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2010年5月

2010年5月31日 (月)

Silver Columns

< 2010. 05. 13 @ The Freebutt, Brighton (Great Escape '10) >

さてエレクトロ系2人組といえば、たいていは「もぞもぞくん」、と相場が決まっているものだ。

Chemical Brothers しかり、Simian Mobile Disco しかりで、「音源」の演奏者たちは狂乱のダンスフロアをあざわらうかのように、ただただステージの上で鍵盤と格闘しながら体をわずかにもぞもぞと動かしているのみ、というのがお約束である。まあ、ライブとして見ごたえがあるかというと、踊っている方はただの「あほう」なので、そんなことはどうでもいいことだろう。オレのように踊らない(年齢的制約がキツく、踊る意思があっても体が=具体的には腰が=ちょっと心配な)オーディエンスはよるべなくステージを眺めるわけだが、乱痴気のフロアを自ら仕切っている連中と言うのは、ある意味、あんまり激しく動かない方がカッコよかったりするものかもしれないな、とも思う。

ところで、仮に新人のDJがブースに登場して曲を流し始めても、フロアがしーんとすることはあまりないだろう。DJの実力にかかわりなく、客は皆踊りに来ているだけだからだ。しかし、これがバンドのショーケース・イベントにおけるエレクトロ系の連中だった場合、多少様子は違ってくる。

客は彼らを観るのは初めて。どういった連中がいかなる演奏をするのか、固唾を呑んで見守っているはずである。最初は様子を見守っていたオーディエンスも、バンドの力量そして盛り上げ方しだいで、徐々に体が動いて踊りだす。ついには大盛り上がりの大団円でライブは終了-というのが、ある種理想的なながれと言えるだろう。

最近オレの頭の中でループしてはなれない、[Brow Beaten] という曲を擁する Moshi Moshi レコード一押しの新人エレクトロ2人組 Silver Columnswww.myspace.com/silvercolumns どうひいき目に見てもジミー・サマーヴィルのコピーにしかきこえないところが、たまらない魅力である。今月頭の Camden Crawl ('10) では会場が離れすぎていたため寒さに負けて断念したが、2週間後の Great Escape では首尾よく姿を捕らえることができた。

もっとも当日は日中の出演で、そんなに多くない観客はまだ酒にも酔っていなければ、薬物で正体不明にもなっていない。最近話題のこのデュオを一目見ようと意気込んで駆けつけてきた連中(含むオレ)が、腕組みしながら彼らの演奏を待っている、というありがちな緊迫した状況だ。演奏開始から彼らは「もぞもぞ」プラスアルファ以上の動きである。観客に動きがない分、自分たちが多少大きめに動く、というのは常道と言えるだろう。まずは自分たちが「ぐしぐし」と動くことによって、観客側によいインパクトを与えようというわけだ。

演奏も中盤から後半にかけて、オーディエンスの反応もだんだん良くなってきたぞ。セット後半で [Brow Beaten] がプレイされると、会場内はそこそこの盛り上がりになってきた。このショーケースはなかなか成功だったのではないか。そう思った瞬間、メンバーの片割れ(ハゲ+メガネ)がなんとドラムを一基かかえて観客側に飛び込んできた。残りの一人が鍵盤をたたいている間中、観客のど真ん中で狂ったように太鼓のバチたたきである。オレタチは大喜び、というよりはあっけにとられてそれを眺めていたわけだが、そいつが観客側からステージ壇上によじのぼり、鍵盤に戻ったあたりでたしかにこのライブは最高潮を迎えたと言ってよいだろう。

ところでその直後、どうにもそのハゲ+メガネの様子がおかしいことに気がついた。演奏しながらしきりに頭をさすっている。そして観客の一人がさしだす白いハンカチ。・・・・どうやら頭から血を流しているようだ。

重篤な事態ではもちろんないが、どうもコイツはステージに上る際、頭上のPAにあたまを「ゴチン」してしまったようなのである。そして挙句の果てには側頭部からかなりの流血をしながら気丈に演奏を続けていたのであった。まもなく演奏はフルセットを終了し、歓声の中2人はステージを降りていったが、こっちに手をふらんでいいから早く手当てしろ。

エレクトロ2人組と「流血ライブ」。はっきり言って、まったく似合わない組み合わせである。オレの中では強烈な印象をのこしたライブとなったが、やはりこっち系のヒトは「もぞもぞ」に徹した方が良い、という教訓を改めて教えてくれたような気がした。見ていて面白いとかつまらないのはなしではない。ヒトの健康に関わることである。

ケミカルやシミアンの連中も、一度「痛い目」にあって今のようなスタイルを確立したのかもしれない。

Sc

@ The Freebutt

演奏者が観客からハンカチをもらう歴史的瞬間。流血直後。

Brow Beaten 絵は動きません。

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