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2008年12月

2008年12月20日 (土)

Johnny Moped

< 2008. 12. 13 @ The Forum, London >

たいそうな話で申し訳ないが、自分の人生に明らかに影響を与えたアルバムを1枚だけ選び出すということができるだろうか。

確かに簡単な話ではないし、特にオレのように30年以上の年季があるおっさんの場合にはなおさら難しいとも思う。だが、1977年に発表された[ Live at the RoxyWC2 ] (Harvest Record) という、ロンドンパンク創世記のライブアルバムは、自分にとってまちがいなくその候補の一枚に挙げることができる。

Roxy というのは、その当時生まれて間もないロンドンパンクバンドの連中が出演していたライブハウスの名前であり、今はもちろん無くなってしまった伝説のべニューである。WC2とはその場所のあった郵便番号の一部で、コベントガーデンあたりに位置していたらしい。このライブハウスで1977年の1月から4月までに行なわれたいろいろなバンドのライブ音源を収録したのが、このアルバムなのであった。

収録バンドは The Buzzcocks、Wire、X-Ray Spex、Eater、Slaughter & the Dogs などなどそうそうたる顔ぶれであるが、そのほとんどは音をはじめて聞くバンドばかり、すなわち皆まともにレコードデビューする以前の演奏であった。曲のよしあしに多少の優劣はあったが、なによりこのライブアルバム全体から漂ってくる緊張感がたまらなくスゴかったし、「ロンドンはこんなすごいことになっているのか!」と当時高校生だったオレは遠い異国で起こっている出来事に思いをはせて胸を高鳴らせたものであった。とにかく、毎日毎日欠かさずこのレコードを聴いていた。

Sex Pistols や、The Clash などといったすばらしいバンドも同時期にいたのだが、オレが「PUNK」と聴いて一番しっくり来るのは、このアルバムに収められた数々の印象深い演奏だったと言ってよい。こんなRoxy のようなところに行ってみたい!こんな新しいことが起きている生の現場に行ってみた、というのが叶わ夢だったし、実現の可能性を考えたこともなったったと思う。

すっかりいいおやっさんになってからオレが「ライブ道」に走ったのは、ロンドン勤務をきっかけとして、いちじるしく遅ればせながらではあるが、自分にとって新たしいRoxy を開拓したかったからだと今改めて思う。PUNK ほどの大事件はもう起きないかもしれないが、新しい動きが起きる瞬間というものがあるのなら、その誕生の瞬間にぜひ立ち会っていたいと思うのだ。幸いいままでいくつもの新しい現場には出会えたと思うし、有望な新人が伸びる瞬間にも立ち会えたと思う。そのことには満足しているし、それがイイ音だったときには申し分ない。

さて、そんな一人で遠い目をした話になってしまったが、今日はもっと遠い目の話、すなわち新人発掘ではなく、懐古にふけったテーマである。

話を [ Live at the RoxyWC2 ] にもどすと、その出演バンドの中には今でもなんとか姿を拝めるバンドもいれば、もういっさい公に出てこない人たちもいる。ロンドンに来てからも、機会を見つけてはこういったRoxy 組をはじめとして、ロンドンオリジナルパンクの連中の成れの果ての姿を拝みに行くのを趣味としていた。今回このアルバムのB面一曲目に収録されていた Johnny Mopedが出演する、というので足を運んでみた。www.myspace.com/thejohnnymopedband 

昼から夜中までの「懐かしPUNKイベント」だったが、過去に観たバンドも多く、今回はいまだ姿を拝んだことの無いこの Johnny Moped に焦点を当てた。ちなみにトリを勤めた The Damned は観ないで会場を後にした。

Johnny_moped_2_3 Johnny Moped 氏(ハダカ革ベスト)&バンドメンバー(77年当時)。ひねりはそんなにないが、とにかくパンクらしいパンク曲を聞かせてくれた。さあ、はたして、今どんなことになっているのか・・・。

こんなことになってました。

Johnny_moped

Flickrより今年の勇士。The Forum のときも同じ格好だった。

はたしてこんなおっさんの唄を聞く価値があるのかというと非常に答えづらいものもあるわけだが、今日はあくまで郷愁に浸るのが目的だ。聞き覚えがある曲と、黒い皮ベスト以外では特定のしようがない。だがJohnny はこのベストを着たいのだろうし、腹の出具合がどんなにたいへんなことになっていたとしても、オレは積極的に支持したい。ある種、泣けた。

もっとも観客も負けていない。この日のイベントの観客(ざっとみたところで1500-2000人くらいか?)は、男女とも9割以上がオレと同世代。そして言うまでもなく全員パンク・ファッションである。おとなしいやつでも黒いバンドTシャツ姿だ。この光景に対しておちゃらけたコメントをする気には到底ならないが、客観的にみてこれほど恐ろしい連中に囲まれた記憶は人生の中で一度もない。何が恐ろしいと言って、この大量にいる40代~50代の観客のなかで、見た目がノーフューチャーではないヤツが一人もいなかったことである。

ステージではなく観客の写真を撮りまくりたかったが、そんな恐ろしいことはできるよしもない。しばし思い出にふけり、そして青春時代を共有してきたであろう連中に別れを告げ、今度は新しい音楽を探しすために、別のライブハウスに向かった。

2008年12月17日 (水)

White Lies その2

< 2008. 11. 17 @ Zenith, Paris >

さて、世の中のブログには良いブログとそうでもないブログとがあって、一般的にはヒット数の多いブログが「良いブログ」ということになるのだと思う。

そういう視点で見れば、オレのこの「ライブ道」は世間的にはお世辞にも「良いブログ」とはみなされないであろう。ナンとかランキングに参加しているわけではないので実態はわからないが、数を競えるようなブログではないことくらいは理解している。もっとも、いまや世の中的にはマイナーな分野である洋楽をテーマにしているのでせいぜいそんなモンだろう、というのがオレ自身の言い訳ともなっている。こんなブログでも毎日かならず何十人の人たちが立ち寄ってくれる。その中の何割かの人たちはたぶん繰り返し読んでくれているのだと思うと、いかに「日記風駄文」とはいえ続けていくモチベーションとしては十分だ、と思うのだ。

ところで今回は、そういった「ぬるま湯」から「言い訳のできない世界」に自分自身を投げ出す試みにチャレンジだ。

調べたわけではないが、世の中には「パリ情報」ブログとか、「食べ歩き」ブログとかが、ゴマンと存在しているはずだ。これも想像に過ぎないが、こういった「パリ情報」とか「食べ歩き」等のブログのヒット数は、もしそれが優れたものであればかなりのスコアに達するのではないか、と思う。そう、今日のテーマは「ライブ道」パリ食べ歩き編、である。ついにこのブログも、メジャーなテーマに手を出すことで世間の荒波にもまれる洗礼をあびる日が来たのである。

その日のライブは豪華ラインナップであった。トリを勤めるのが The Kooks。そしてその前が CSS、Mystery Jets と続き、トップバッターは今注目の White Lies である。チケットもちょっとだけ高かった。会場はパリ北東部の音楽街シテ・ド・ラ・ムジークにある Zenith (ゼニート)という初めて行く大箱だ。

もちろん一番のお楽しみは White Lies である。

今年のレディング・フェスティバルでなかなか良いステージを堪能できたこともあって、勢いのある今年のうちにぜひもう一度見ておきたいと思っていたのだが、うまく念願がかなってパリにやってきた。開場と同時に入場し、彼らの登場を待った。はたしてパリで人が集まるのかな、といらぬ心配もしてみたが、結果はオープニング・アクトにもかかわらずまずまずの入りで、観客も熱演に大喜び。シングル曲になれば皆が合唱するなど、むしろ驚いたほどである。オレも大きな声援と、そして拍手を送った。良いライブであった。

さて次は Mystery Jets か、と思った瞬間に、猛烈な空腹感に襲われた。普段のライブ鑑賞では、だいたいステージ直前にピッツエリアなどで適当なものをかっ食らうのが常である。とにかく時間勝負だ。そもそも「ライブ道」と「食い歩き道」は相性がわるい。オレがパリにしばらくいるのにほとんどまともなレストランを知らないのはライブ道求道者として避けがたい宿命ともいえる。

だが今回は違うぞ。会社にいるステーキ博士のフランス人社員(生きていくうえで可能な限りすべての食事はステーキにすることを心がけている怪人)から聞いていた「パリで一番おいしいステーキ屋」が、実はこのシテ・ド・ラ・ムジークのはす向かいにあるという。オレ自身も、日本に帰省するたびにまずは韓国焼肉店に飛び込むほどの肉好きを自負している身だ。この日の夕食は、夜中まで営業しているというこの店にすでに決めていた。予約はしていないが、まあなんとか入れるだろう。今夜は豪華ライブ+豪華ステーキと豪勢なことこの上ない二本立てを予定していたのである。

だがいかんせんスタートが早かった。会社を終えて一目散に会場へ。首尾よく White Lies に間に合ったが、昼も忙しくて朝から何も口にしていない。演奏後会場を見回してみると、いい加減な作りながらも意外とおいしそうに見えるサンドイッチ(フランスパンに何かはさんだもの)を売っているではないか。しかしここで何か食べてしまっては負けだ。かといって、一回会場を出てしまうともう中には入れない。

1分間の熟慮の末オレが下した結論は、「メシ優先」という、とてもライブ道求道者とは思えないものでもあったが、逆に言えば Mystery Jets 以下、ステーキに負けたということである。かれらにもオレを引き止めるくらいの力を養ってまだまだがんばってもらいたい、というのがオレの捨てゼリフだ。どっちにころんでもライブとメシは相性が悪いことが再確認できたが、ライブが無ければこんなに家から遠いところまでメシ食いにはやってこなかったとも言える。

*パリ 肉屋情報

AU BOEUF COURONNE (オ・ブフ・クロネ=王冠牛) www.gerard-joulie.com/boeuf.htm

聞けば今回の会場などがある音楽街一帯は、その昔パリ市の屠殺場だったということで、おそらく今でも上等の牛肉が入手できるルートを持っているのに違いない。オレは 500グラムのステーキを頼んだ。すごくうまかった。平らげたが、極度に膨れた腹をさすりながら、やはり胃腸の丈夫でない日本人の中年サラリーマンにはすこしばかり無謀だったことを後悔したりもした。Zenith とか、Trabendo などでライブを観るときはまた立ち寄りたい、と思う。350グラムのほうで。

ところで、「食べ歩きブログ」には欠かせない「お皿の写真」を撮ることをすっかり忘れていた。ま、とりあえず上のサイトから想像してください。

Zenith_009_1

@ Zenith

やっぱり肉の写真よりはこっちのほうが良い、と自分でも思う。ブログのヒット数向上を狙うのには向いていないかもしれないけど。

とりあえず「パリ食べ歩き編」、一回で終了します。

White Lies その1

White Lies その3

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