ登ったりと大忙しだ。大立ち回りのハウリングや、シャウトひとつとっても、まるで「ロック・ミュージシャン」のようなものである。そんなキャラだったか、オマエ?前回同様ドラムソロが引っ張ってなかなか始まらないオープニングも、ある意味よくありがちな「誰かのマネ」ではないのか?

ことほど左様で、まあ観客としてはみんな当然大喜びなわけだが、少し長い目でみればオレ個人的にはあんまり向かってほしくない方向に舵を切っているような気がしないでもない。もっとも、彼らの場合、メロディや「さび」勝負ではなくて、サウンドのセンス一発勝負なので、この次どうする?というあたりに苦しい事情がありそうな気もする。。もしかしたら、普通のロックバンドに移行する準備をステージで行なっており、次回作(アルバム)は「安定した中堅バンド」のようなものになってしまうのではないか、とすこし危惧するものである。

Foals_cigale

@ Le Cigale  Flickr より拝借。

客席ダイブのあと、係の方に救出されるヤニス氏。軽くて小さいので、セキュリティの方々も仕事が楽です。

Foals その1

Foals その2

●コメントバックできないので追記します。

Comyuさん、コメントどうもありがとうございます。返信が遅くなってすいません。この映像は、確実に薬物ですが、あまり良いキマリかたではないようですね。これではいけません。ミュージシャンに望まれる「正しいキマリ」方とは、宇宙と交信するような解脱した踊りを見せてくれることであるべきだ、というのがこのライブ道の意見です。そのほうがこのバンドにとってもプラスになるはずだ、と思うんですが・・・。

2008年11月12日 (水)

Wild Beasts その2

< 2008. 08. 24 @ Festival Republic Stage, Reading Festival '08 >

謙遜は日本人の美徳であるが、イギリス人やフランス人がへりくだった態度や表現を取らない人たち、というわけでは必ずしもない。

だが、オレの経験から言えるのは、イギリス人というヤツは威張った態度をとるときにこそ謙遜語を駆使してオレたちをイラつかせ、そしてムカつかせてくださったりされるのです、かしこ(←これは悪い例。これではムカつくというより、あまり近寄りたくないヒトに見えてしまう)。

どんなカンジかというと、たとえばこんなである。

「もし。そこのお方。実はこんな老いぼれのわたしのわがままな頼みごとを、たいへん貴重なあなたの時間をわざわざ割いていただいてまでお願いするのは、まったくもってはなはだ心苦しいことこの上ないのだが、もしも可能であられるならでかまわないのだけれど、あなたが今偶然床に落としてしまったわたしのコートを、もとのコートハンガーにかけなおしていただくわけにはいかないだろうか?」

えええっ?あっ、すっ、すいません・・・、というか、オレが落としちゃったコートをすぐ拾えっ!て言ってるわけね。目も怒ってるし。そんな回りくどく言うひまがあったら自分で拾えや、とも思うのだが、そのおっさんはへりくだった表現をちりばめながらも、オレに強烈なプレッシャーをかけながら「命令」しているわけである。

いわゆる慇懃無礼の度の過ぎた攻撃ともいえるが、一応コトバの上では謙遜しているわけだし、むこうに落ち度があるわけでもない。こちらからキレるわけにもいかないので、すごすごコートを拾って頭をたれるが、なんとなく敗北感に打ちひしがれてしまうというものだ。ま、いずれにしてもこれがオレの考える英国流いばり虫である。

もちろん、へりくだりといってもただ単にこびへつらうのではなく、自信を胸に秘めながらの謙遜が、すがすがしくも堂々として見えるような態度というのもあってもよいはずだ。英国流「いばり謙遜」が、逆側にうまく転がれば、そういった見え方もあるのではないかと、なんとなくだが思っていた。先日のレディング・フェスティバルで、在欧9年目にしてはじめてそういう感触を味わった。

『平成の尾藤イサオ&ザ・コーラスバンド』としてオレが今年最も注目する新人バンドのひとつ Wild Beasts 。初出場のレディング小テントに応援に出かけた。客の入りはまずまずだ。近年めっきり日本人客のすがたが減ってしまったこのレディング・フェスティバルではあるが、このバンドには邦人サポーターのすがたもちらほら見られ、本邦でのアルバムセールスにも期待がもたれる。

彼らの姿を見るのは3回目だが、いつもどおり期待を裏切らないステージであった。セットが短く、もう終了か、残念だなと思っていたそのとき、ボーカルの Hayden(尾藤) が言った。「みなさん、今日はこんな僕らの演奏を、最後まで忍耐強く聴いてもらって、本当に本当に感謝しています。どうもありがとう。」

いえいえそんな、何をおっしゃいますやら。こちらこそ年甲斐もなく存分にとんだりはねたりさせていただきまして、ごっつぁんです。もちろん、彼らの曲もステージも完璧だったし、自信を持ってわれわれ観客に語りかけた言葉だとおもう。一歩間違うと相当イヤミになってしまうだろう。だが、かれらが本当の謙虚さを失っていない新人バンドであることは一目見てわかる。だから、こういった語りかけも、すがすがしくこちらの胸に飛び込んでくるのであった。

オレはこいつらはいいやつらだ、と信じたい。今週またパリに来るようなので、応援に出かけるつもりだ。

Img_2392_1

@ Festival Republic Stage

夏場のロングコート。Hayden の古着センスは、オレのような市井の者の感覚の20歩くらい先を行っているので、世間的にも「イイやつ」にみえるかどうか、すこしだけ心配だ。

 Wild Beasts その1

2008年11月11日 (火)

Etienne Jaumet ( Zombie Zombie )

< 2008. 06. 20 @ Flech d'Or, Paris >

Etienne Jaumet といっても誰も知らないと思うが、Zombie Zombie のメンバーのひとりである。もちろん、Zombie Zombie といっても知ってるヒトはほとんどいないだろう。オレも自慢ではないが、今だよく分かってはいない。 www.myspace.com/etiennejaumet   www.myspace.com/therealzombiezombie  そして彼のソロライブを、実は現場にいながらも見逃していたことに今になって気がついたからといって、それほど地団太を踏んでいるわけでもない。

数週間前の NMEの RADAR コーナーで大きく取り上げられていたフレンチ・エレクトロ・ロックの2人組が、この Zombie Zombie である。毎週いくつかのバンドが取り上げられるこの RADAR は、UKをはじめとして新人バンドが HME からお墨付きをもらう「登竜門」といっていいだろう。ここでフィーチャーされるバンドは期待の次世代であり、次の時代の音を出すヒトタチ、ということになるのである。オレも NME が毎週配達されると、まずここに目を通す。とりあえずは MySpace でチェックすることにしているのだ。

この Zombie Zombie。音のほうはなかなか悪くないのだが、積極的にライブを見たいと思うかどうかがこの「ライブ道」の評価基準だ。エレクトロ系の2人組がステージの上で「もぞりもぞり」とうごめいているライブ光景は、まあ踊りに行くなら別だが、そんなに観て楽しいものでもない。しかもこの手の連中はライブの演奏時間が夜遅いのが特徴で、オレのような軟弱なサラリーマンにはちと厳しかったりするのが常である。そんなわけで、この連中も、オレのマイ「観たいものリスト」の上位に名前が挙がってくるわけではない。それゆえ、このユニットの一員である Etienne Jaumet のソロライブといったところで、オレの食指がそんなに動くわけではないのである。

今日彼のことを取り上げたのは、ちょっとうれしいミクロな事実を発見したからである。

このブログに比較的昔から立ち寄ってくれている方でも、たぶんすでに記憶の片隅にもないであろうバンドに Turzi というフランスのサイケ・バンドがいた。今年の2月12日のエントリーで、取り上げたやつらだ。いや、このバンド名で検索してこのブログに訪れてくれた方もそこそこいたので、もしかしたら日本でもそれなりに取り上げられている連中なのかもしれない。強烈なオリジナリティがあるわけではないが、なかなか良質なギターサイケ・サウンドを聴かせてくれるバンドで、オレは気に入った。そんなバンドがフランスにいたので、ちょっとうれしかったのである。

そのときのエントリーでも触れたのだが、このバンドのライブには、MySpace でメンバー写真を見てもそこにはでてこない、不思議な風体のキーボード奏者がいた。オレが「くいだおれ人形」と瞬時に命名したこの頭頂部の薄くなりかけた、そしておなかのぽっこり出たミュージシャンは、そのあまりにも独特で異質な風体のみならず、演奏終了後クラブ・エリアで若いパリジェンヌたちと陽気に語らっており、「こんな見た目のくせに、まるでロック・ミュージシャンみたいなふるまいじゃないか!」と驚いたものである。それほどバンドの中ではビジュアル的に浮いて見えたし、ロック方面のヒトには見えなかったのであった。

それから数ヶ月したある日、オレが Turzi を一緒に見に行った友人と、いきつけのライブハウス Fleche d'Or に足を踏み入れると、その友達が、「あっ!くいだおれっ!」と開口一番に叫んだ。そこでも彼は、テーブル席で、パリジェンヌたちと語らっていたのである。もちろん、一度見たら忘れることのできない強烈な見た目の、このおねえちゃん好き(という表現が正しいかどうかわからないが)の「くいだおれ」が、本日の主人公 Etienne Jaumet 氏である。

最新号の Artrocker 誌が手元に届いた。「パリ」特集という、まるでフィガロ・ジャポンのような企画が今月号の目玉だ。もちろん載っているのは「セレブご用達のスイーツ・ショップ」ではなく、「フレンチ・インディバンドお気に入りの、寂れたデコレーションのライブ・べニュー」だったり、あるいは期待の新人バンドたちだったりする。そのバンドのリストの中にZombie Zombie が入っていたので、あらためて NME の記事を見直してみたのである。で、写真をよく見るとそのうち一人が、実はメガネを代えた「くいだおれ」だったことに気がついたぞ。そうか、あんたやっぱり Turzi の正式メンバーではなかったのね。一度見たら忘れられない、と言っておきながらなんだが、NME の写真は変装写真なので許してほしい。そこからいろいろ調べてみたら、Fleche d'Or で見かけた日は、ソロで出演予定だったらしい。演奏前に、一杯ひっかけて、おねえちゃんもひっかけて(しつこい)いたに違いない。その日オレは出演4バンド中、3バンド目まで見終えたら家路についていたのであった。彼の出番は深夜、4バンド目だったのだ。

最初に書いたとおり、彼のライブを見なかったことについては後悔していない。だが、自分の書いたブログ記事の「追加・訂正」ということで、ここに謹んで、以上「くいだおれ」の顛末を書かせていただいた。もちろん今後彼をどこかで見かけても、いや見かけるに違いないと半ば確信しているのだが、「あっ、エチエンヌさんがいた」とは思わずに、引き続き「くいだおれ、またいやがった」とつぶやくに違いないのだが。

来年のとし明けはUKでも演奏するようだが、彼と同郷ベルサイユ市出身の Air や Phoenix とはまったく異なるビジュアル、すなわちおそらくイギリス人の頭にある「おフランス・ムッシュー」とはまったく違った方向性の外見を含めてどういう評価を受けるのか、すこしだけ気になるのである。

Zombie

彼らの MySpace より。

左側が大阪名物くいだおれ人形。ちなみに右側は、食事を終え「くいだおれ」から出Zombie_nmeてきて人形を愛(め)でるオレ。ウソですけど。

で、これがNMEの記事です。

Kuidaore

で、これが来日時のエチエンヌ・ジョメ氏。Turzi と共演の際は、同じ赤縞でも横ボーダー柄のファッションであった。小憎らしいほどフレンチなセンスのトリコロール・カラーである。

2008年11月 7日 (金)

Seasick Steve

< 2007. 08. 26 @ Reading Festival '07, Carling Stage >

オバマ氏が大統領選で勝った。彼の勝利宣言集会に集まった人々をテレビを見ると、みんな「おばまあ~っ!」と叫んでいるが、その苗字呼び捨てというのは失礼ではないのか?アメリカ人ってやつは、愛情をこめて皆ファーストネームで呼びあうのではなかったのか。ヒラリーにはみんな「くりんとお~ん!」とは叫ばないような気もするが、意外とそんなことももないのか。

一方のオバマ氏も失礼なヤツである。今日見た朝日新聞(衛星版)によれば、「(ジョン・マケイン氏に対して)電話で『君は全力を尽くした』とねぎらった」と書いてある。いくら勝てば官軍とはいえ、47歳の若造(こう書くと、同世代のオレも「若造」、もしくは「ヤング」ということになり、あまり悪い気はしませんな)が、72歳のマケイン氏に対して『キミ』よばわりはないのではないか!人生ならびに政界の先輩に向かって、あまりにも無神経な暴言と言わざるを得ない。日本の国会では議員同士が「先生」「先生」と呼び合って、必要以上にたいへん礼儀正しいではないか。ところで英語ではやっぱり「You」でしょうか?

さて、そんな扱いを受けてマケインはかわいそうだな、と思う。ちょっとばかり剥製(はくせい)感の漂う外見をみると先もそんなに長くなさそうだし、せっかくだから一回ぐらい大統領やらせてあげればいいのに。トコトコと歩く感じもかわいらしくてオレは好きだったが、やはりその辺がアメリカ国民に不安感を植えつけてしまったのかもしれない。

マケインよりちょっとだけ若いアメリカ人ブルースマン Seasick Steve も、ジイさん度合いあるいはよれ具合では負けていない。www.myspace.com/seasicksteve  www.seasicksteve.com 「船酔いスティーブ」というものすごく弱そうな名前をもつこのじいさんは、実際にはステージで酒瓶を抱え、おそらくは酒に酔ってる最中とみうけられた。

昨年のレディング・フェスティバル ('07)、なにやらヒトがごった返しているステージだったので覗いてみたのだが、よくも悪くも「ソウルフルな本格派ブルース」であった。オレは基本的には「ブルース」の良さというものがまったく分からない人間なのだが、このジイさまがギターを弾きはじめると別人のように力強い音を出す、ということだけはよく分かった。結局最初から最後まで見通したのだが、この「酔拳」プレイが会場にいた多くのヒトビトを魅了したのを目の当たりにしたのが、一番印象的だった。

つい先日、SKYニュースの芸能コーナーに出ていたのを見てはじめてこのじいさんのプロフィールを詳しく知ったのだが、13歳で家を出てからホームレス、数々の仕事を転々として今日に至るという、波乱万丈の人生らしい。誕生日すら知らない、とはにわかには信じがたい話ではあるが。体を悪くして奥さんの実家のあるノルウェイに引っ込んでいたらしいのが、60代も半ばを超えたおととしになって突然イギリスで人気に火がついた。本人もびっくりしたことだろう。今年もレディングに再び登場し、フジロックで日本にも行ったらしいが、いい冥土の土産になったはずだ。

まあオレ個人がもう一度彼を観にいくことはないだろうが、よれよれになってからのワールドデビューには敬服するものがある。マケインも、ギターというわけにはいかないだろうが、もと軍人さんなんだから、自動小銃をかまえたり、手榴弾のピンを歯で抜くときは突然シャキッとする、といったようなキラー・パフォーマンスがあれば、あんまり国民から「このじいさん、ぷるぷるしてるけど大丈夫かなァ」とは心配されなかったかもしれない、と思った。

Seaasick_steve

@ Carling Stage ('07)

Flickr より。オレも尊敬される目上のヒトでありたい。

Seasick Steve その2

2008年11月 5日 (水)

Lets Wrestle その3

< 2008. 05. 17 @ Horations Bar, Brighton, The Great Escape '08 >

さて、4月のCamden Crawl '08 では正直なところ体力的にかなり疲れていたので、彼ら Let's Wrestle のステージを会場のパブの2階ソファーから眺めていた。個人的には、もったいなかったというか、ちょっと消化不良だったので、翌月の Great Escape '08 では、万全の体制でのぞむことにした。

彼らを初めて目にしたときと同様、尊敬すべきレーベルの先輩 Pete and the Pirates との共演だったからだろうか、たいへん盛り上がった良いステージであった。オレもがんばって、ぴょんぴょん飛び跳ねたぞ。彼らのインタビュー記事にも自分たちのこれまでのベスト・ライブとして Great Escape と Camden Crawl が共に挙げられていた。良い瞬間に立ち会え、あますことなく楽しめてよかった、と思う。このインタビュー記事を読み進むと、「曲はたまってんだけどさあ、アルバム出す金ないんだよ。」とのことらしい。いいから黙ってアルバム出せ、ストールン・レコード(Stolen Recordings)!

さて、Peteたちやこの Let's Wrestle を擁するこのストールン・レコードというレーベル、すでにロンドン市内のギャラリーで自分たちのエグジビジョンを行なっていることからもわかるように、なかなかアート・ワークが面白い。特にこの2つのバンドのシングルやアルバムのジャケットデザインは秀逸である。そうなると、当然バンドTシャツも欲しくなるというのが人情だ。何枚かすでに購入済なのだが、なかでも特筆すべき1枚はこのときブライトンの会場で直接手に入れたものである。なんというか、これを着て外をあるくと良識のある人間には絶対に見えない、と自信を持っていえるだろう。

Letswretretshirt ←レーベルのマーチャンダイズのページから。オレの買ったものは色違いだが、手に入れた瞬間から今年のベストTシャツのポジションを占めている。当然、出動回数も一番多い。パリの、そしてロンドンのライブハウスやフェスティバルで、このTシャツを着た日本人中年男性がいたら、それはオレだ。気軽に握手を求めてほしい(ウソ)。

ちなみにYouTubeで発見した、当日の現場。そして位置的にオレはこの観客の中のどこかにまぎれているはずである。こういうの見つけると、ちょっとうれしい。

 Let's Wrestle その1

● Let's Wrestle その2

2008年11月 4日 (火)

Envelopes

< 2008. 05. 15 @ Hectors House, Brighton, The Great Escape '08 >

年甲斐もなく、今更 Wii のマリオ・カートにはまっている。

「いまさら」なのには言い訳があって、フランスでもイギリスでも商品が売り切れで手に入らなかったのだ。そこで、困っているオレの姿を見かねた友人が、日本からの手土産で持ってきてくれたのだが、自宅にある「欧州用」Wii のマシーンに日本からのソフトを入れこんでも、ウンともスンとも絵の出てこなかったときの衝撃は、筆舌につくしがたいものがある。日本と欧州、ソフトに互換性がまったくなかったのだ。

それからしばらくは、悔しさを振り切るかのようにほかのゲームソフト(英国で購入)に没頭していたわけだが、ふと気がつくとさすがにここフランスでも普通に手に入るようになっていた。そこで相当出遅れた感はあるがものの、いまさらながら始めたのだが、当然のように面白くてはまってしまったのである。ちなみにオレの愛用キャラは「きのこ」→「おばけ」→「さる」という変遷をたどっている。オレの一番のお気に入りは、「さる」がびょよよ~んとでかくなったときに、くるっとうしろをふり返る瞬間だ。ふり返られた相手は、ちょっとばかり神経を逆なでされるに違いない、と思う。

さて、とはいえ、50歳近い分別あるべきサラリーマンが毎晩自宅でマリオカートに励んでいる姿は、冷静に考えるとさすがに恥ずかしいものがある。最近ではライブ道よりもマリオ道になっているのもちょっと問題かもしれない。そんな一方で、日本のゲームサイトに「世界一のマリオカートファンと自負するミュージシャン」と紹介されている Envelopes についてもいかがなものか、とは思うのだが、まあオレに言われたくはないだろう。www.myspace.com/envelopes 

すでに今年日本でもライブを行なっているので目にしたヒトもいろだろう。年の頭ころから話題にはなっていたので、ブライトンの Great Escape '08 で足を運んでみた。

音の方向性は好きなバンドなのだが、いかんせんこの夜は会場が混みすぎていたし、ステージの造形・つくりも良くなかった。加えてフランス人ボーカリスト、オードリー嬢の背丈がちっちゃ過ぎた。おそらくはオレの1~2メートル先で歌っているのには違いないのだが、ついに姿を一度も拝むことなく演奏は終了した。もうすこしコンディションの良いときに雪辱を晴らしたいと思ったことだけが彼らのライブに対する印象であった。

だが上のサイトを読む限り、彼らのアルバムはマリオカートとともに完成した、ということらしく、マリオ道修行中の今だと、オレももうすこし親近感を持ってライブを楽しめたかもしれない、とも思った。もっともオードリーが「ピーチ姫」を操っていたりすると、オレにとってガゼンいやなやつに早がわりしてしまう可能性もあるのだが。大人気ないが、ピーチは憎い。よく「さる」を突き落とす。

Envelopes_jpg

@ Hectors House

当日のオードリー嬢。Flickrより拝借。この日の観客は、この撮影主のようにアップで写真を撮れた人か、オレのように1ミリも姿が見えなかったか、のどちらかだ。ピーチ姫というよりは「きのこ」に近いビジュアルは、好感がもてる。

ところで NME誌を読む限り、今一番マリオカートにハマッているミュージシャンは、まんま「ゲーム中の自分の姿」をジャケットにした Ladyhawke に相違ないだろう。同誌のインタビューによれば、彼女の愛用キャラは「ヨッシー」だと。ピーチの声にはむかつくそうだ。

Ladyhawke

2008年11月 1日 (土)

Shitdisco

< 2006. 08. 27 @ Dance Stage, Readiing Festival '06 >

< 2006. 10. 13 @ Koko, Camde, London ( Club NME on Tour) >

さて、世界同時金融危機のまっただなかではあるが、イギリスではTVのトップニュース、あるいは新聞の各紙一面は共に連日コメディアンのラッセル・ブランドジョナサン・ロスが占領しているというお気楽ぶりである。

2人が出演した「BBCラジオ2」で、この連中は同じ番組に電話で参加する予定のとある老年俳優の自宅に、何回にも渡って下品な留守電を残し、それを番組で放送した。件(くだん)の俳優や視聴者が怒って問題化し、BBCそして政治家を巻き込んでの大騒ぎになっている。BBCは局として、なんで途中でこの狼藉を止めなかったのか、と。

BBCの責任者はとばされ、ラッセルは降板、そして本日ジョナサン・ロスにも3ヶ月の謹慎が言い渡されたのだが、放送コードの問題やBBCのあり方自体の問題にも発展し、しばらく騒ぎは収まりそうにもない。

イギリスにいればこの2人を目にしない日はない、というくらいの人気者ではあるのだが、超大物のジョナサンに比べれば、最近ハリウッドに進出したとは言うものの、ラッセルのほうはここ数年で人気が急上昇してきた新参者だ。オレにとってのコイツは、昔からTVですぐパンツを下ろしたりする、「尻だし芸人」のポジションから変わっていない。成り上がってきたが、調子にのりすぎてコケた。

事件の詳細を書くと『ライブ道』の格調をいちじるしく下げる恐れがあるのでここでは省くが、要は趣味の悪い「下ネタ」系と「暴露」系である。ラッセル・ブランドならやりかねないネタではあるが、これを日本でやっても間違いなく怒られるだろう。

日本のように「ホントは誰も気にしていない」のに局側であらかじめなんでもかんでも自主規制してしまったり、あるいは視聴者ひとりの抗議で大騒ぎしたりするのもいかがなものかとは思うのだが、オレにとって新鮮だったのは、イギリスでは「何でもアリ」かと思っていたら、やっぱりダメなものはみんなから非難される、という当たり前のことだった。そして、いったんそうなったときには大騒ぎになってしまうというのも面白かった。日本では、怒られたり干されたりはするだろうが、首相まででてくる大事件にはならないだろう。

さて、「ニュー・レイブ」という言葉がようやく世間に出回ってきたころ、Klaxons などとつるんでシーンを引っ張っていたバンドに Shitdisco という連中がいた。www.myspace.com/shitdisco  世間がDIY Disco 一辺倒になる前から活躍していた先駆者と呼んでいいだろう。切羽詰った曲調が、なかなか嫌いではなかった。もちろんいまでも活動はしているわけだし、DJ としてのキャリアはどんどん磨かれていたりするようだが、バンドとしてはいつのまにかなんとなく地味に埋もれてしまった印象は避けられない。

NMEが主催する「ニューレイブ」ツアーで Klaxons Data Rock などと混じって出演しており、そのとき彼らの姿を見るのは2回目だったが、やはりたしかにちょっと地味な演奏であった。そのステージで出演バンドを紹介するMC役の芸人さんがラッセル・ブランドだったのだが、これまた地味な「営業」ではあった。おれはせっかくだから観客にむかって「尻」くらいは出すのではないかと思ったが、形ばかりのバンド紹介をするそっけないものだった。この手のイベントで芸人さんが出てくるのも珍しかったが(まあ、VJはやってましたが)、NMEが「ニュー・レイブ」ブームを一発かまそう、とちょっとだけ奮発したのかも知れない。むかし会社の後輩の結婚パーティで「大川興行」(大川総裁等の著名芸人無し)を呼んでいたが、まあそんな感じか。

ラッセルにはおごりを捨ててこういった基本的「営業」で客を沸かせることを目指して出直してもらいたいものだが、マーキュリー受賞の Klaxons、天国と地獄のラッセル、そして花のない Shitdisco とそれぞれの歩む道はこの2年で大きく異なってしまった。 ニュー・レイブという言葉も死語になったかと思うと、感慨深い初冬の頃である。

Shitdisco

Shitdisco & Data Rock   Flickr より。

ところで、Data Rock って「ニュー・レイブ」だったのか?というネタのほうが今となって考えると面白い。

●コメントバックできないので、追記します。

コメントありがとうございます。そうですね、Friday Night 出演も一時休止です。ただ、年間出演契約料は変わらないため、タブロイド紙の見出しは『休んでる間も、一日12,000ポンドもらうのかよ!?』と、いささかバッシングぎみ。もっとも、ラッセルに対しては、いまさらあんなやつを責めても始まらん、と黙殺されはじめてます。BBCの現場のディレクターも若かったみたいだし、そりゃジョナサン・ロスがトチ狂っても仕切りきれんわな、と。で、やはり重鎮ジョナサン・ロス、しっかりしなきゃならないお前が何やってんだ、というのが世間の論調です。「被害者」のじいさんも、そう言ってました。

ところで、Shitdisco。「アジア系君」脱退は知りませんでした。鴻上尚史に似てる彼ですよね。

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