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2009年1月

2009年1月23日 (金)

Seasick Steve その2

< 2008. 11. 14 @ Le Cigale, Paris >

さて、今年も恒例の Brit Award のノミネーションが発表された。

今回選ばれた顔ぶれを見てみると、まあハッキリ言って低調である。British Group 部門では、Coldplay や Radiohead、Take That に Girls Aloud などなどであって、誰が勝ってもあまり面白みのあるものではない。過去一年いろいろなバンドが活躍していたような気がしないでもないのだが、冷静に振り返れば一部の新人バンドを除いてそんなに際立った一年でもなかったのかと思う。

そんな中で唯一目を引いたのは、International Male Solo Artist 部門にノミネートされた Seasick Steve であろう。なんといっても他のノミネートが Beck、Niel Diamond、Jay-Z、Kanye West といった、あからさまにとってつけたような大物ぞろいの中で、世界的には際立って無名の爺さんがその一人に選ばれたのである。数日前に見た Sky News の Brit Award レポートでも、やはりというか真っ先にインタビュー映像が映し出されていた。

インタビューアーが「ブルースマンがこのブリット・アワードにノミネートされるのは、たいへん珍しいかと思うんですけど、どう思いますか?」との問いかけに、「いやあ、もうなんちゅうか、オレなんかがさあ。」とこの爺さんは満身の笑みを浮かべてウッシッシ、というかむしろテレていて、とてもかわいらしかったのである。

前回彼のことを取り上げたときには、「もう観ることもないだろう」的なことを書いたが、先日機会があって、再度この爺さんのステージを最初から最後まで堪能する機会にここパリで恵まれた。オレにはこういったアメリカンブルースには興味も知識もまったくないのだが、今回はステージ上の彼の姿をクリアに見ることができたからだろうか、この齢(よわい)70近いブルースマンの魅力というものがすこしわかったような気がしてきた。

このおっさん自身の流転の人生を歌い上げる力強いブルースの数々はもちろん、女性客をステージに上げて花一輪を手渡しながら歌いかけるステージ運びや、演奏後観客のスタンディングオベージョンに応えてオーバーオール・ジーンズの両ひざあたりを左右の手でつまんで広げてプリマドンナのように一礼するチャーミングなしぐさ。今回予期せず観たステージではあったが、かなり楽しめたのであった。

アメリカでの放浪を経て後年から現在に至っては奥さんの住むノルウェーで隠遁、そんな時期にUKを皮切りにヨーロッパでヒットするとは文字通り夢にも思わなかったに違いない。実際アメリカの南部にいけば、われわれの知らない「つわもの」ブルースマンがそれこそ山のようにいるに違いないことをわれわれはなんとなく知ってはいるわけだが、Seasick Steve をここヨーロッパでブルース・ヒーローと呼んでもいいじゃないか、とまあそんな気がした夜であった。でも、じいさん売れてよかったな。

2月18日に発表される Brit Award の本選で万が一にもわれらが爺さんが選ばれれば、Jay-Z もビヨンセもびっくりであろう。「誰だそりゃ?」と。いやむしろ、彼らからしてみれば、Brit Award 自体が「なんだそりゃ?」である可能性が高いわけなので、ここはイギリス人にも意地を見せてもらって英国ならではの「International Male Solo Artist」を選び出してほしいものだと考えている。

Le_cigal_037a

@ Le Cigal

客席からステージに上げた若い女性(おそらく別のアーチストを観に来たヒト)に切々と歌いかける船酔い老人。でもカッコよかったよ。

Seasick Steve その1

2009年1月17日 (土)

We Are The Physics その3

< 2008. 12. 13 @ The Buffalo Bar, London >

さて、前回のエントリーで取り上げた「懐かしパンクイベント」が催されていたケンティッシュ・タウンを後にしてオレが足早に向かったのは、ハイブリー&イズリントンにある The Buffalo Bar というべニューである。バンドの姿が異常なまでに見づらいつくりをしたステージレイアウトなのはいただけないが、出演バンドのラインナップはなかなか楽しめる小バコだ。その夜はお気に入りの We Are The Physics が登場するのであるが、彼らが地元のスコットランドからこのロンドンまでやってくるときは、ここの会場で演奏することが多いようだ。

半年ぶりに姿を拝んだわけだが、お約束のステージアクション&メンバーの掛け合いも今まで以上によく練られており、演奏と合わせて申し分なく楽しめたわけである。いやむしろ、ステージアクションは今までよりも激しくなっていたからだろうか、ボーカルのマイケルのトレードマークである黒ブチめがねが何かの拍子でかなたに吹っ飛び、なんとフレームが折れてしまった!やややこれはやばいっ、と思ったのもつかの間、次の瞬間には新しいメガネがいずこからか取り出され、早々に本人の鼻の上に収まった。メガネが壊れたのはアクシデントだったのだが、すでにそれすらも計算されつくしたエンタテイメントの様相を示していたのである。もちろん観客も大喜びだ。

いよいよ今月はジャパン・ツアーということなので、ぜひともがんばってきてもらいたいというのが親心である。実際に彼らの親のトシだしな、オレ。その夜ケンティッシュ・タウンで観た Johnny Moped を、70年代に実際に姿を見た日本人はあまりいないだろうと思うが、We  Are The Physics が日本で演奏してくれる喜びをあらためてかみしめたいものである。ぜひ応援に行ってあげてください。

その夜は「年末なんでイングリッシュ・アンセムをお送りします。」と言ってから、いつものシメ曲 [ Less Than Three ] のイントロに入る前に、「イーストエンダー」のテーマ曲・We Are The Physics バージョンが演奏されたわけであるが、当然これまた皆大喜びであった。たぶん日本での演奏でも、なにか気を利かせた仕掛けを用意してくれるに違いない、と思う。

Watp3_2 @ The Buffalo Bar

観客からかぶせられたサンタ帽が似合いすぎてすこし悲しい。

● We Are The Physics その1

● We Are The Physics その2

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