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2009年12月 9日 (水)

Lissy Trullie

< 2009. 11. 07 @ Le Cigal, Paris (Festival Les Inrocks '09) >

さて、今日は「対バン」の妙、についてである。

「妙」といっても、ライブに出演するバンド自身が自分の意思でお気に入りのサポートバンドを選ぶその組み合わせの面白さ、というハナシではない。イベント・オーガナイザーの方で微妙なブッキングをしてしまい、われわれ観客からすればはたしてミュージシャン自身はどう思っているのだろうか、と期待をそそられる類の「妙」である。屋外型のフェスティバルであれば観客も移動が自由なので意外と気にならないことなのかもしれないが、ライブハウスで開かれる催しであれば、その出演の顔ぶれ次第では、期せずして自然と「勝負の場」になってしまうこともあるだろう。

今年はいろいろな意味で女性ミュージシャンの当たり年なので、こんなことも起きるのではないか、と思っていた物件にめぐり合った。

先日も取り上げた今年の Festival Les Inrocks。5日間ほどの催しで、パリをはじめフランス国内複数の主要都市で同時に行なわれるインディー系イベントだ。ここパリでも4箇所ほどのコンサートホールやライブハウスが会場となる。規模は毎年大きくなってきているようだ。今年は目玉になるミュージシャンに女性ソロアーチストが多く、同日ブッキング=同じ観客の前で真っ向から勝負、というちょっとだけわくわくするような組み合わせが発生するのではないか、という予感はあった。Bat For LashesFlorence And The Machine、Little Boots、La Roux らが登場する今年のイベント。企画の本来の趣旨からすればいろいろなジャンルのインディ系バンドがうまく組み合わさって一晩のラインナップを構成するため、女性ソロミュージシャンがかぶらないかもしれないな、と思っていたが、結果はそうでもなかった。Florence And The Machine と La Roux が同じ晩に登場することになったのである。

かたや Shepherds Bush Empire 3夜連続公演ソールドアウトの Florence、そしてもう一方はレディング・フェスティバルで小テントながら新人でトリの大役をつとめた La Roux。彼らにとってははいささか「ささやか」なサイズの Le Cigal というライブハウスで、夢の対決をするというのである。今年最も話題をさらった二人の女性シンガーが顔を揃えるのである。予想通りその晩のイベントだけは発売後即座にチケット完売となったが、オレはなんとか首尾よく入手することができた。共に今年のマーキュリー賞にノミネートされたライバル同士の直接対決。オレはわくわくしながらその夜を待つことにした。

で、結果はどうだったかというと、ひとり勝負から逃げました。La Roux が「のど」の痛みによるドクターストップで急遽の欠場。彼女に代わって Florence がトリに繰り上がったのである。La Roux の当日のHPには「とても残念だけど、このまま歌うと喉がダメになってしまうってドクターに言われたの」と書かれていたが、オレをはじめとして当日の観客はみながっかりしたに違いない。これはただのコンサートではない。旬の二人が同じ観客を前にしてその優劣の審判を仰ぐ、真剣勝負の場だったからである。オレは「喉がつぶれてもいいからでてこい!」と無責任にも星一徹のようにつぶやいた。そして彼女にはオレから『逃げラ・ルー』の称号が与えられたのであった。

さて、ではイベント自体の方はどうなったかというと、よくわからない前座が最初に一組入ってあとは順繰り後ろにずれた。ヘッドラインが Florence で、トリ前には最近話題のニューヨーカー、これまた女性ソロ・アーチストの Lissy Trullie が繰り上がってきたのである。www.myspace.com/lissytrull アメリカの Ladyhawke などともいわれているらしいが、モデルとしても活躍しているというおしゃれさんミュージシャンであるところが本家と違うところか(もっとも以前、オレが定期購読している Artrocker Magazine で、 Ladyhawke がストリートファッションのモデルをしていたのは少し感動的な出来事だった)。

偶然のこの状況下、 Lissy Trullie が期せずして「今年話題の女性ソロ・アーチスト」対決を Florence と繰り広げる羽目になったのだが、いかんせんやはり格が違っていた。けっして悪いミュージシャンではないし、アメリカ人ながら Hot Chip のカバーを演奏するあたり、面白いセンスも見て取れる。彼女自身は「対決」のつもりも毛頭なかっただろうが、La Roux に逃げられたこともあって、オレによって彼女は突如 Florence との対戦相手に祭り上げられた。そしてそんな目でみていた観客も少なくなかったはずだと思う。彼女のライブはそこそこ楽しめたのではあるけど Florence And The Machine を見終わったあと、Lissy という姉さんもまだまだだな、という比較対象で終わってしまったのも事実である。

Lissy も Florence も共に手足の長い方々であったが、ライブではFlorence の方がスケールが大きく見えましたとさ、というオチで今日は終わりです。やはり La Roux も本当はこの直接対決&比較批評を嫌ったのかもしれない、と思った。La Roux 欠席まで含めて「対バン」の妙、といえるかもしれない。

Lt

@ Le Cigal

修行とおもって、がんばってください。

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