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2009年3月

2009年3月19日 (木)

1990s その2

< 2008. 12. 13 @ The Buffalo Bar, London >

先週テレビで Sky News チャンネルを見ていたら、芸能コーナーで「ロックミュージック・サミット開催へ」というネタをやっていた。要は世界の首脳が集まるサミット会議のもじりだろうと思うのだが、ロックミュージシャンのそれこそトップに位置するであろう人たちが集まって、直近に緊急課題となっている、『オンライン・ダウンロードの著作権料』などの問題に関して、レコード会社に圧力をかけるのが目的らしい。ミュージシャン側の権利を守ろう、ということだろう。

ニュースではこの集いに参加するであろう、BlurRadiohead などといった大物バンドのメンバーにインタビューをしていたのであるが、マイクを向けられて応えていたのが Blur のドラマー Dave Rowntree 氏と Radiohead のベースプレーヤー Colin Greenwood氏であった。Dave 氏は熱心な労働党員地区代表で、国政選挙にも2度ほど立候補している(結果は落選)し、Colin 氏のほうはケンブリッジ大卒とメンバー随一のインテリだ。こういった「サミット」のフロントに出てくる人物としてはたいへんおあつらえ向きと言えよう。

ところでそのときオレがテレビを見ながら思ったのは、サミットの内容云々ではない。この二人、確かにトップバンドに在籍しているが、たとえ街中ですれ違ってもオレは絶対彼らだとは気がつかないだろうな、ということである。Blur の場合、ほかの3人を見過ごすことはおそらくないであろう。Radiohead のケースでは、シンガーと有名なほうのギタリスト(弟)は雑踏の中でもすぐ本人だとわかるだろうが、このベーシスト(兄)は無理だ。テレビを見た直後の今ですら、すでに顔を忘れている。

なぜこういうことになってしまうかというと、バンドのフロントマンに比べてプロモーションビデオの中での扱いが小さい、ということもあるだろうが、やはり彼ら見た目の印象が圧倒的に地味だからに他ならない。つまり、髪型まで含めた「顔のつくり」にはやはり派手・地味というのがあって、彼らもうすこしだけ派手な要素があれば、オレのようにコアなファンでない人間にもその存在感をアピールできるのになあ、と思ったのである。ま、どうでもいい話だが。

ところで、世の中には仮にバンドメンバーのキャラクターがいかに立っていようとも、フロントマンのビジュアルインパクトが強すぎて、そのフロントマン以外のメンバーの個性が即死してしまうようなバンドもある。たとえば 1990s のようなバンドだ。

丸1年半ぶり、3度目となる彼らのステージを、しかもかなり間近で観た。その間メンバーチェンジもあったようだがボーカル兼ギターの Jackie の面構えに圧倒されているオレとしては、それは些細なことに過ぎない。当然ながら「ベース、変わったよ」といわれなければ、気がつくすべもない。

ファッションをはじめとして、まるっきり気負ったところのない雰囲気で、下手に新しいものを追い求めようとしない曲を演奏するのがこのバンドの魅力である。それなのに、いやそれゆえに、Jackie の持つ見た目のインパクトがいっそう引き立ってくるのであった。それにしても、カオ。つよいなあ、このヒト。

彼らの演奏を最後まできっちりと楽しませてもらったわけだが、帰り道、そういえばオレはベーシストのほぼ横に陣取っていたにもかかわらず、彼やあるいはドラムのメンバーの顔はまったく覚えていないなあ、と思いながら家路についた。昔Jackie が率いていた別なバンドには、メンバーとして 現 Franz Ferdinand のボーカリストならびにドラムスが在籍していたのは有名なハナシである。しかしもし仮にオレが当時そのバンドを見ていたとしても、Jackie 以外のカオを覚えていないであろうことは確信をもって言えるのであった。

Img_2684_1

@ The Buffalo Bar

手前はベース氏。奥が Jackie。こうして写真に収めておくのはベースのためにも、オレのためにも大切だ。

1990s2

この Jackie の勇姿は Flickr から拝借。とにかく強いです。

[ See You At The Light ]

この名曲のPVでアニメ化されている Jackie は堺正章にしか見えないが、井上順・ムッシュかまやつ等堺に劣らない個性がほかに存在することを考えると、Jackie はマチャアキを超えた存在、と言っていいだろう。

1990's その1

2009年3月10日 (火)

White Lies その3

< 2009. 03. 09 @ La Maroquinerie, Paris >

ライブ道は学究の徒でもあるので、どうしても気になることがあると現場でフィールドワーク(ライブ鑑賞)をおこなうことになる。

今年1月に発表したデビューアルバムがUKチャートの1位にかがやき、NME の表紙も飾ってまさに飛ぶ鳥を落とす勢い。最近の新人の中では完全に頭ひとつ抜け出した感のある White Lies のなのだが、どうしても確認しておきたいことがあった。

去年のレディング・フェスティバル('08)では、当時すでに多少の話題になりつつあったバンドだったが、そのときのレビューで書いたとおり、彼らのステージはこのときのフェスティバルでもっとも「おやじファンまみれ」(おそらくおばさんも)という特異な印象を残すものだった。とにかくオレの目に飛び込んでくるのは、演奏するバンドのメンバーに声援を送りながらとても楽しそうな、しかも一様に後頭部のうすくなったおっさん達の群れであったのだ。

このバンドの音は最近の80年代ブームに乗ったものひとつ、という言い方もできるだろうが、その正当派な音作りと、楽曲ならびにステージ・パフォーマンスの完成度の高さによって、あの時代に青春時代をすごしたおやじさんたちの心を、がっしりと捕まえてしまったのである。そして、彼らの郷愁の琴線にふれただけではなく、おやじにとって「今観るべきライブバンド」として認識され、もぞもぞと集まってきた、というのがオレが目の当たりにしたレディングでの現実であった。

そのあとヒット曲もでて人気に広がりが見えてきたころ、去年の暮になるが、ここパリで彼らのステージを再び観た。大きめの会場でのオープニングアクトだったが、それなりにしっかりと声援を受けており、「海外」での人気の広がりを見て取れた。しかしその日のトリは、 The Kooks 。観衆の多くはこのアイドルバンド目当ての若いパリジェンヌ達であり、はたして White Lies が「外国」でもおやじのハートをわしずかむことができているのかどうかの確認はできなかったのである。

そして昨晩、初のヨーロッパ・ヘッドラインツアーをキックオフしたパリで再度彼らの姿を観にいくこととした。もちろん目玉となる研究テーマは『観客の中における年配男性の出現率』の確認、すなわちハゲ観察である。

他の都市同様、入場券は完売だ。まだまだ肌寒い3月のパリだが、会場に足を踏み入れたとたん、観客の熱気で自然と汗ばむ。前座のバンドからすでに満員のこの会場で、オレはマイ・ポジションである定位置に進んだ。するとまさに予期したかのように目前に飛び込んできたのは、なんとなく薄くなった男性の後頭部、その数3。そう、オレの目の前にいた3組の観客のうち男性はみな「おっさん」であったのだ。さらに会場全体を見回してみると、いろわいるわ。誇張を抜きにしても男性客の3割がたはそういった頭髪的特徴を兼ね備えた方々であることが瞬時に確認でき、入場10分にしてオレは研究を終了して前座バンドの演奏に没頭することができるようになった。

本国イギリスではまさに成功の階段を上り始めた White Lies。ポピュラーな人気者になりつつある、と言っていいだろう。一方ここパリでは、人気が出てきたといってもまだまだこれからだ。まずは英国での成功体験同様、おやじファンをきっちりと取り込んだことで、この先も期待できるに違いない。そういう確信を持つことができた夜だった。

もっとも英国並びにフランス市民の名誉のために言っておくと、オレが「おっさん」と呼んでいるのは明らかにオレより年下の連中である。ただ人種的特徴なのかどうかは知らないが、なんとなく比較的若くしてそういった髪型に向かっている人たちが多いような印象を受けるものである。オレは80年代はおろか、70年代も知っている、ジイサンなのだ。

もちろん昨晩彼らのライブに足を運んだのは、今言ったような「研究」が主目的ではなくて、White Lies をまた観たい!と思ったからだ。期待通り、一曲も飽きさせない、とても良いライブであった。大満足で家路についたが、オレ自身があまたいるオヤジファンの一人であることは明らかなのであった。

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@ La Maroquinerie

写真ではわかりづらいが、オヤジはこのように前のほうにも陣取っていた。

White Lies その1

White Lies その2

● コメントバックできないので追記します。

コメントありがとうございます。そうですか、彼ら東京でも単独公演を行なうのですね。真剣に興味があるので、ぜひ「おやっさん発生率 @ Tokyo」についてレポートバックしてもらえると、たいへんありがたいです。

●KiKiさん、東京でのライブレポートありがとうございました。そうですか、オヤジなしだったんですか・・・。なんとなく予感はありましたが、現実につきつけられるとすこし寂しい気もします。おやっさん代表として。

しかしよく考えれば、昔の自分を懐かしがる「後ろ向き」な客ではなくて、新しい音楽として捕らえてくれる若いファンが多いという事実にネガティブなことは何もないので、White Lies、東京では理想的なファン層を捕まえた、ということかもしれません。もしくは日本人は髪の毛が多い、とか(意味なし)。

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