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2009年9月 2日 (水)

The Big Pink その2

< 2009. 06. 26 @ The Queen's Head, Glastonbury Festival '09 >

< 2009. 06. 27 @ John Peel Stage, as above >

さて、ノエル・ギャラガー氏脱退宣言を受けてオアシス解散か、などということになっているらしいが、いまや何の驚きも感動もない出来事ではある。しかし一週間前の英国Vフェスティバルで恒例の「ドタキャン」が発生したにもかかわらず、この週末のパリ公演にけなげに足を運び、挙句のはてには開演直前のラストミニッツ・キャンセルを食らったフランス市民のみなさまの無謀な期待にはこころからお悔やみ申し上げたい、と思う。やられましたね。

さて、Vフェスティバルの翌日だったか、「のどを痛めたため」にキャンセルせざるをえなかったというリアム・ギャラガー氏のコメントが、NMEのウェブ・ニュースに載っていた。彼の発したメッセージはふたつ。ひとつは参加してくれたファンに対する謝罪。そしてもうひとつは、オアシスの不参加を受けて彼らの曲をステージ上でカバーしてくれたいくつものバンドに対する感謝の気持ちである。今回のVフェスティバルでは、スノー・パトロール (Snow Patrol)、キーン (Keane)、そしてMGMTなどのフェスティバル参加バンドがオアシスの曲をそれぞれカバーしたらしく、そのことに対して謝意を述べたのである。

もっとも彼のコメントにあったとおり、「俺はそのうちいくつかのバンドにはかつて『クソ』よばわりしたけどな」ということで、昔リアム氏にボロクソに言われながらも皆さん有事の際の助け合い精神というか、尊厳ある人間の態度というのを示したものなのであった。「いくつかのバンド」が誰なのか定かではないが、まあおそらく「キーン」は当確、で「スノー・パトロール」は当選圏内であろう。オレはよく知らんが。

で、これは美談と言えなくもないが、オレはカッコ悪い、と思う。別のインタビューで「これで本当の『仲直り』さ。リアムには自分達のプロデュースをやってもらいたいよ。」と言い切った、キーンのメンバーが、ではない。自分達がもしかしたら本当は『クソ』であるかもしれないのに、他人を『クソ』呼ばわりしたはてに、「今回、敬意を表する」とのたまったリアム氏が、である。世の中誰の助けを借りて生きていくか分からないのに、直接被害を受けたわけでもない他人の実名を挙げて中傷誹謗するのはいかがなものか、とも思うし、世の中キーンやスノーパトロールを「カス」だと思っていながらも、オアシスはもっと「うんこ」だと思ってる人も多々いるわけなので、そういうことに想像力が働かないクリエーターやアーチストには限界があると思うのである。

そんなことを考えていたら、先週のNMEの記事のことを思い出した。

今年何かと話題の The Big Pink であるが、いよいよ待望のデビューアルバムが発表されることになった。実は、このアルバムには彼らが世間広くの注目を集めるに至った、とあるシングル曲が収録されておらず、その記事ではバンドのメンバーが理由を述べていた。いわく、「あの曲はサビがスノー・パトロールみたいなカンジだったんで、ちょっと考えてアルバムに収録するのやめた。」だと。もちろん、ここでスノー・パトロールの名前はあくまで否定的な意味で使われており、要は、売れ筋狙ったような歌に聞こえるので、「作品」としてのアルバムには入れたくないと思った、ということだろう。

この思考回路の是非はともかくとして、ここであえて出す必要のない「スノー・パトロール」の名前をなぜ唱えなければならないのか。この文脈で意図を伝えたいのであれば、そのバンド名を出さなくてもぜんぜん通じるはずではなかっただろうか。

今年のグラストンベリー・フェスティバルで、期せずして彼らのステージを2回も観ることができた。シューゲイザーと言ってもなかなか守備範囲はひろいだろうが、このバンドの曲調には比較的ヘビーなものが多く、特にライブにおいては、ときどき演奏されるキャッチーなフレーズで我に返る瞬間がこのバンドの好き嫌いを決定付けるような気もする。シングルヒットしそうな音をときどき持ってくることは、「原理主義者」からの支持はあまり得られないかもしれない。しかし、スノー・パトロール調のリフかどうかはともかく、耳を引きやすい音もまたこのバンドの持ち味のひとつといえるだろう。であれば、「スノー・パトロール」だけをはずすのも、なんかかわいそうでないの?

自分の放ったコトバがみずからに帰ってくるのはリアム氏の「カッコ悪い」例をひきだすまでもない。自分と価値観の違うミュージシャンに対して名指しで非難めいた言動を取ることは、おなじミュージシャンとしは慎まれたほうが賢明であろう。このバンド、日本人の準メンバーの方もいるようなので、和をもって尊しとなす精神をぜひメンバー間にも説いてほしいと切におねがいいたします。

Bp

@ John Peel Stage

それにしても、「ボクは売れる曲を作る!」と宣言したスノーパ・トロールのようなバンドの行く末は、つねにこうした揶揄の対象であろう。もちろん今やオレも彼らの新譜を買うことはないが、最初のアルバムを買ったころは「通受けのいいバンド」という世間のイメージだったのになあ~。自分の中で「スノー・パトロールみたいな音」というのは、そのころの佳曲のことを指すのであって、The Big Pink がアルバムから省いた自らの曲ともまた違うような気がするのである。

● The Big Pink その1

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