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2009年8月26日 (水)

Blur その2

< 2009. 06. 28 @ The Pyramid Stage, Glastonbury Festival '09 >

さて、UKフェスティバルの中でも荒くれ者の祭典として定評のあったレディングフェスティバルに、ここのところ異変が起きている。

昨年からメインスポンサー並びに運営主体が変わったこともあるからか、以前にはなかったような新しい施策がいろいろと取り入れられているのだ。たしかに観客がステージにビール瓶を投げ込んで、バンドのボーカリストをノックアウトしたり、暴力沙汰が原因の逮捕者が毎年何人も出るようなことは褒められるものではないだろう。しかし、10年近くこのイベントに通い続けた身からすると、なんとなくだが、「らしさ」というか風物詩が変わっていくような寂しさを禁じえないのも事実である。

昨年、イベントのウェブページを見て、オレは目を疑った。なんと、「会場内では火を燃やさないでください」ときやがったもんだ。8月とはいえ、最終週のイギリスは夜になると格段に冷え込むことがある。そこで、メインステージを見ながらも、あたりに無尽蔵に捨てられている紙ごみを集めて火をつけ、それを焚き火にして暖を取るわけだ。焚き火ができればそれを輪にして新しいコミュニティが誕生し、それまでは知らなかったもの同士がステージを観ながら皆で一緒に盛り上がる、とまあそんな光景があちこちで見られるのもこのイベントの特徴である。こういったことをやめてしまえ、というのである。

さらには昨年から始まった「グリーン・レディング」なる合言葉も、この荒くれイベントには本来まったくもって似つかわしくない。リサイクルの推奨やキャンプ用具の置き去り禁止、タバコのポイ捨てやめましょう!も、まあわからんではないのだが、改めて説教くさく指示されると興もさめるというものだ。挙句のはてには、「会場内の売店では、できるだけオーガニック・フードを買いましょう!」という忠告にいたっては、さすがのオレも噴き出さざるを得なかった。おまえ、キャラがぜんぜんちがうよ、と。

もちろん、鍛えこまれたレディングの観客達は、そんなことはどこ吹く風で、去年も焚き火の火の手はあがっていたし、あたり一帯ごみは捨て放題。毎朝その日のステージが始まる前に、会場をきれいに清掃してくれるクルーの皆さんには手を合わせて感謝しつつも、この雑然としたそれでいて自由な雰囲気がオレの好きなフェスティバルそのものだといってよい。リサイクル促進のために、紙コップにデポジットを取り、返却すると15円ほど返金してくれるシステムには、オレは反旗を掲げたい。今年からはペットボトルもだと。しかし、周りに捨てられた紙コップは自動的に中学生などの小僧が小遣い稼ぎで集めまくるため(バンド全く観てない)、結果的にゴミ激減→焚き火消滅の危機に直結しているのである。

思えば、こうした傾向が英国でもみられるようになったのは、もちろん「地球温暖化危機」などといった時代の影響ということは確かにあるのだが、UKフェスティバルのもう一方の雄、グラストンベリー・フェスティバルから少しづつ始まってきたような気がする。こっちの方はもともとヒッピーの祭典なわけだから、ナチュラルなことに対する意識は本来あったのにちがいない。一部過激さを伴う環境保護団体「グリーンピース」が協賛するこのフェスティバルは、「自然」を謳いながら、その実全く自然にやさしくないことをしている、とある日突然気がついたのだろう。ここ数年突然「テント用具は一切残して帰るな」「ゴミは分別して出せ」などと、唐突に説教じみたフェスティバルになってきた。

こういった本来「正しいこと」に対して異論を挟む権利をもとよりオレは持っていないわけだが、このイベントのオーガナイザーであるマイケル・イーバス爺さんから自然にかもし出されるなんとなくの「怪しさ」が、オレを意固地にさせていることは否定できない。このブログでもすでに何回か取り上げたこのおっさんは、「UKフェスティバルの創始者」というレジェンドとして受勲までしているわけだが、本来「ヒッピー」「ナチュラル」「グリーン」等々を標榜しながらも、ぐちゃぐちゃの(オレは好きだが)フェスティバルを今まで開催してきたくせに、最近の時代の流れに乗って突如正義の味方のような言動を取るようになったことが気に食わないのである。

オレ自身は参加したことがないので詳しくは分からないが、その出自からしてクリーンで整然としたものを目指している日本のフェスティバルだと、参加者の意識も含めてその意義の高さは理解できなくはない。だが、このマイケル爺さんのここ数年の「改革」は、それって自分の見栄えのこと考えて言ってんだろう的な、斜め目線でどうしても見てしまうのである。しかもこのおっさんの罪は、そうした言動が、なんとなく変な形でレディング・フェスティバルにも影響を与えてしまっているのではないか、という点にも認められるのである。

そうはいってもグラストンベリーは「お祭り感」がイノチなので、会場内で大型ろうそく(別名小型たいまつ)燃やし放題、ろうそく気球飛ばし放題、焚き火だ花火だとにぎやかなのだが、レディング・フェスティバルのほうはむしろなんだか良く分からないうちにいろいろな「禁止」を打ち出し始め、今度はその影響を逆に受けてグラストンベリーのほうが迷い始める、という事態が発生した。ここのところNMEで話題になっているのが、今年から「ステージ前の旗・のぼり」禁止を打ち出したレディングの決定を受けて、その実施前であるにもかかわらず、今度はグラストンベリーのマイケル爺さんが、「来年はウチも禁止にしようかのう」と発言したことに端を発する『旗』論争である。

ステージ前で大旗をふる行為は昔からあって、そのミュージシャンの出身国の観客が応援のために振る国旗や、バンドのプロモーション用の旗、あるいはここ数年観客のグループが自分達のいる場所を仲間(ビール購入中など)に知らせるための目印として、以前の「杖」様の小型のものではなくて、大旗をその役に立てているケースが目立ってきた。しかしごく最近では、単に旗をふりたいからふっているようなヤツが大勢いるようにしか見えないくらい「旗」の数が増えてきたのは確かだ。

これによって後ろ側に位置する観客が、ステージ上のミュージシャンを全く見えなくなるという事態が発生するにいたり、それを受けてレディングでは今年から「旗」を禁止にしたものとおもわれる。その効果が確認される前に、マイケル爺さんが「おれも」といったのが事の発端で、それに対してNMEが賛否の意見を募っているのである。賛成の者は「あとから旗もって割り込んでくるバカモノのせいでステージが見えなくなるなんて最低!」といい、反対の者は「そうは言うけどさ、イギリスのフェスティバルらしさがなくなっちゃううよ」という。

オレはまあどっちの意見も正しいとは思うが、マイケル爺さんがこ憎らしいのと、あと個人的経験により、「旗禁止」を阻止したい反対派であることをここに宣誓する。

毎年グラストンベリー・フェスティバルに通いながらも、ここ何年もメインステージである「ピラピッドステージ」には一瞬たりとも寄らないことが続いていた。もちろん観たいバンドが出てこない、あるいはすでに何回か見たバンドだ、などがその主な理由だが、年齢もあってあのあまりにも混雑した環境が「一日の終わり」としてはキツかったし、離れて観ればバンドが豆粒ほどにも見えないとこよりは、むしろ音がぜんぜん良くないこともオレのモチベーションを下げていた。そもそも夜半になって寒くなってくると、気力も衰えるというものだ。

ことしはしかし、気温が毎日暖かかったこともあって、自然と最後まで残って会場内をうろうろしていたのだが、最終日の Blur はなんとなく見てみようと思った。話題の「オリジナルメンバー再結成ステージ」でもある。そしてそれをピラミッドステージのできるだけ一番後ろから観ながら感慨にふけって雰囲気を楽しむのも悪くないだろう、と考えたのだ。

オレが位置したポジションはほぼ最後尾、演奏前はみなチェアーでくつろぐ子供連れのファミリーであふれるほのぼのゆったりスペースだ。バンドが登場し、大歓声が上がるが、このあたりで立ち上がる者は3割程度。立っても座ってもステージでわかるのはピラミッドの三角形だけ。ステージ上の人間が肉眼で確認できる距離でもなければ、ましてや埋め尽くされた「旗」だらけでそもそも何も見えるはずがない。音は割れ、風に流されるが、正直言ってオレは十分満足し、堪能することができた。Blur の再結成ステージという事実も多少は感動的な要素だったかもしれないが、日没前から真っ暗に変わっていくなかで、会場全体から受ける雰囲気がとてもよかったのだ。オレはとても満足して家路につく事ができた。

あちこちから上がる火の手やろうそく風船、そして何重にもはためく旗の波がその演出としてと最高だったことはいうまでもない。その「旗」が来年から禁止だ、という。だがオレは、そんな決まりごとはお構いなしだ!という無鉄砲なイギリス人が大量に出てくることをなんとなく願っている。UKフェスティバルの風物詩保存のために。

今週末は今年のレディングフェスティバルが開催される。本当に旗はなくなってしまうのだろうか?ここの客は紙コップのデポジットのような現世利益に走ってしまいがちなので、フェスティバル主催者が「旗」を掲げさせないための秘策を用意してくると、意外とすんなりその旗を降ろしてしまうのではないか、と心配しているのである。

Img_3608_1

@ The Pyramid Stage

Blur + 旗 (日没前)

Img_3611_1

@ The Pyramid Stage

Blur + 旗 (日没後)

で、以下Flickr からさがしてきたのがこれ↓

Hata5

Hata1_2

たしかに何にも見えませんが・・・。

ま、これとかのほうがもっとすごいかな。

Hata6

ただし、ここくらいまで前に行くと、良く見えるみたいですな。姿見たい人はがんばれ。

● Blur その1

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