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2009年10月14日 (水)

Man Like Me

< 2009. 10. 01 @ L'Alhambra, Paris >

< 2009. 10. 09 @ Round House, London >

現在のイギリスで「国民的バンド」といえば、いったい誰のことを思い浮かべるだろうか?もちろんいまでも姿を見ることができる連中、という条件の中での話しだ。

しばらく前に再結成ツアーを行なっていた Police なんかだと、あれはやっぱりバンドというより Sting を観にいく、ということになるんだろうか?U2 は「外国人」であるという以前に、「国民」というよりは「世界中の偉い人」のほうを向いているバンド、といえるだろうし。まあ、Sting にしても Bono にしても、世界的森林資源を守ったりあるいはアフリカの貧困撲滅を目指したりなど、なんとなく上から目線で壮大且つ正しいことを説教しているように見えてしまうのもいただけない。やはり「国民的」というからには地元に足のついた感じというか、親近感がないといけないのだと思う。

以前イギリスのTV番組の中で、道行く住人へのインタビューを見ていたときのことだ。マイクを向けられたその人いわく、「えっ!?Radiohead ってイギリス人なの?わしはアメリカ人だとばかり思い込んでたよ。」という恐るべきシーンに遭遇した。英国人とはいえ、音楽にそれほど造詣の深くない人たちからこのような発言が出てしまうのは、いたし方ないことなのかもしれない。もちろん、たとえこうした事実があっても Radiohead が持つその価値をいささかも損なうものではないだろう。しかし、ではあるがこの事実をもってして、オレは 彼ら を「イギリスの国民的バンド」とは呼びたくない、とそう思うのである。「国民的バンド」-それは単に「有名」で「高評価」、「影響力がある」というだけでは十分ではない、特別の栄誉を持った呼称なのだという気がするからである。

さて、ではいったい誰がその「国民的バンド」という呼び名に値するヒトタチなのか?オレの意見では Madness を置いて他にいない、というのが本日の結論です。

Madness。80年代の前半から中盤にかけて200週以上にもわたって数々の名曲を英国のチャートに送り込んでいた連中。当時のラジオのリスナーは、Madness の曲が流れてこなかった日はなかった、というくらいに強い印象があるのではないか。そしてなにより Suggs をはじめとした愛すべきキャラクターの面々も取り変えのきかない魅力だろう。そういえば何年も前、その Suggs も出演していた「Our House」というその名も彼らの屈指のヒット・ナンバーから取ったミュージカルをウェストエンドまで観にいったことがある。全編 Madness の曲をフィーチャーしたこのステージは、観客の紳士淑女もスタンディング・オベージョンで感動のうちに幕が閉じたことを覚えている。

幅広い層からの人気、楽曲のよさ、愛すべき個性、そして今年もオリジナルメンバーによる再結成で各地各国を熱狂につつんでくれた精力的な活動など、そういった理由で彼らを「英国の国民的なバンド」の候補と呼ぶのに不足はないだろう。しかし、加えてここが決定的だと思うのだが、Madness には強力な地元密着感というか、「ご当地」感があることが、彼らを「国民バンド」たらしめている最大の要因だと思うのである。

ミュージカルの「Our House」においても、その設定は当然彼らの出身地ロンドン北部のケンティッシュ・タウンだ。ステージの小道具の道路標識にはしっかりと「NW5」(Kentish Town の郵便番号)と書かれていた。もちろん、「Our House」という楽曲自体世間はみな彼らの「地元」のことが歌われているのだと知っている。そして Madness にはその名もずばり [NW5] という名曲さえもある。さらに彼らの代名詞ともなっているのがケンティッシュ・タウンのとなり街、カムデン・タウンだ。そこで初めてのライブを行なって以降、彼らはカムデンを根拠地としていたらしい。だから Madness といえばカムデン、カムデンといえば Madness というイメージが世間に定着しているのだと思う。そして、ケンティッシュ・タウン~カムデン・タウンというロンドンやや北部の狭いエリアに彼らの思い入れが集約し、地元に対するキモチが伝わってくることこそが、彼らに This Is England な「国民的バンド」として疑いのない支持を与えているに違いない、と考えているのだがどうだろうか。

さて、その Madness が初めてライブを行なった場所として有名なのが Dublin Castle というパブ兼ライブハウスである。当然ながらというか、店内には Madness の写真が飾ってある。比較的よく訪れる場所なのだが、店内に足を踏み入れるたびにオレは思うことがある。「80年代の Madness に会いたかったなあ、ここカムデンで・・。」オレはリバプールのキャバーン・クラブでビートルズのデビュー当時を観てみたかったなあ、などと夢想することはない人間だが、大学生だった20歳当時になんでカムデンに Madness を観に行こうとは思わなかったんだろうオレは・・・・などいった後悔はするのであった。レコードは家で毎日聴いていたのに。そんな負のエネルギーがオレの現在の「ライブ道」へのモチベーションになっていたりするのかもしれない、とも考える。

さて、いつも以上に能書きが長いのであるが、今月に入って今年のマイ・ベスト・ライブバンドに偶然出合った、というのが今日の本題だ。

Man Like Me www.myspace.com/manlikemeパリで VV Brown を観にいったら前座で登場してきた連中だ。その存在は以前から知っていたが、なんとなく食わず嫌いであった。自分の守備範囲の音楽をやっている連中ではない、という先入観があったのだ。だが、彼らのステージは主役の VV Brown を完全に食ってしまった、といってもいいだろう。オレも含めて観客のほとんどは彼らのことをよく知らなかったに違いないにも関わらず、だ。表現が適当でないことを重々承知の上で書くと、しかも打ち込み主体の Man Like Me の音楽とくらべてそれほど共通性があるわけでもないことも知っての上で言うのだが、むか~し初めてカムデンあたりで Madness のライブを観た人は、たぶんオレやその他の観客が、今日 Man Like Me を観て思ったのと同じような印象を持ったのではないか、今夜はいいライブを観たなあ、と感慨にふけったのではないかと想像したのである。そしてステージが充実していたことに加えて、いいバンドに出会えてよかったなあ、とオレは思った。同時に、たしかに80年代初頭に Madness を見る機会は逸してしまったが、今日こうして Man Like Me のステージを観られたからよかったではないか、と、そんな風に思ったのである。

ところで実際のところ彼らの出身地はロンドンのカムデン・タウン。いくつもの曲の歌詞に「Camden」の名前が登場する。今はもう貼り付けていないが、少し前までは彼らの MySpace に自分達がリミックスした Madness の [NW5] が乗っかっていた。しらべたところ、今年の夏の Madness の大型コンサートでも、前座を務めていたらしい。なんとなくノースロンドンご当地バンドとして世間的にも Madness の継承者としてみられているのであろうか? 両者の音楽性に共通項は少ないと書いたが、ラップ・ダンス・インディ・R&Bなどがミックスされた彼らのサウンドは、実は本当に「スカ」を中心にごった煮状態だった Madness サウンドの現代版なのかもしれない。だがそうした音楽的な側面よりも、ライブでの面白さ、あるいは愛らしい動きなどといった要素の方があえていえば「Madness」風と呼べるような気がした。最初は怪訝な顔で見ていた観客が(オレも含め)最後には鳴り止まない拍手と歓声を送っていたのだから、その「後継者」にたとえられる素質は十分といえまいか。

Man Like Me 。彼らが今後「国民的バンド」に成長するかといえば、それは難しいのかもしれないとは思うが、ぜひ応援はしていきたい。パリの直後、今度はカムデン・タウンで(再び別なバンドの前座として)再度彼らの姿を捕えることができた。期待通りに楽しめた、というだけではなく、新しいカムデンのローカル・ヒーローの登場を地元で応援できたのがよかった。なんとなく Madness の雪辱を30年近くたってようやく晴らせたような気がした。

Mlm1

@ L'Alhambra

Mlm2

@ Round House

この日のカムデン Round House ではメイン・アクトがおしゃれサウンド・クリエーターの Zero 7。観客の大半はうっしっしなかんじの若い男女のカップルであった。 Man Like Me のステージが彼らオーディエンスの度肝を抜いたのは間違いない。Chav系ファッションも相当場違いだしな。だが、ステージが終了時には大歓声を受けていたのはオレの予想通りであった。

PVも「捨てビデオ」無し、アルバムを買ったが「捨て曲」なしだ。だが、ライブはもちょっと面白いぞ

●アリさん コメントありがとうございます。 

カムデンのバス停あたりに、大麻売りの黒いヒトタチが半無尽蔵にいるのはまったくも困りものですよね。個人的にはあのへんの路上で酒を飲んでは突然奇声を発する大量の若者群のほうがイヤですが・・・。ただ、警官に歩行飲酒をとがめられ、酔った勢いで威勢をはるものの、警官から「そうですか・・・。じゃあ、罰金500ポンドね。はい。」といわれた瞬間、ちっちゃくなって缶ビールをゴミ箱に捨てる若者達の姿を見るのはたのしいカムデンでのひとときです。

●ににさん コメントありがとうございます。 コメントバックが遅くなってすいません。昨年末PCが何の遺言もなく突然死され、しばらく荼毘(だび)に伏せっておりました。今日(1月5日)から復活です。これまでブログで放った自らの暴言が招いた呪いが原因かと思うと、今年は地球にもミュージシャンにも優しいブログにしていかなければ、と決意を新たにするおもいです。というか、大人なんだからウィルス対策くらいこまめにするようにいたします。さて、MLMのガレージ、ぜひとも楽しんできてください。絶対楽しめるとおもいますよ!このライブ道も会社をサボってぜひ駆けつけたいものですが・・・。ちなみに Drums は2月のパリ公演へ、入念なる若作りの上での参加を予定しています。

●ににさん DRUMS鑑賞にそなえた的確なアドバイスを頂き、どうもありがとうございます。衣装棚を精査し、できるだけまちがいのないパーカーでトライしたいと考えています。ところで大学で売っていそうなモノが手元にない場合、私のお気に入りのこの意匠のスウェットでも大丈夫でしょうか?↓

Oeuf_oeuf

タモさんがジャージ着てます。ブリックレーンで発見したものです。そうですか、やっぱりダメですか。

●ににさん、いつも素敵なアドバイスありがとうございます。チェックシャツは TOPMAN で買ったものがあるので、それにします。まったく同じものを着ている若者をレディングフェスティバルで3人見ました。全員16歳以下だったと思います。わたしの年齢の3分の一以下です。そんなんでもよいでしょうか。

それはそれとして、おととい Delphic を久しぶりに観ました。間近(1メートル)で楽しめたので、良かったです。昨日は Local Natives に出かける矢先、得意先の社長から「飲みに行こうよ」電話が・・・。サラリーマンの悲しいところです。今晩は The XX、なにがあっても観にいかねばならないと、気合がはいってます。昨年見たバンドのなかでは個人的ベストアクト・ランク2位(1位はMLM)だったので、いずれブログで書くつもりです。ただ、ちょっと連夜のとばしすぎで、寿命を縮めているような気がしてなりません。

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コメント

Oh my gosh! って曲、めっちゃかっこいいですね。
頭からはなれなくなりました。

カムデンでライブ見て、いつも夜中に乗るバスが、すごく怖かった初海外旅行をサラっと思い出しました。

こんにちは、12月はあまりライブがなくて悲しい日々を送っております。
MAN LIKE ME、私も名前はよく目にするものの食わず嫌いで観たことなかったのですが、こちらのブログで初めてPVを見ておもしろいなーと思いました。London townがかっこよくて好きです。そこでGarageで来年?あるライブに行こうかなと思ってます。
Funga77さんは行きますか?どこかでニアミスしそうですね(笑)
あ、The DrumsはNMEツアーに出ますね。。私はManchesterとBrixtonに行きます。

あけましておめでとうございます。PCが突然死は大変ですね。データ等は大丈夫でしたか?
MLMはもしかしたら行けないかもしれないのですが2月のGirlsには行く予定です・Girlsはパリ公演もありますね。The Drums in パリ も楽しんでください。格好は、大学で売ってるようなスウェットパーカを是非着てください。アメカジな感じで・・・

タモさんジャージ、素敵ですね。しかしDrums gigには少し不似合いな予感がします。東ロンドン系のエレクトロなイベントに良さそうな気がします、勝手な好みですが。大学で売ってそうなパーカがない場合、チェックのシャツもDrumsな感じがします、ってどのバンドもチェックのシャツは鉄板ですね。
1月はライブ少な目でしたが2月からまた私も求道に励みたいと思います。2月は主にNME tourですが3月のexlovers, Local Natives, Delphicが楽しみです(Delphicは完全にハイプ目撃が目的です)

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