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2009年12月

2009年12月11日 (金)

Noah And The Whale

< 2008. 03. 28 @ Flache d'Or, Paris >

< 2009. 12. 08 @ La Maroquinerie, Paris >

一度何かの理由で見逃してしまったバンドが、そのあと意外と売れてきたりすると、その後「観よう」とおもうモチベーションを俄然なくしてしまいがちなのは、このライブ道の悪い癖だと自分でも認識している。

ロンドン出身のフォーク・ロック・バンド Noah And The Whale を初めて観にいこうと思ったのは去年の3月だった。www.myspace.com/noahandthewhale  ちまたには、まだそれほど情報があふれていたわけではなかったが、なんとなく面白そうな予感がしたので彼らの初パリ(恐らく)公演まで足を運ぼうと考えたのである。当日、例によって得意先接待が入って観にいけなくなってしまったわけだが、仕事といえば仕事なので止むを得ない。しかし彼らは去年そのあと2回もパリに来たのだが、いずれも運悪く都合がつかなかったので、オレの中ではかなり「悔しいバンド」になってしまっていた。

だいたいこのへんが運命の分かれ道で、オレはバンドが「上り調子」の連中である場合はそろそろ観にいく意欲を失ってしまい、逆にマイナー感をかもし出し続けるヤツラの場合は「解散」→「永遠に幻のバンドに」という恐怖の図式が頭の中で働くからか、何とか執拗に追いかけて観にいこうという努力を続けるのである。

Noah And The Whale の場合は、そうこう言っているうちに、なんだかんだでヒット曲もでてしまい、人気者のポジションをどうやら取りつつあるな、と、そう思った時点でオレの「追いかけリスト」から外れてしまったヒトタチである。よく考えたらアルバムも買わなかったので、ラジオやテレビで流れてくるシングル曲が自分にとっての唯一の接点である。まあ、デビュー当初を見逃したのは残念だったが、バンドとしてのクオリティ自体は「悪くはないな」という程度の評価で、自分の中では決着してしまっていた連中であった。当然ながら彼らのセカンドアルバムなどというものには何の関心も持たなかったといってよい。

今年にはいって、イギリスのフェスティバル会場でステージ間を徒歩移動をしていたときのことだった。少し離れたメインステージから流れてくる聞きなれない音楽のすばらしさに驚き、そして感動して足を止める、というような経験を久しぶりにしたのである。あわててプログラムに目をやると、バンド名は Noah And The Whale。そうか、と思いなおしてバンドに目をやったとたんに演奏は終了し、観客の歓声と共にメンバーは手を振り消えていったのであった。

これはちょっと、やってしまったなー、というのがそのときの正直な気持ちで、このバンド、ちゃんと追いかけておけばよかったなあ、といわゆる後悔先に立たずである。まあしかし先に立たずではあるが、これから改めてしっかり観にいけばよい。そう思いなおして調べてみたところ、彼らの新作セカンドアルバムは、世間様からも大絶賛の様子。実際のところ急成長バンドとして更なる高評価を得ているようなのだ。

こうしたポジティブ・レビューを先に目にしてしまっていたら、彼らはオレからさらにどんどん離れて行ってもはや何の接点もないバンドとして視界から消えていたかもしれない。幸運にも一瞬の偶然の出会いがあったために、このバンドの良さを再認識することができたのである。

すぐさま手にいれたセカンドアルバムをじっくり聴きこんで、彼らの今年最後の演奏となるパリ公演を昨晩堪能してまいりました。なんというかいろんな教訓を得たバンドだったが、ライブ道求道者としては謙虚な気持ちで初心に立ち返りたい、などと思う年の暮れである。

Nw_2

@ La Maroquinerie

「♪昨晩、知らない娘と寝ちまったよ。」という出だしで始まる切ないラブソング。その曲を演奏する前にステージ上でメンバー2人お互いを見ながら「昨日のオレタチのこと歌ってるみたいだな、ぐっしっし・・」となかなかやんちゃな若者達である。自分達は「PUNKである」と言っているのは、そういうことか?

とはいえオレは演奏終了後、しんみりしながら彼らのうたを口ずさみつつ、小雨そぼ降る石畳( By クール・ファイブ)をいつものようにひとりひたひたと歩いて家路を急いだのであった。

Img_4345_1

会場をでてすぐのサヴァール通り。普段は不良の黒いひとたちも多いが、昨晩はこのあまりにもさびしげな「クリスマス電飾」がこころに染み入った良い光景だったので、撮影。

2009年12月 9日 (水)

Lissy Trullie

< 2009. 11. 07 @ Le Cigal, Paris (Festival Les Inrocks '09) >

さて、今日は「対バン」の妙、についてである。

「妙」といっても、ライブに出演するバンド自身が自分の意思でお気に入りのサポートバンドを選ぶその組み合わせの面白さ、というハナシではない。イベント・オーガナイザーの方で微妙なブッキングをしてしまい、われわれ観客からすればはたしてミュージシャン自身はどう思っているのだろうか、と期待をそそられる類の「妙」である。屋外型のフェスティバルであれば観客も移動が自由なので意外と気にならないことなのかもしれないが、ライブハウスで開かれる催しであれば、その出演の顔ぶれ次第では、期せずして自然と「勝負の場」になってしまうこともあるだろう。

今年はいろいろな意味で女性ミュージシャンの当たり年なので、こんなことも起きるのではないか、と思っていた物件にめぐり合った。

先日も取り上げた今年の Festival Les Inrocks。5日間ほどの催しで、パリをはじめフランス国内複数の主要都市で同時に行なわれるインディー系イベントだ。ここパリでも4箇所ほどのコンサートホールやライブハウスが会場となる。規模は毎年大きくなってきているようだ。今年は目玉になるミュージシャンに女性ソロアーチストが多く、同日ブッキング=同じ観客の前で真っ向から勝負、というちょっとだけわくわくするような組み合わせが発生するのではないか、という予感はあった。Bat For LashesFlorence And The Machine、Little Boots、La Roux らが登場する今年のイベント。企画の本来の趣旨からすればいろいろなジャンルのインディ系バンドがうまく組み合わさって一晩のラインナップを構成するため、女性ソロミュージシャンがかぶらないかもしれないな、と思っていたが、結果はそうでもなかった。Florence And The Machine と La Roux が同じ晩に登場することになったのである。

かたや Shepherds Bush Empire 3夜連続公演ソールドアウトの Florence、そしてもう一方はレディング・フェスティバルで小テントながら新人でトリの大役をつとめた La Roux。彼らにとってははいささか「ささやか」なサイズの Le Cigal というライブハウスで、夢の対決をするというのである。今年最も話題をさらった二人の女性シンガーが顔を揃えるのである。予想通りその晩のイベントだけは発売後即座にチケット完売となったが、オレはなんとか首尾よく入手することができた。共に今年のマーキュリー賞にノミネートされたライバル同士の直接対決。オレはわくわくしながらその夜を待つことにした。

で、結果はどうだったかというと、ひとり勝負から逃げました。La Roux が「のど」の痛みによるドクターストップで急遽の欠場。彼女に代わって Florence がトリに繰り上がったのである。La Roux の当日のHPには「とても残念だけど、このまま歌うと喉がダメになってしまうってドクターに言われたの」と書かれていたが、オレをはじめとして当日の観客はみながっかりしたに違いない。これはただのコンサートではない。旬の二人が同じ観客を前にしてその優劣の審判を仰ぐ、真剣勝負の場だったからである。オレは「喉がつぶれてもいいからでてこい!」と無責任にも星一徹のようにつぶやいた。そして彼女にはオレから『逃げラ・ルー』の称号が与えられたのであった。

さて、ではイベント自体の方はどうなったかというと、よくわからない前座が最初に一組入ってあとは順繰り後ろにずれた。ヘッドラインが Florence で、トリ前には最近話題のニューヨーカー、これまた女性ソロ・アーチストの Lissy Trullie が繰り上がってきたのである。www.myspace.com/lissytrull アメリカの Ladyhawke などともいわれているらしいが、モデルとしても活躍しているというおしゃれさんミュージシャンであるところが本家と違うところか(もっとも以前、オレが定期購読している Artrocker Magazine で、 Ladyhawke がストリートファッションのモデルをしていたのは少し感動的な出来事だった)。

偶然のこの状況下、 Lissy Trullie が期せずして「今年話題の女性ソロ・アーチスト」対決を Florence と繰り広げる羽目になったのだが、いかんせんやはり格が違っていた。けっして悪いミュージシャンではないし、アメリカ人ながら Hot Chip のカバーを演奏するあたり、面白いセンスも見て取れる。彼女自身は「対決」のつもりも毛頭なかっただろうが、La Roux に逃げられたこともあって、オレによって彼女は突如 Florence との対戦相手に祭り上げられた。そしてそんな目でみていた観客も少なくなかったはずだと思う。彼女のライブはそこそこ楽しめたのではあるけど Florence And The Machine を見終わったあと、Lissy という姉さんもまだまだだな、という比較対象で終わってしまったのも事実である。

Lissy も Florence も共に手足の長い方々であったが、ライブではFlorence の方がスケールが大きく見えましたとさ、というオチで今日は終わりです。やはり La Roux も本当はこの直接対決&比較批評を嫌ったのかもしれない、と思った。La Roux 欠席まで含めて「対バン」の妙、といえるかもしれない。

Lt

@ Le Cigal

修行とおもって、がんばってください。

2009年12月 7日 (月)

The Soft Pack その2

< 2009. 11. 06 @ Le Cigal, Paris (Festival Les Inrocks '09) >

数ヶ月ぶりに The Soft Pack を観にいった。前回のステージについてはこのブログでもぶつぶつ言ったけど、今回は好印象を持ったぞ。

初回同様ステージの最前列で彼らを鑑賞したわけだが、特に今回はバンドとの距離が目と鼻の先であり、ライブとしての迫力が増したという点もオレにポジティブな印象を与えてくれたといえるだろう。しかしそれ以上に、今回は彼らが「しっかりとしたライブバンド」であることをオレはあらかじめ知った上で観にいったわけなので、前回のようにオレのお気に入りな「へなちょこ」演奏を期待して行ってみたらどうも様子が違った、ということにならなかったのがその大きな理由と思われる。

ところでステージも後半になってから、ボーカリストのマットがそれまで抱えていたギターを下に置き、マイクを手で握りしめたとき、これこそが The Soft Pack というバンドの真骨頂だ、ということに気がついた。ギターを手に持ったままのステージ・パフォーマンスでは、見栄えとしては一応「さま」になってしまうので、このバンド本来の魅力が見えづらくなってしまう。つまり、ちゃんとしたただのフツーのバンドに見えてしまいかねない、ということだ。

ところが、いったんギターから手を離してしまうと、マットの手持ちぶさた感が全開になる。前奏、そして間奏と、歌っているとき以外はマイクを手に持ちながら、所在無いことこの上なし。オレにとってはこの「やるせない」感じこそがこのバンドの魅力である、と確信を持った。

あらためて名曲 [Extinction] の PVを見直してみると、この「手持ちぶさた」な感じに引きこまれないですか?そうでもないですか。オレは深く吸い込まれました。失礼しました。

Sp

@ Le Cigal

前回観たときに比べて、今回はマットのヘアスタイルもPV(Extinction) 並であったこともプラスでした。

The Soft Pack その1

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