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2009年11月 5日 (木)

James Yuill

<2009. 04. 25 @ Electric Ballroom, London (Camden Crawl '09)>

いささか旧聞に属するものであるが、例の「のりピー」事件で人々が最も衝撃を受けた映像は、酒井のり子氏がクラブのDJスペースで、ヘッドホンを耳に当てながらテクノ系の曲をガシガシとかけまくっていた、あの光景ではなかっただろうか。

なぜアレがびっくり映像だったかといえば、それはいうまでもなく世間一般の持つ酒井氏のイメージと、「テクノDJ」との落差をアタマのなかで瞬時に埋めることができなかったからに違いない。少なくとも、オレはそうだった。職業としての「清純派アイドル」は、暗黙のうちに突飛なことの許されないイメージ上の制約があり、それは突飛ではない世間の大多数を占める一般大衆の期待の上に成り立っているのである。まあ、あんなフツーの(かわいらしい、という意味で)顔してテクノDJはねえべ、ということだ。

一方、フツーの顔してるのに(まっとうな人に見えるのに)、何をやっても許されてしまうのはいわゆる「オタク」の世界の方々だ、と常々考えている。

この「ライブ道」ではオタク系ミュージシャンに対しては基本的にサポーターの立場を取っていることは、これまでも繰り返し述べてきたことである。オレはオタク感のある連中のライブを観るのが好きなのだ。自分の考えるヲタ系とは、ロッカーっぽくない見た目、それでいてある種現代のロックの本質を突くような新しい音楽をかなり粘着質なライブパフォーマンスで披露してくれるヤツらのことだと定義したい。

オレのココロの中で永遠の「オタク」ミュージシャン・ヒーローは Tom Vek だが、2005年に一度ライブを観たきりで、その後まったく消息不明になってしまった。ヤツの場合は見た目も本当に「オタク」そのものであったが、ライブバンド4名中ツインベースという構成はオタク魂を見せつけられた思いで、すっかり参ってしまった。いま何やってんのかなあ。

もちろん、オレの中では Lady HawkeFriendly Fires などもライブを観た結果、マイ「オタク」ミュージシャンの範疇にに入れているのでその範囲自体は決して狭くないのだが、Tom Vek 以来となる「本命」を探していたのもまた事実だ。そんな折、見た目がイキナリ「ヲタ」感全開の物件を発見したので、ことしの春先、Camden Crawl ('09) で様子を探ることにした。フォークとエレクトロニカのミックス音楽をやっている、James Yuill 氏のことである。www.myspace.com/jamesyuill Camden Crawl は2日間の期間、両日出演。初日は満員で会場に入れず姿を拝めなかった。すでになかなかの人気があるようだ。

MySpace の音源や、先ごろ発売されたアルバムを聴くと、比較的フォーク色が強く出ている感じがするのだが、実際にそのパフォーマンスを見た彼のステージを一言でいいあらわすとすると「のりピーのテクノDJ」のようなものだといえるだろう。音のたとえとしてはちょっと違うけど。もちろん、両者とも見た目が善良な市民であるにもかかわらず、のりピーには違和感があって、James Yuill だとしっくりくるのは、彼からかもし出される「オタク」感のせいである。いずれにしろフォークミュージシャンのオタクがエレクトロ系DJをやっている、という印象が彼のライブの醍醐味だ。アルバムと違って、打ち込みダンスのパートが多い。フォークギターを背中にしょってDJをやってるようなものなのである。

Tom Vek の「意表をつくバンド構成」とは違って、全て一人でおこなうDIYが James Yuill のスタイルだが、それゆえの「あたふた」感も含めてなかなか期待の持てるよいオタク・ミュージシャンに出会えた夜だった。

Img_3221_1

@ Electric Ballroom

たぶん彼もいろいろなクラブでDJをやっているだろうと思うのだが、DJとしてはいわゆる薬物感のあまりしない稀有な存在といえよう。

今月はアルバムも日本発売となり、12月には来日公演を行なうようだ。James Yuill のアルバムをリリースする「もしもしレコード」は、その音楽ではなく彼がステージでダンスする姿を観て契約を決めたという。オタクの「キラー」ダンス姿を是非堪能してください。

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