« The Duloks | トップページ | Oscar-U その2 »

2009年9月25日 (金)

Koko Von Napoo

< 2009. 09. 16 @ Le Cigal, Paris >

世界的に景気が低迷する昨今、ひとり気を吐いているのが我が本邦の誇る「ユニクロ」である。

何と言っても「近いうちに何兆円企業になるぞ」と気炎をあげている鼻息の荒さで売り上げを伸ばし、新事業を成功に導いているのだからたいしたものである。日本やアジアはもちろん、ロンドンでは都心部に何軒も店舗を構えて繁盛しているようだし、先ごろできたオックスフォード・ストリートの旗艦店はその他の有名ハイストリート系ブランドの店構えに比べても決して引けをとらない迫力だ。ここパリでもいよいよ都心に旗艦店を作る、というのでかなりの話題にもなっているようだ。

ところでオレのようなしがないサラリーマンからほめられても別段うれしくもないだろうが、オレは実際ユニクロには感心していている。なぜかというと、今をさかのぼること約10年ほど前、一度はイギリス進出を試みて大失敗し、ほうほうの体で撤収していった姿を同時代に現地で見ているからである。

当時一挙に英国中に多店舗展開をした彼らだが、冷やかし気分で訪れたロンドン市内のお店でオレのようなファッション業界には全く明るくない者ですら、「こりゃあダメだな」と思わずにはいられなかった。理由は簡単で、「よいものを安く」という趣旨はわかるが、その時代の英国の「はやりすたり」には全く関係ない品揃えだったからである。更に驚いたのは店内にあったカタログを見たときで、ユニクロの思想とも呼ぶべき能書きの文章が延々と書かれてあるだけで、なかなか商品がでてこないようなものだった。当時鳴り物入りで有名プレミアム系スーパーマーケット・チェーンから有能な英人マネージャーを引き抜いて現地側責任者に据えたものの、「日本側の経営陣は全然私の意見に耳を傾けてくれない!こんなところでは力を発揮できないよ。」と、あっという間に辞めてしまったのも有名な話だ。

彼らユニクロが日本で成功した体験をそのままロンドンにもってきて、どこまで通用するかチャレンジしてみたい、という心意気は分かる。だがそのチャレンジをイキナリ多店舗展開してコストを下げようとしたものだから、撤収が「大失敗」に見えてしまったわけである。

彼らが偉かったのは全店撤収ではなくて、ロンドン市内の数店舗だけ残し、営業し続けたことだろう。つまり、あんまりは儲からないけど、この国で成功するにはどうしたらよいかを細々とではあるが観察を続ける道を選んだのである。その結果、遅ればせながらではあるが、やはり流行に乗り、流行を作り出すようにならなければならない、という当たり前の結論に至り、そのための方策をいろいろと打ち出した、それが今日の再起の兆しに現れている、といえるのだと思う。

もっとも、これがほんとうのリベンジとして欧州での成功をみるかどうか、その結論まではまだすこし時間がかかるだろう。

やはり大きくブレイクするにはミュージシャンなどの人気者の支持が不可欠だ。数ヶ月前に読んだ英国の雑誌で The Teeagers の Quentin くん、インタビューに応えていた。「今ボクのおすすめは、ユニクロかな。ジーンズとか。American Apparel が大好きなんだけど、あまりにもみんなが着すぎちゃってるからね。すぐ『あのブランド着てる』ってわかっちゃうんだけど、ユニクロだとまだみんなに気がつかれない。」 

つまりは、Quentin くんが「みんなが着てるから、もうユニクロやめた!」というところまでくれば、セールス的には大成功ということだ。人気者でもあり、そしてハイストリート系ファッションを楽しむという普通の若者でもある Quentin 君のような存在はユニクロとしても大事にしたいところではあろう。まあ、「どう大事にするか」ってのが、商売上はむずかしいんだろうけどさ。ともあれ、そんな「ユニクロ」ファンのミュージシャンが増えてくることを祈る。まあオレもバーゲンで買うくらいしか貢献はできないかもしれないが、がんばってください。

ところでその Quentin くんであるが、さすがフランス人だけあって、本人的に一番好きなブランドは A.P.C というフレンチ洋品店であるらしい。オレは買ったことはないが、日本でも人気のあるセンスよいブランドとして定着しているようだ。上述の Quentin くんのインタビューでもこのブランドの服を着て登場していた。そしてこの A.P.C は今年 The Teenagers をはじめいくつかのフレンチ・バンドの申し出により、彼らと組んで、オリジナルのFrench Band T-Shirts というものをこしらえ、それを日本でも販売しているようだ。なかなかかわいらしいTシャツではあるが、オレの趣味である Comanechi T-シャツや、Let's Wrestle T-シャツとくらべると、目指すところにかなりの隔たりは感じてしまうが、もちろんオレは A.P.Cのターゲットには入っていないのだろう。

ともあれ、日本の A.P.C ではこのバンドT発売に合わせて、それらのバンドを日本に呼んでパーティをおこなったとのことである。したがって、もしかしたらすでに東京でライブを目にした方もいるかもしれないが、そのときの来日バンドのひとつである Koko Von Napoo の姿を彼らの地元パリで目にする機会があった。www.myspace.com/kokovonnapoo このパリでも人気絶大な Metronomy を観にいったら偶然前座で登場したのであるが、今年はブライトンの The Great Escape にも参加をしており、そのときは観ることができなかったが、気にはなっていた。

で、ライブ自体の採点だが、今ハヤリの80年代エレポップ系のサウンドは、決して悪くはないのだが、このくらいの実力をもつバンドは英国に行けばそれこそいくらでもいるような手合いでもあり、あまりもう一度観にいこうと思えるようなものではなかった。すでにUKツアーも行なっているようなので、「世界基準」で判断するとすれば、残念ながら及第点には及ばなかった。

もっとも、A.P.Cというすでに確立したファッション・ブランドが、その出自であるフレンチ感を日本でさらに増幅させるための「装置」としてはなかなか的を得た選択だった、ともいえる。フランスのバンドというのは、ファッションという世界からやはり切り離されて見られることがない、ということなのだろうか。

ユニクロが目指すのは「日本のブランド」という小さなものではないのだろうし、日本のバンドのTシャツみたいなことになってくると、また独善的で変な方向に行ってしまうかもしれない(ごく局地的に、フランス人には「日本のビジュアル系バンド」でも受けるかもしれないが)。ここは、ユニクロを支持してくれそうなバンドの連中の中からベストの選択でバンドTシャツをつくってもらいたい。その選ばれたバンド・リストの「センス」が外れていなければ若者のアイコンになると思うよ。イギリスでも。

Kvn

@ Le Cigale

客との掛け合いは当然フランス語。当たり前ですが。なんも分からんかった。

ちなみにオレが自分のセンス一発で購入したTシャツはこれ。良識ある店舗で売れるようなものではないことは知ってます。Letswretretshirt_2 Comanechi_2

« The Duloks | トップページ | Oscar-U その2 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/460350/31413852

この記事へのトラックバック一覧です: Koko Von Napoo:

« The Duloks | トップページ | Oscar-U その2 »

フォト
無料ブログはココログ
2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31